2019.12.03

【インタビュー】ベルギーのシント=トロイデンVVで揉まれるシュミット・ダニエル…勝負服が似合う男に!

海を渡り、ベルギーのシント=トロイデンVVで活躍するシュミット・ダニエル[写真]=STVV
サッカー総合情報サイト

――今日は午後だけの1部練習でしたが、普段は2部練習だとうかがっています。Jリーグ在籍時と比較してシント=トロイデンVVのほうが練習はハードですか?
シュミット こっちに来た当初は結構ハードだなと思っていたんですけど、練習の内容自体はそこまでしんどくはありません。ただ、練習時間がとにかく長いので夏場はきついんですけど、寒くなってきた今は疲れたという印象はあまりないです。

――トレーニングの内容自体で何か違いを感じますか?
シュミット シント=トロイデンVVの特徴としては、基本的な部分の確認作業がすごく多いですね。特にボールを触ることに関しては。同じことを何回も繰り返して、念入りに確認する印象があります。

――他の選手を見ていても、ベルギーに来てから体が大きくなっていく印象があります。ご自身でも感じます?
シュミット 理由は分からないのですが、確実になっていますね。

――何か特別なトレーニングをしているのでしょうか?
シュミット 特に筋トレを増やしたわけでもないんですけど、食事で分厚くなったのかな。肉も食べるし、だいたいはちょっと太りますけど、それがうまく筋肉に変わっていったのかも。とりあえず、どうしてなのかは分からないですけど、デカくはなりましたね。

――実は日本代表の活動で日本に帰国された時に、また一回り大きくなったと感じる記者さんも多いそうなのですが……。
シュミット あ、でも、言われてみれてばやっていました! 全員での筋トレをするので、それで胸の筋肉はついたのかもしれないです。ただ、頻繁に何回もやるわけじゃないですが。

――シント=トロイデンVVには日本を含む14カ国の選手がいます。フィジカル面でもそうですが、コミュニケーションの部分でも苦労が多いと思います、多国籍のチームで実際に3カ月間揉まれてきた感想は?
シュミット 確かにいろいろと揉まれている感はありますよね(苦笑)。言葉が簡単に通じないとか、それも壁じゃないですか。壁に当たって揉まれている感じがあるから。俺的には、今はコミュニケーションが課題で、試合中にもっと自分の声で指示を出せれば、もうちょっと失点を防げるんじゃないかなという思いがあるので。そこでも揉まれていますね(苦笑)。

――海外に来てみて、今まで自分が持っていた理想や目指すべきGK像に変化はありましたか?
シュミット そんなに変わっていないです。自分が今までいいと思っていたGK像は、間違いなくこちらでもいいGKだと思うので。具体的には、“チームのリーダー感のあるGK”と“自信を持っているGK”。技術的なところは置いておいて、その二つが醸し出せているGKは自ずとすごくいいGKに見えますし、実際にいいGKです。
   

普段は2部練習が多いシント=トロイデンVVで、シュミット・ダニエルは揉まれる日々を過ごしている


 
――さきほど「コミュニケーションが課題」だとおっしゃいましたが、ベルギーに来て感じる手応えや伸びてきている部分はどんなところですか?
シュミット 伸びてきているのはビルドアップの部分ですね。来たばかりの頃よりはチームのやり方を理解できるようになってきたし、どういうプレーが求められているのかが分かるようになって、それが実践できるようになりました。そこは良くなってきたと思います。ただ、ずっと自分が課題と言ってきたシュートストップについては、思ったよりこのリーグでプレーする選手のシュート技術が高いわけではないので、そんなに伸ばせていないなと感じます。かといって、ものすごく止められているわけではないですけどね。

――代表活動中のシュミット選手のビルドアップを記者さんが見ていて、「技術の上がり具合が半端ない」と評判だったようですが、ビルドアップの部分はチームでも言われているところですよね?
シュミット そうですね。「真ん中と中央を見ろ」と言われているので。今まではサイドから来て、逆サイドに振る作業をファーストプライオリティにしてやっていましたけど、今は「まずは真ん中の空いてる選手を見つけろ」と。なので、そこは少し見つけやすくなってきました。

――結構、監督やGKコーチと密にコミュニケーションを取っていますか?
シュミット そうですね。「これどうしたらいいの?」というのはよく聞きます。質問というか、助けてほしい時に、どうしたらいいかはマーク(ブレイス監督)にも聞きますし、ブラム(ヴルビストGKコーチ)にも聞きますね。

