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マジョルカの“中の人”が語る「久保建英効果」

『#TodayWePlay』なるオンラインセミナーをご存じだろうか?

 いや、これが結構すごい。ラ・リーガと『インスティトゥト・セルバンテス東京』(スペイン語教育やスペイン文化の普及を目的とするスペイン国営の文化機関)が共同で開催するこのセミナーには、ラ・リーガ各クラブのいわゆる“中の人”が登場する。

 ラインナップされているのは、マジョルカ、エイバル、ウエスカ、ビジャレアル、ベティスなどなど、日本のラ・リーガファンにはおなじみのクラブだ。7月2日に行われた第2回講座では、マジョルカのCFO(最高財務責任者)を務めるアルフォンソ・ディアス氏が講演を行った。

 大久保嘉人、家長昭博、そして久保建英と、3名の日本人選手が所属してきた“縁深い”マジョルカのCFOが、わざわざ日本向けに講座を開いてくれるんだから(もちろん通訳つき)、参加してみるっきゃない。ちなみに、当日、司会を務めてくれたのは、こちらもやっぱりラ・リーガファンおなじみの小澤一郎さんだ。

通称“タケ現象”。久保建英がSNSにもたらした影響

 講演の前半は、マジョルカというクラブの紹介だった。大久保、家長の頃もそうした側面はあっただろうが、英国紙に“世界で最もエキサイティングなティーンネイジャー”と評される久保が在籍しているのだから、マジョルカは今、日本を“開拓すべき市場”と捉えているのだろう。ディアス氏の話は、さながら「投資家向けのプレゼン」のようだった。

 1916年創設と、100年以上にわたるクラブの歴史。1998年スペイン・スーパーカップ優勝、2003年のコパ・デル・レイ優勝という栄光。クラブが持つファシリティ、NBAのフェニックス・サンズとの経営的な連携、マジョルカ島という観光資源に恵まれたホームタウン。「え? チケット収入が2015-16シーズンと比較して4倍に? え? スポンサー収益に至っては7倍?」。「……よし、君のクラブに投資しようじゃないか」と、思わず右手を差し出したくなった聴講者は僕だけじゃないはず(いや、無理だけど)。

 でもやっぱり、気になるのは久保の話だ。もちろん、ディアス氏もそれは分かっている。講演が「ソーシャルメディア」の項に及ぶと、久保……いや、“タケ”の名前が連呼された。

「私たちはこれを“タケ現象”と呼んでいる」。そうディアス氏が語気を強め、紹介してくれた数字は以下のとおりだ。

 SNSのフォロワー増加率(昨シーズン比):+24パーセント
 TwitterとFacebookのフォロワー総数:69万6000人
 エンゲージメント増加率(昨シーズン比):+400パーセント
 投稿数増加率(昨シーズン比):+12パーセント

 ディアス氏は言う。「プリメーラ(1部)への昇格ももちろん大きな出来事でした。でも、コミュニケーション面において(タケは)本当に大きな現象を起こしています。日本の皆さんはYouTubeに非常に注目しているようなので、私たちはそこを中心にコミュニケーションにおける戦略を推し進めています。私たちはYouTubeと呼ばずに“タケTube”と呼んでいますけどね(笑)。久保選手がそれだけ中心的になっているのです」

 実際、マジョルカのSNSのフォロワーを国別に見ると、TwitterとInstagramではスペインに次いで日本が2位にランクインするというし、SNS上で最も注目された画像は久保がマジョルカとの契約にサインした際のものだったそう。そしてYouTubeに至っては、スペインを押さえて日本が1位だ。

 さらに話は試合の視聴者数に及ぶ。今シーズン、マジョルカの試合の合計視聴者数は4580万人で、昨シーズンと比較した増加率は+1,117パーセント。ラ・リーガのクラブのなかで、マジョルカは日本での視聴率が最も高いクラブになっているらしい。

タケはユーモアセンス抜群。ロッカールームでも大人気

“タケ現象”について興奮気味に語るディアス氏は、講演後半の質疑応答にも饒舌に答えてくれた。「久保選手のどの能力を評価して獲得に至ったのか?」。日本のサッカーファンなら答えを聞きたい質問だろう。

「まず若さです。それからアビリティとタレント。そして、彼のオフェンシブなキャパシティ。こういった能力には本当に注目しました。そして、“違う”こと。ピッチ上で他と違うプレーをする選手を探していたときに、まさに久保選手がそれに該当しました。彼は若くして本当に成熟した内面を持っていて、自らの立ち位置をよくわきまえている。利他的な選手としてプレーしています。試合がうまくいかないときでも、自らボールを回してもらって、責任を持ってその状況を改善するように働いている。そういった精神の持ち主です」

 質問は続く。「久保選手のスペイン語はどう?」

「正直に言って、タケは僕よりもスペイン語がうまいですよ(笑)。言葉の能力だけでなく、ユーモアのセンスにも優れていて、ロッカールームでとても人気のある選手になっています。オープンな性格で、スペイン語の能力も高い。サポーターからも、ロッカールームでも好かれている選手です。日本人でありながらスペイン語を熟知しているので、日本とスペインの文化的な違いで遊ぶというか、おもしろおかしく冗談を言うんですね。若い選手でありながら、そういう側面があるのは本当にありがたい」

 久保建英は、やっぱりすごい。スペイン1部で戦うクラブにおいて、プレーヤーとしても、コミュニケーション上のアイコンとしてもトップクラスの存在感を示しているんだから。と同時に、このセミナーはやっぱりすごい。スペインのトップクラブの“中の人”が、こんなにもあけすけに我々の質問に答えてくれるんだから。

 セミナーは全10回。7月9日に行われる講演が第4回だから、まだ7つのクラブの講演が残っている。個人的には(大好きな)サンティ・カソルラが所属するビジャレアルの“中の人”にもあれこれ聞いてみたい。興味を持ったラ・リーガファンの皆さんも、よろしければぜひご一緒に。

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