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欧州で戦う韓国人選手たちの2021-22シーズン総まとめ

2022.05.27

[写真]=Getty Images

 長かった欧州サッカーの2021ー22シーズンもついに終わりを迎えた。今季の韓国人欧州組は初挑戦の選手もいるなか、“脱アジア級”の活躍を見せた選手、成長を遂げた選手、悔しい結果に終わった選手など、それぞれが異なる1年を過ごした。今回は5大リーグを中心に、欧州でプレーした韓国人選手の今季を振り返る。

ソン・フンミン(FW/トッテナム)

[写真]=Getty Images


「アジア人初のプレミアリーグ得点王」。この言葉だけでいかに前人未到の偉業を成し遂げたかが伝わる。PKなしの23得点という驚異の決定力でチームをチャンピオンズリーグ出場圏内の4位に導き、自己最多得点記録更新(公式戦通算22得点)でキャリアハイと呼ばれた昨季以上の衝撃をサッカーファンにもたらした。残るは過去12年間のプロキャリアでいまだに獲得できていない優勝のタイトル。これまでプレミアリーグ、CL、カラバオカップなどで準優勝と涙を飲んできただけに、来季こそはソン・フンミンがトロフィーを掲げる瞬間を見てみたい。

ファン・ウィジョ(FW/ボルドー)

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欧州3年目の今季はリーグ・アンでアジア人初のハットトリックを達成し、アジア人最多得点記録も更新。リーグ戦11得点で2年連続チーム得点王に輝くなど、数字だけ見れば十分な活躍と言える。もっとも、2月以降の終盤戦に限れば15試合2得点と沈黙し、チームも最下位で30年ぶりの2部降格という無念の結果に終わった。シーズン中にはマルセイユやフライブルクなど、欧州他クラブへの移籍の噂も浮上していたが、30歳で迎える来季へどんな決断を下すことになるのか。

ファン・ヒチャン(FW/ウォルヴァーハンプトン)

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ライプツィヒでは出場機会に恵まれず、レンタル移籍でプレミアリーグに初挑戦。すると、途中出場から初ゴールを決めたデビュー戦を皮切りに、2021年内は計4得点を挙げる好調ぶりを見せ、冬には買い取りオプション行使で完全移籍に移行。だが、年明け以降はハムストリング負傷の影響もあって調子を落とし、最後は13試合連続無得点で加入初年度を終えた。ただ、同国の先輩ソン・フンミンもトッテナム加入1年目こそ苦しみながら、以降は適応に成功し、現在まで活躍を続けている。ファン・ヒチャンにも2年目となる来季の奮起を期待したい。

チョン・ウヨン(FW/フライブルク)

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“期待の若手”の枠を飛び出し、大きな成長を遂げた1年となった。リーグ戦出場32試合のうち先発23試合、5得点2アシストの数字はいずれもキャリアハイで、終盤戦こそベンチスタートが増えたものの、ウイングやセカンドストライカーなど複数ポジションをこなすマルチロールとして着実にチームに貢献。クラブでの活躍からA代表にも定着しつつあり、ソン・フンミンファン・ヒチャンのいる同ポジションではまだ控えの域を出ないが、カタール・ワールドカップのメンバー入りへ来季はさらなる飛躍を見せられるか。

イ・ガンイン(MF/マジョルカ)

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下部組織時代を含め10年在籍したバレンシアを退団し、今季からマジョルカへ。新天地では同じ2001年生まれの久保建英とのコンビで多くの注目を集め、初先発のレアル・マドリード戦で決めたゴールは活躍を予感させた。しかし、終わってみればリーグ戦出場30試合でわずか1得点2アシストと寂しい結果で、最終節に至っては久保とともに出場機会がないまま、ベンチでチームの奇跡的残留を見守った。気がつけばA代表からも1年以上遠ざかり、現状ではカタールW杯メンバー入りの可能性も低い。将来を嘱望されてきた“韓国の至宝”もこのまま欧州で燻ってしまうのか。

イ・ジェソン(MF/マインツ)

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2部ホルシュタイン・キールでの活躍をマインツに評価され、今季から始めて1部でプレーする“個人昇格”に成功。20代後半と決して若くない年齢でのブンデスリーガ1部初挑戦となったが、コンスタントに出場機会を確保し、27試合4得点3アシストと初年度としては上々の結果を残した。ただ、終盤戦にヒザを痛め、復帰戦となった最終節でも途中出場7分で負傷交代となる不運に見舞われ、オフシーズンの治療を強いられることに。今年はW杯イヤーでもあるだけに、まずは状態を万全に戻したい。