――海外でプレーするという憧れをずっと抱いていたと思いますが、今年、実際に海外移籍を果たした理由は何だったのでしょうか?
シュミット ずっと海外には行きたいと思っていましたけど、日本代表に入らないとチャンスはないし、もちろん海外スカウトの目にも留まらない。そういう中で去年の9月に初めて日本代表に選ばれて、冬ぐらいから代理人を通じてシント=トロイデンVVとの話が始まったんです。実はシント=トロイデンVVからしかオファーはなかったので、「チャンスがあるならぜひ行きたい!」と思いました。

――移籍するまで、ベルギーのジュピラー・プロ・リーグを見たことがありましたか?
シュミット フルタイムで見たことはなかったですが、ハイライトではありました。加入当時、チームにいたトミ(冨安健洋)と(遠藤)航とは代表でも一緒にやっていたので、どういうチームなのかは気になっていました。ベルギーのリーグがどのくらいのレベルなのかは映像を見ただけでは分からなかったですけど、欧州の主要リーグにアピールする場というイメージだけはありました。

――それは実際にベルギーに来ても変わらないですか?
シュミット 全員が持っているわけではないのですが、個を持っている選手が目立って見えるリーグですね。スキルのある選手が試合に出ているとすごく目立つんです。そういう意味では実際にアピールしやすいリーグなのかなと思います。

――それぞれの理由があるとは思うのですが、シュミット選手はどうして海外に挑戦したかったのですか?
シュミット 僕自身、ヨーロッパのGKが世界一だと思っているんです。ヨーロッパって言うとだいぶ大まかですけど(笑)。でも、ベルギー出身GKにはレアル・マドリーで活躍するティボー・クルトワがいたり、ベルギー代表のシモン・ミニョレ(2006-07~09-10シーズンはシント=トロイデンVVに在籍)がいたり。僕の場合は、より高いレベルのGKを目の前にできる環境に自分の身を置きたいと思い、ヨーロッパに挑戦したかったんです。

――ただ、Jリーガーとして、Jリーグで活躍してチームに実績を残し、チームに貢献し続けるということも一つの選択肢としてあったと思います。
シュミット こっちに来て改めて思うのは、Jリーグが海外と比べてレベルが低いわけではないということです。みんな確かな技術を持っていますからね。ただ、JリーグにはたくさんいいGKがいますけど、それ以上のGKがたとえベルギー・リーグにはいなくても、隣のドイツにはゴロゴロいるわけです。そういうスーパーな選手たちを生で見る機会は、こっちにいるからこそできること。ましてや、いいGKのいるチームと対戦できたり、同じチームで一緒にプレーできるチャンスが出てくる可能性がわるわけです。そう考えると僕は、GKとしてうまくなるためにはヨーロッパに来たことがベストな選択だったんじゃないかなと思っています。
   

結構割り切ってできているからこそ、海外生活には向いているほうだと自己分析している


 
――海外での生活も含めて、海外移籍には向き不向きもあると思います。シュミット選手自身、向いてるほうだと思いますか?
シュミット 向いてるほうだと僕は信じています。日本の常識とはいろいろと違うところがあるけど、それをいちいちストレスと捉えるか、割り切ってやるかは本人次第。自分は結構割り切ってできていると思うので向いているほうなんじゃないかと。でも、実際に日本で生活していたほうが便利だし、幸せだろうなと思ったりもしますよ。それはこっちに来て、より思うようになりましたね。モノや道具一つを見ても、メイドインジャパンって最高だなって(笑)。だから、日本で生活するほうが幸せというのは、日本人からすれば間違いないとは思います。生活だけを見れば、ね。

――ベルギーではご家族も一緒に生活されています。オフは出掛けたりしますか?
シュミット ちょうど昨日はオフでしたけど、家族とブリュッセルまでご飯を食べに出掛けていました。そうしたら行こうとしていたお店が、9月17日から10月31日まで休暇を取りますと(苦笑)。「え、営業していないの? 休みが長いな」って(笑)。そういう感じだから、今はもう「バケーションならしょうがない」って思えるようになりましたよ。

――日本からベルギーに環境を変えた一方で、カタールワールドカップに向けたアジア2次予選もスタートし、日本代表としての活動も増えました。近年、レベルアップしてきているアジア諸国と、アジアカップやW杯アジア2次予選で戦ってみて印象はいかがですか?
シュミット この間のタジキスタンもすごくいいチームでしたし、実際にいい選手もいました。これまで戦ってきたアジアの国の中には、W杯に出たことのない国もありましたし、アジアカップに出られない国もあります。ですが、アジアの国と対戦するのは決してラクなことではなく、負ける可能性のある試合もあるんです。アジアカップも初戦のトルクメニスタン戦で3-2と競って、なんとか勝利できましたから。アジアは今、本当にどこの国と対戦しても負ける可能性があります。ましてやアウェイだと、環境もより厳しくなるので、アジアを勝ち抜くことは決して簡単なことじゃないなって改めて思いました。

