2013.11.30

香川真司、マンUでの絶対的な地位確立へ…カギは大黒柱のルーニー

香川真司
レヴァークーゼン戦でともに先発出場した香川(右)とルーニー(左) [写真]=VI-Images via Getty Images

 かつて衝撃を与えたドイツの地で、香川真司が躍動した。

 マンチェスター・Uは27日に行われたチャンピオンズリーグのグループステージ第5節で、レヴァークーゼンを敵地で5-0と下した。今シーズン最多得点での圧勝とともに、決勝トーナメント進出も決めた。申し分ない結果を収めたチームの中心には、文字通り香川が君臨していた。

 今シーズン初めてトップ下で先発出場した香川は、先制点のカウンターの起点になるなど、攻撃陣をリード。試合後には「楽しめました」と語った言葉とともに、表情からも充実感は窺えた。今シーズンから指揮を執るデイヴィッド・モイーズ監督が、「就任して以降のベストゲーム」と認めた試合で、高いパフォーマンスを残した。

 香川はシーズン序盤こそ出場機会が限られていたが、現在はコンスタントに試合に出場している。代表戦での取材の際、出場増の要因について聞いてみたら「監督に聞いてもらえないとわからない」と語っていたが、今シーズンの公式戦初のフル出場となったチャンピオンズリーグのグループリーグ第3節のレアル・ソシエダ戦などのパフォーマンスなどから、一気にレギュラーポジションを掴んだと言えるはずだ。レヴァークーゼン戦でも、ロビン・ファン・ペルシーの負傷欠場の影響もあってトップ下で出場できたことも考えられるが、ハビエル・エルナンデスを1トップで起用してウェイン・ルーニーをトップ下に据えることも可能だったことから、香川のチームにおける序列は間違いなく高まってきている。

 試合後にモイーズ監督は、「連携が素晴らしく機能していた」と語ったが、「ウェインとシンジの連携が素晴らしく良かった」と賛辞を贈るとともに、香川の起用法についても匂わせている。

「時にはウェインが最前線で、その背後でシンジがプレーすることもあるだろう。ウェイン、もしくはロビン(ファン・ペルシー)が欠場する時の対応を考えておかなくていけない。今日のシンジは素晴らしいプレーを見せてくれた。彼は左サイドでも良い動きをしている」

 おそらくだが、指揮官の中では香川をトップ下で起用する算段がついたのだろう。年末年始にかけて超過密日程を控えるだけに、レヴァークーゼン戦で手応えを得たオプションの使用機会は増えていくと予想される。

 そして、それに伴い香川のチームでの重要性は更に増していく可能性は十分にある。

 カギはルーニーとの関係だろう。

 指揮官にも絶賛された連携は、当人同士も大きな手応えを感じている。試合後、香川は「自分は合わせてもらっている感じがあるし、本当にやりやすいので、やっていてすごく楽しい」と語り、ルーニーも「シンジはファンタスティックなフットボーラーで、チームにとっても彼のような選手がいるのは良いこと。シーズン序盤は出場機会にも恵まれていなかったけれど、今日の彼は素晴らしかった。チーム内の争いが激しくなるのは良いことだよ」と口にした。

 また、ルーニーはスポンサーイベントの際にも、「僕らはふたりとも、身勝手なプレーをしない選手だから、チームを助けるためにプレーして、互いにボールを交換する。だから一緒にプレーするのが楽しいんだと思う」と語っていた。

 実際にレヴァークーゼン戦はもちろん、試合で2人の見せる連携は、まさに共鳴という言葉が似合う程、スムーズである。香川自身は「合わせてもらっている」と使われる側を強調するかの言葉を残したが、プレーを見ていると、ルーニーを「使う」シーンもよく見られる。ルーニーは誰もが認めるチームの大黒柱であるが、彼に生かされる選手は多いものの、彼の能力を最大限に生かせている選手は、マンチェスター・Uというビッグクラブでもほとんどいない。連携の熟練度が更に増せば、香川自身のチームでの重要性は必然的に高まっていくはずだ。

 香川も現状について、「どっちかというと周りを活かす方になっているかな」と話したが、「やっぱりこのチームは本当に個の力が強い選手が多い。逆にそういう選手がすごく目立つことは、生かせる選手が目立つところでもあると思う」と可能性についても言及している。

 香川自身がポジションを掴みとったように、実力者がひしめき合うビッグクラブでの序列は、何かの拍子でとたんに入れ替わる。争いは、実に厳しい。

 ただ、香川にはビッグクラブの中でも、確固たる地位を築く可能性は大きくあるのではないか。

 チームの大黒柱と同じプレーイメージを描くことができ、シーズン序盤に訪れたキャリア史上最大と言える苦境から自力で脱出した精神力もある。試合中にも味方に要求する場面は度々見られていることから、連携の深化の余地もまだまだある。ビッグクラブでも際立つ技術力は今更言うまでもない。

 そして、今シーズンの香川には、ゴールがまだない。得点なしながらも、チーム内の序列を高めてきたが、最大の魅力である得点力が発揮されたとき、更なる凄みを見せてくれるはずだ。

 レヴァークーゼン戦が終わってロッカーに引き上げる際、着用していたユニフォームをスタンドに投げ入れた姿からは、既にビッグクラブの一員としての風格は漂っていた。しかし、香川真司というサッカー選手の最高到達点は、まだまだ遥か彼方にある気がしてならない。

 もちろん、マンチェスター・Uの絶対的な存在になっていても、不思議ではないはずだ。

文●小谷紘友

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