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左腕を切断したGK、第2のサッカー人生で審判員の道へ…UEFAの特集が感動的

2018.02.19

モラヴァツは審判の道を志した [写真]=Getty Images

 GKにとって腕は何よりも大切な部位だろう。まさに「商売道具」であり、その動かし方一つでチームの失点を一つでも防ぐことができる。それゆえ、GKでありながら腕を失うというのは耐えられないほどの辛さや苦しみが伴うはずだ。しかし、そうした苦境に遭いながらもサッカー界への復帰を果たした男がいるという。UEFAが特集を組んで伝えている。

 物語の主役はセルビア出身の元GKリュボミール・モラヴァツ。1996年11月18日生まれの21歳で、スロベニアの名門・マリボルのユースに所属していた。UEFAユースリーグでベンチ入りも果たし、将来を期待されたGKだった。

 しかし、そんなモラヴァツの運命は突如急転する。体が真っ二つになるほどの衝撃から前の席に座っていた2人が死亡し、後列に乗っていたモラヴァツも車から投げ出された。モラヴァツは無意識のまま病院へと搬送され、数日間は昏睡状態が続いていた。幸いにも意識こそ取り戻したが左手は重症を負っており、医師からは切断する以外の術はないと伝えられた。

 腕を失い、プロサッカー選手からの引退も余儀なくされたモラヴァツだが、「新しい生活に適応しなければない」とリハビリを再開。悲しみに打ちひしがれてもおかしくはない状況であったが、「私の目の前にはまだ人生が残っていて、何かを成し遂げる可能性もある」とポジティブに捉えたのだという。

 そんなモラヴァツにとって大きな存在となったのが、かつて所属していたマリボルだった。マリボルはモラヴァツにどこまでも寄り添い、手助けする方法を一緒になって探したのだそうだ。そしてモラヴァツは「今後も何らかの形でサッカーの世界に身を置いていたい」と考えるようになり、マリボルは審判に転身するためのトレーニングを提案。「もしフットボールのために生きたいのなら、フットボールはどんな時でも助けてくれる」と話し、実際に少年サッカーの試合を裁く経験を持つなど、サッカー界での新たな夢に向かって立ち上がった。

「5歳の頃と全く同じくらい、今でもサッカーを愛している」と語るモラヴァツ。UEFAの取材に対し、以下のように締めくくっている。

「事故の後、どのようにしてサッカーを続けられるのか分からなかった。私のサッカー人生は終わったと思ったんだ。しかし、そこで戻るべき道を見つけた。私はもう選手ではないが、これからはレフェリーであり、この道を歩み続けるつもりだ」

(記事提供:Qoly)

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