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【アジア最前線:中国】中国サッカー協会が各クラブの名称から企業名を排除するように指示……広州恒大が広州FC、広州富力は広州シティに

[写真]=Getty Images

ファンからの反発を招いた“新ルール“

 前回のコラムでお伝えしたように、新たに厳格なサラリーキャップを導入する中国スーパーリーグ(CSL)。そこにさらなるルール変更が加わり、激震が走っている。

 中国サッカー協会(CFA)は、同国のすべてのプロクラブに対し、名称からオーナー名やスポンサー名を排除し、中立的なクラブ名に変更するよう達した。これは2021シーズンから適用され、中国で最も国際的に有名なクラブである広州恒大の名称も過去のものとなる。

 本稿執筆時点で、CFAは新シーズンのCSLを戦うチームの半数以上の名称を承認。上海申花と大連プロは「十分に中立的」と認められ、変更せずに済んでいる。

 しかし、それ以外のチームの関係者やファンからは、不満の声が上がっている。たとえば、北京国安はCSLよりも長い歴史を持つクラブ名であり、クラブ自体も地元のサポーターたちと密接につながっており、反発は免れない。また27年の歴史を持つ河南建業のクラブ名は、洛陽龍門とドラスティックに変更され、怒ったクラブのウルトラスの一部は、すぐさまサポートをやめることを宣言し、なかには公然とシャツを燃やす者もいる。

 ファンに愛着を持たれない名称もあれば、シンプルすぎるものもある。広州の2クラブは、広州恒大が広州FC、広州富力は広州シティとし、ファンの不興を買っている。今後、ひとつの都市に複数のクラブが存在する場合、●●FCや●●シティ、●●ユナイテッドが主流になっていくのだろうか。

 ただし一部の報道によると、CFAは新たな名称にはその土地やクラブにふさわしいアイデンティティを盛り込むように、と促しているようだ。文化的な示唆や独自性のあるものが最適だという。

投資家の撤退も噂される

 名称変更に関する全体的な反応は、二分されている。ポジティブな意見を持つ人々は、1993年にJリーグが決断した大胆なリブランディグを例に取り、日本と同じようにその後の成功につながるのではないかと言う。一方、欧州のように、シンプルなクラブ名で統一すべきだと主張する人もいる。

 ただし、上海上港の新名称については、疑いの目が向けられている。同クラブのオーナーは上海国際港務集団(Shanghai International Port Group)という企業で、その頭文字を取った名称がつけられていたが、彼らは新名称を上海海港(Shanghai Port)とした。名前も意味もほとんど変わっていないため、再考を迫られる可能性もあったはずだが、CFAがすぐに認めたため、もとより国が支援する同クラブと旧態依然とした協会の結びつきに不満が持たれている。

 またAFC主催の大会に出場する際には、これまでの名前が使われるかもしれない。なぜなら、AFCはクラブ名称の変更をすぐには認めないからだ。例えば、北京国安では2017年にSinobo(中赫)社が主要株主となり、クラブの正式名称を北京中赫国安に変更したが、アジアの大会では北京FCと名乗っていた。

 中国サッカー界ではこれまで、クラブのネーミングライツは見返りを求める投資家にとって、最も価値のあるものと捉えられてきた。好例の一つが、広州恒大──現在の広州FC──だ。クラブを買収した地元出身のビジネスマン、許家印(シュー・ジアイン)は自らの会社、恒大集団の名をクラブに冠し、この10年で同社を地方の不動産ディベロッパーから、中国で最も影響力を持つコングロマリットの一つにまで成長させている。だが、そうした手法はもう使えなくなる。

 クラブ名の変更は、高潔で正当な理由のもとに下されたようだが、いかにもタイミングが悪い。新型コロナウイルスの影響により、世界中のフットボールクラブが赤字にあえいでおり、それはCSLのクラブも同じだ。ビジネス面の旨味がさらに減るのであれば、噂されているように、多くのオーナーがフットボールから手を引くことになるかもしれない。

文=Ming Zhao(趙明)
翻訳=井川洋一

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