キム・ミンジェ(DF/フェネルバフチェ)

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これまで数々のビッグクラブ移籍が噂されながら実現せずにいた大型センターバックが、トルコの名門を通じてついに欧州上陸。中国リーグからの加入で実力に疑問を呈する声もあったが、リーグ戦では累積警告や負傷などによる欠場を除き全31試合で先発出場する主力級の活躍で、スイスの『スポーツ研究国際センター(CIES)』によるスュペル・リグ年間ベストイレブンにも選ばれた。現地メディアが早くも5大リーグへのステップアップを予想する一方、大多数のファンは残留を懇願しているが、来季の去就は果たして。

イ・ドンギョン(MF/シャルケ)

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「彼のプレーを見るべく韓国も訪れた」という熱烈オファーもあり、今冬に買い取りオプション付きのレンタル移籍で加入。しかし、2月下旬の中足骨骨折による長期離脱もあり、結果的にデビュー戦での途中出場30分が総出場時間となった。それでも、現地ではシャルケが今季までのレンタル期間を今年12月まで延長すると伝えられているだけに、1部を戦う来季に再アピールを期待したい。ちなみに、チームメイトの板倉滉については、自身のブログで「よく気遣ってくれて、すべてを親切に教えてくれた。本当にありがたい」と感謝の言葉を綴っていた。

◉イ・ドンジュン(FW/ヘルタ・ベルリン)

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本来は兵役のため軍隊チーム入隊を考えていたが、ホン・ミョンボ監督との面談で一度は蔚山現代残留を決意。しかしその後、1月にトルコで行われた国際Aマッチでヘルタ・ベルリンの目に留まり、Kリーグ開幕3週間前の1月末に一転して完全移籍を果たした。だが、3月中旬の監督交代以降に出場機会を失うと、4月中旬の練習中に右ヒザを負傷しシーズンアウト。結局、リーグ戦4試合で総出場時間わずか116分にとどまった。早期入隊や国内残留などあらゆる決断を翻しての欧州挑戦は失敗に終わってしまうのか。来季が正念場となる。

◉チョン・サンビン(FW/グラスホッパー)

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高卒ルーキーにして瞬く間に欧州へと羽ばたいた「K-エンバペ(韓国版エンバペ)」。デビューイヤーの2021年シーズンにKリーグで28試合6得点を挙げると、冬にウォルヴァーハンプトンへ完全移籍。同時に提携先のグラスホッパーにレンタル移籍し、シーズン後半から合流した欧州初年度はリーグ戦6試合(先発2試合)に出場した。自身と同じくウルブズからレンタル加入中の川辺駿とともに、すでに来季終了後までのグラスホッパー残留が確定。2年目のシーズンはより多くの出場機会を得て経験を積み重ねたい。

◉ソク・ヒョンジュン(FW/トロワ)

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これまでオランダ、ポルトガル、フランスと欧州各国クラブを渡り歩いてきたジャーニーマンだが、今季はリーグ戦先発ゼロの途中出場9試合無得点。今年以降はベンチに入ることすらなくなり、公式戦の舞台から姿を消した。もっとも、韓国国内では2020年12月に発覚した“兵役逃れ”によってイメージが失墜した状態にある。トロワ退団は濃厚だがシーズン終了後の今も去就が報じられることはなく、もはや忘れ去られた人物となりつつある。

◉チ・ソヨン(MF/チェルシー女子)

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今季限りでチェルシー女子を退団したチ・ソヨン。韓国女子サッカーの看板スターと呼ばれる彼女の功績にも触れておきたい。エースナンバー「10」を背負って2014年に加入後、在籍8年間で6度のFA女子スーパーリーグ(FAWSL)優勝、4度の女子FAカップ優勝など計13度の優勝を経験。自身もFAWSL年間最優秀選手、PFA(イングランドプロサッカー選手協会)年間最優秀選手など個人タイトルを獲得し、国外選手として史上初のFAWSL通算200試合出場も達成した。今後はキャリア初挑戦となる母国WKリーグの水原FCウィメンでプレーしつつ、韓国プロサッカー選手協会の共同会長として、国内での女子サッカー発展に取り組む。

文=姜 亨起(ピッチコミュニケーションズ)

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