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【アジア最前線:中国 #8】混乱とともに幕を開ける新シーズンの行方は?

[写真]=Getty Images

“異例”だらけの新シーズン

 通常なら、シーズンプレビューの執筆は心躍るものだ。王者の連覇の可能性を考察したり、新たなスター候補を探したりするのは、いつも楽しいものだった。ところが新シーズンの開幕を目前に控えながら、2021年の中国スーパーリーグがどんなものになるかは、誰にもわからない。確かなのは、昨季王者の不在と、つい先日までこのリーグを賑わせていた複数のスター選手がすでに当地を去っていることだ。

 前回のコラムで伝えたように、昨季王者の江蘇FCと天津津門虎が活動停止に陥ったが、その後、天津は復活。皮肉にも唯一なくなってしまったのは、昨季覇者だ。1チーム少なくなったぶん、昨季最下位に終わった沧州雄狮(昨季までは元石家荘永昌)が新シーズンも1部を戦うことになる。

 こちらも以前のコラムで記したが、今季からクラブ名に商業的なものを含めなくなり、元広州恒大は広州FC、上海上港は上海海港などに変更されている。北京国安と上海申花などは、もとより商業的な名称を含んでいなかったため、変わらずに済んでいる。

 開催形式は、3段階になる。4月20日から始まる最初のステージでは、16チームが半分に分けられ、広州と蘇州で集中開催される。新型コロナウイルスへの対策によるものだ。全チームが2度ずつ対戦し、現在のところ観客の入場も認められるようだ。毎回、中立地に赴かなくてはならないファンからは批判の声が上がっており、また疫病を抑えるための方策が、かえって蔓延につながるのではないかとの懸念も聞かれる。

 中国サッカー協会は、状況が改善されれば、次のステージから通常のホーム&アウェイ戦に戻す可能性もあると示唆。またリーグの品位を維持するためにも、昨季のように短縮することは極力避けたいと述べている。それはスポンサーたちを納得させるためのものでもあるようだ。当然、中国スーパーリーグもパンデミックの影響による大幅な減収を余儀なくされており、これ以上の経済的損失を被る余裕はないのだろう。

優勝候補たちの現状は?

 昨季王者があえなく消失してしまったことにより(あるいはそうならなかったとしても)、今季も広州FCを中心に優勝争いが繰り広げられるはずだ。実際、昨季も勝ち点だけを数えれば、リーグ優勝にふさわしいのは8度のリーグ優勝を誇る彼らだった。広州はこのオフ、過去10年で初めて新戦力に資金を投じず、帰化選手のアラン・カルバーリョとリカルド・グラールをそれぞれローン先の北京国安と河北FCから呼び戻しただけだ。そのほか、エウケソン、アロイージオらからなる帰化組と、国産ウイングのウェイ・シーハオといったタレントを、ファビオ・カンナバーロ監督がいかにまとめられるか。そこがポイントとなるだろう。重鎮パウリーニョは中国の厳しい入国制限の対象となり、少なくとも14試合を欠場することになる。昨季のAFCチャンピオンズリーグでの早期敗退は、このブラジル人を欠いたことが大きい。今季も彼の不在が響くことになるかもしれない。

 北京国安は常にタイトルを目指してきたが、2009年を最後にリーグ優勝から遠ざかっている。引き続き野望を掲げる彼らは、オフにウェスト・ブロムウィッチから更迭されたスラベン・ビリッチに白羽の矢を立て、すぐさま契約を結んだ。彼らもまた、既存戦力の慰留を最大の補強と考え、若手の先行投資以外には資金を投じなかった。しかし、レナト・アウグストとフェルナンドも、パウリーニョと同じように母国の惨状と中国政府の厳戒態勢により、チームへの合流はずっと先になりそうだ。

 上海海港は実りなき昨季を経て、イバン・レコ新監督を招聘。母国へ去ったフッキの後釜は見つかっていないものの、プレミアリーグ経験者トリオ(オスカル、アーロン・ムーイ、マルコ・アルナウトビッチ)は健在で、3季ぶりのリーグ優勝も十分に狙える。

 ACLに参戦するつもりだった山東泰山は、浦和レッズから昨季のチーム得点王レオナルドを、全北現代から昨季KリーグMVPのソン・ジョンホを獲得。だが人件費の未払いが発覚し、大会から除外されてしまった。ただし、戦力アップした陣容で国内に集中できるとポジティブに捉えることもでき、マルアン・フェライニも健在のチームは2010年以来のリーグタイトルを視野に入れている。

文=Ming Zhao(趙明)
翻訳=井川洋一

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