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【アジア最前線:中国 #9】サラリーキャップとコロナ禍の影響が色濃いCSL

[写真]=Getty Images

サラリーキャップの影響は平均得点にも

 4月20日に延期開幕した今シーズンの中国スーパーリーグが、前半戦の全日程を終了した。各チームはそれぞれに4、5試合を消化し(試合数が異なる理由は後述)、国際マッチウィークを前に一度中断。グループAでは山東泰山、グループBでは上海海港が無敗の首位に立っている。

 上海はフッキが抜けた穴を感じさせず、5試合で13得点を記録しており、なかにはライバル北京国安から挙げた3ゴールも含まれている。フッキが着ていた背番号10を引き受けた同じくブラジル人のリカルド・ロペスが見事にその欠落を埋め、ここまで4得点。彼とパートナーを組むマルコ・アルナウトビッチ、その後方から2人にパスを供給するオスカルのトリオを、阻止できるチームは国内にいない。現時点で、リーグタイトルに最も近い存在と言えそうだ。

 山東では昨季まで浦和レッズに所属していたFWレオナルドが新天地にフィットできておらず、ウェイ・ハオ監督が標榜するポゼッションフットボールもよどみがちだ。それでも昨季のカップ戦王者は、国内の選手たちで構成される最終ラインの堅守を武器に、勝ち点を積み重ねている。新加入の29歳の韓国代表セントラルMFソン・ジュンホが昨季のKリーグMVPの価値を示し、攻守をつなぐリンクマンとして大きな存在感を放っている。

 一方、過去10シーズンで8度のリーグ優勝を誇る広州FCは、これまでの強さを失っている印象だ。パンデミック対策の厳しい入国制限により帰還できていないパウリーニョの不在が、何よりも大きい。またリーグのサラリーキャップが厳しくなったことやクラブの財政状況により、新戦力を一人も獲得しておらず、40歳の元中国代表チェン・チーがフル稼働しているところに、チームの苦境が見て取れる。ここまでの4試合で2勝1分け1敗(3得点3失点)の4位となっている。

 北京も広州と同様にブラジル人助っ人の不在が響き、過去11シーズンでもっとも苦しいスタートに(4試合で2勝2敗、6得点5失点、グループBの5位)。昨季のAFCチャンピオンズリーグでFC東京を破った際に決勝点をアシストしたレナト・アウグストがビザの問題で再入国できておらず、さらには元スペイン代表MFホナタン・ビエラと最終ラインを率いる元中国代表DFユウ・ヤンが離脱。スラベン・ビリッチ監督も頭を痛めているはずだ。

 ここまでの1試合平均得点は2.27と、昨季の2.82や一昨季の3.09から大きく下がっている。その理由には、外国籍の助っ人アタッカーの減少が考えられる。それは各クラブ間の実力の均衡にも繋がっており、これまでのような金満クラブの存在感も薄れてきている印象だ。

給料未払いの重慶両江には最悪の結末も?

 
 2020年に蔚山現代をACL優勝に導いた韓国人のキム・ドフン監督は最近、中国クラブからのオファーを断ったと明かした。その理由は、中国スーパーリーグの不安定な運営にあるという。

 昨季終了後に、中国スーパーリーグが新シーズンから厳格なサラリーキャップを導入することを決めると、多くの外国籍選手が去っていった。またパンデミックの影響により、各クラブの主力ブラジル人選手が中国への再入国を阻まれるなか、彼らを保有するクラブは高給を払い続けている。なかにはタリスカのように、クラブ(広州)との残り契約を破棄し、新天地(サウジアラビアのアル・ナスル)への移籍を決めた選手もいる。不満を溜め込んでいる同僚のパウリーニョも、それに続くかもしれない。上海のアルナウトビッチは現在、イタリアやイングランドのクラブと交渉していると噂されている。

 また『東方体育日報』紙によると、現在グループAで6位の重慶両江では、選手たちへの給料が今季に入って一度も支払われていないという。その件について、フロントは積極的に解決しようとしていないそうだ。昨季のリーグを制した江蘇FCが同じ理由から活動休止に追い込まれているように、このままではまたしてもトップリーグからクラブがなくなる可能性も捨てきれない。

 そして中国フットボール協会の独断にも、各クラブは悩まされている。協会が突如、5月中旬からの代表キャンプを一方的に決定したことにより、クラブは中断前の最後の試合を中国代表選手抜きで戦わなければならなかった。ただし密室での話し合いにより、その影響を最も受ける広州と北京の第5節は延期されている。それ以外の試合は、「国民の興趣のために」開催される運びとなった。それにしても、各クラブからの反発を招いてまで、不要に長い代表合宿を行う理由はどこにあったのだろうか。

文=Ming Zhao(趙明)
翻訳=井川洋一

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