――ベルギーから日本、アジア諸国からベルギーと移動や時差対策も大変だと思いますが、少しは慣れてきましたか?
シュミット 気をつけようとしたら逆に難しいです。だから最近思ったのは、時差をあまり合わせ過ぎないようにすること。日本で試合をする場合はナイターなので、練習も夕方からですしね。

――ベルギー時間で言うと、試合時間は昼ぐらいになるんですかね?
シュミット そうですね。だから夜中に眠れなくてもあまり気にしないです。だた、できれば夜中の2時ぐらいまでには寝るように意識していますね。1回起きて、朝ご飯を軽く食べて、また午前中に寝て。昼ご飯をちょっと食べて、また寝て、練習して。それでいいんじゃないかなって思いました。

――そうなってくると、もはや寝ないといけないゴールデンタイムがどこなのかも分からなくなりますよね(笑)?
シュミット そうなんです。もはや分からないです(笑)。例えば、夜食べて寝ると太ると言われているじゃないですか。でも、「俺に取っての夜ってどこだ?」みたいな(笑)。とりあえずお腹が空いたら食べるし、あまり時差を気にしてもよくないのかなって。だから今は、とにかく体のストレッチやマッサージだけはちゃんとやるようにしていますね。

――最初の頃はやはり気にしていましたか?
シュミット 最初の頃はね。例えば、ドイツのフランクフルトに到着する時は朝にベルギーに着くんですけど、この前はずっと起きていたんですよ。そうしたら次の日が超きつくて。もうダメだなって思って、寝たい時に寝ようって思ったんです。食べて寝て、食べて寝て練習して、という感じでやっていましたね。日本代表はビジネスクラスを利用するのですが、俺の場合はビジネスでも狭くてあまり眠れないので、正直しんどいんですよね(苦笑)。
  

多国籍のチームメートたちと汗を流すことで、厚みを増した体にスーツがよく似合うようになった


 
――移動と言えば、日本代表では移動時にはスーツを着用していますよね。スーツは普段よく着るのですか?
シュミット あまりプライベートで着る機会は多くはないですけど、代表での移動時やチーム移動時と、結構着る機会も多いので嫌いじゃないですね。

――何か、個人的なこだわりの着こなし方があったりしますか?
シュミット 意外と知られていないんじゃないかなと思うのですが、日本代表のスーツって実はスリーピースなんですよ。僕自身もスリーピースが好きなんですが、例えばこだわりとしては、ベストのちょっと見えるぐらいのところにネクタイピンを留める。あとはネクタイのえくぼ(ディンプル=くぼみ)を作りたい。でも、作り方が分からないので自己流で「こんな感じかな?」って、最後にグッと上に押しながらネクタイを締めています(笑)。そういうのをきちんと覚えたいなあって、最近はめっちゃ思っていますね。

――海外の選手の中には、めちゃくちゃおしゃれにスーツを着こなせる人がいますよね? 少しくだけた着こなしだったり、丈を短かくしたり……。
シュミット いますね。そういうのをナチュラルにできるのは格好いいですよね。様になりますから。骨格や筋肉、体型そのものが、もう格好いいんですよ、彼らは。だって上下ジャージを着ていても、様になるんですからね(笑)! でも、チームのオフィシャルスーツは生地がとても伸びるので、着ていて違和感がないんです。チームメートもいろいろな国の選手がいますけど、それぞれにバッチリ着こなしていていますね。

――ベルギーに来て4カ月ちょっと。日本代表とシント=トロイデンVVという2つのチームで、まさに世界を股に掛けて日々成長を遂げている最中ですが、今後の自分自身の成長も楽しみなのではないですか?
シュミット そうですね。日本代表ではまず、1試合出場したいと思っています。今は権田(修一)選手がいいパフォーマンスをしていて、無失勝利も続いています。だからそこは選手を代える理由がないと思うので、変にもどかしい思いを持たないで、日本代表を強くするために自分自身ができることをしっかりとやろうと思っています。またシント=トロイデンVVでは、最近は失点も多いので、とにかく失点を減らすことが最優先。そして最終的にはプレーオフ1(リーグ6位以内)に行って、リーグ戦が終わっても熱い戦いができるようにしたいので、そこを目指していきたいですね。

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