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【感動の名場面】あの選手がゴールパフォーマンスに込めた思いとは?

2017.02.18

イニエスタは大会後にユニフォームをハルケが所属していたエスパニョールのスタジアムに寄贈した [写真]=Getty Images

 選手にとってゴールパフォーマンスは1つの見せ場である。

 昨年末は、クラブ・ワールドカップ準決勝でFW鈴木優磨(鹿島アントラーズ)がFWクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)をまねたパフォーマンスを見せて話題になった。またレスターのFWジェイミー・ヴァーディは、スペイン代表との国際親善試合で「マネキンチャレンジ」を取り入れるなど、それぞれが個性にあふれたパフォーマンスを披露している。

 派手なパフォーマンスに注目が集まる一方で、感動をもたらすパフォーマンスも存在する。

 2015年3月14日、当時ヘルタ・ベルリンに所属していたMFアニス・ベン・ハティラ(現ガズィアンテプスポル)は少年のために「スパイダーマン」を演じた。ブンデスリーガによる「試合中のマスク着用禁止」の規則に反してまでもだ。

 ベン・ハティラは試合の5カ月前にがんと闘う8歳のヤニク君と出会った。小さい体で懸命に病と闘う姿を目にし、「僕とヤニクはともに病気と闘うことを誓った」という。そして3月14日のシャルケ戦。先制点を決めたベン・ハティラは、事前に用意していたスパイダーマンのマスクをチームスタッフから受け取る。マスクをかぶると、観戦に来ていたヤニク君にパワーを送るかのように両手を大きく広げた。試合後に手をつないでスタジアム内を歩く2人の姿には心が温まる。

 強烈なインパクトを残したのは、現在マンチェスター・Uに所属するFWズラタン・イブラヒモヴィッチではないだろうか。文字で埋め尽くされた上半身を見た時は驚いた。

 今から約2年前の2015年2月14日、カーンを相手に試合開始72秒でゴールを奪ったイブラヒモヴィッチ。おもむろにシャツを脱ぎ、世界中で飢餓に苦しむ50名の名前が入ったタトゥーを披露した。WFP(国際連合世界食糧計画)とのコラボレーションで実施したパフォーマンスは、今もなお、世界で8億500万人の人々が飢餓に苦しんでいるという現実を改めて考えさせられる機会になった。

 ローマのMFアレッサンドロ・フロレンツィが抱擁した相手は、ガールフレンドでも我が子でもない。82歳のおばあちゃんだった。フロレンツィは試合後に『Sky』のインタビューでこう語っている。

「今日のゴールは祖母だけのためのもの。祖母は僕に『おまえだけのために観に行くよ。だけど、私のところに挨拶しにきておくれ』と話していた。だから、祖母のためにゴールを決めたんだ」

 最高の“おばあちゃん孝行”となった2014年9月21日のカリアリ戦。チーム2点目を決めたフロレンツィはチームメイトの祝福を振り切り、一目散にスタンドへと走り出す。ファンを押しのけながらずかずかと進み、その手で祖母を強く抱きしめた。その場面はもちろん、涙を拭う祖母の姿に胸が熱くなった人も多いだろう。

 バルセロナのMFアンドレス・イニエスタもまた、ある人物への思いを込めたゴールパフォーマンスを披露している。南アフリカ・ワールドカップ決勝という大舞台でのことだ。

 決勝点となるゴールを叩き込んだ瞬間にスタジアムは歓喜と興奮に包まれた。歓喜の雄叫びをあげるイニエスタは、ずっと前から決めていたかのようにシャツを脱いだ。

「DANI JARQUE SIEMPRE CON NOSOTROS(ダニ・ハルケ 僕たちは永遠に一緒だ)」

 アンダーシャツに書かれたメッセージは全世界に発信された。2009年8月8日、急性心筋梗塞により26歳の若さで急逝したハルケは、ユース代表のチームメイトであり、親交の深い友人でもあった。イニエスタは亡き友への思いを決勝ゴールで届けるとともに、W杯優勝を捧げた。(当時の映像はこちら

 ゴールパフォーマンスには様々な思いが込められている。そのストーリーを追いかけてみるもまた、サッカーの楽しみ方の1つだろう。

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