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西野朗氏が技術委員長に就任…霜田氏らと「三位一体」で“世界基準”の代表強化へ

2016.03.28

昨季まで名古屋を率いていた西野朗氏 [写真]=Getty Images

 日本サッカー協会(JFA)は27日、東京都内のJFAハウスで2016年度定時評議員会および第4回理事会を開催し、田嶋幸三新会長の率いる新体制が発足。10日に発表された次期役員候補者に名前が挙がっていた西野朗氏も技術委員長として新理事に就任した。

 現在60歳の西野氏は、1996年アトランタ・オリンピックで監督としてブラジルを1-0で破った“マイアミの奇跡”を導いた。その後はJリーグで柏レイソル、ガンバ大阪、ヴィッセル神戸を渡り歩き、2014年から名古屋グランパスを率いていたが、昨季終了を持って退任した。「常に指導者としての感覚、マネージメントの感覚は持っていたい。サッカー人なので」と口にするほど、長年過ごした現場への気持ちが強く、就任の打診には「快諾ってわけにはいかなかった」という。しかし「田嶋会長のサッカー界に対する熱だとか、協力要請を頻繁に受けたこと。いろんな話を聞いて、共感できることがたくさんあった。自分自身も新たなチャレンジをしようと思った」として就任を決断した。

 技術委員会は、霜田正浩氏(強化担当)と山口隆文氏(育成/指導者養成担当)の2人が委員長を務めていたが、これまでの役割は継続する模様。新任の西野氏は「三位一体で統括的なポジション」に入る。

「三位一体で技術委員会を動かしていこうってところの統括に自分がいる。現行の霜田氏は強化を含めて代表チームで今までどおりのスタンスでやってもらう。育成、養成に関しても山口氏がしっかりやってくれているので同じポジションで。僕が(代表チームを)混乱させるようなポジションには就きたくない。最初に懸念したのはそこ。しっかり代表チームも流れているし、僕は全面的に現状の体制をバックアップしていきたい」

 田嶋新会長も「すでに各世代別の代表は動き出している。新しいものが入るのはリスクが大きいし、逆にそこをしっかりサポートしていく体制をつくることが大事」と説明。だが、霜田氏、山口氏との住み分けは細かく決まっていないようで「どのような関わり合いになるのか今後話し合っていきたい」とした。

 新技術委員長の役割として「『世界基準』というキーワードを基にやっていこうとことで2人の意見は共通している。西野さんには世界をしっかりと見て、各代表チームのサポートをする体制をより強化してもらおうと思う」と田嶋会長が語れば、「将来的にもっと世界基準を知って、学んで、日本のサッカーに取り込んでいかなければいけないと思う」と西野氏も同じく「世界基準」を強調。

 現代表の課題を問われて「今は無責任に言えませんね」と前置きした西野氏だが、「いろんな強化や育成とか、世界と少し遅れているんじゃないかなという感じはある。世界の進歩もかなり、日本の成長度合いとは違う速度で進んでいるんじゃないかなと思う」と世界との差があると主張。そのため、「積極的に海外のクラブだったり代表チームの活動を学んだり、指導育成体制をしっかり取り込んで(日本代表に)落としていきたい。もっともっと世界基準に引き上げようと積極的にやりたい」と、世界を学び、代表への改革に繋げていくと意気込んだ。

 “マイアミの奇跡”から20年。オリンピックの舞台で歴史を作った西野氏は、今回のリオ五輪代表について「素晴らしいと思います。多少は不安のあったチームでしたけど、ああいう経験(AFC U-23選手権優勝)を積むことで間違いなくA代表に繋がる」と話し、メダル獲得にも期待を寄せる。

「オリンピックは各先進国の力の入れ方が少し違うので大いにチャンスはあると思う。それほどレベルが高いところにあるわけではないので。日本はチームの組織力だとか、個人的にも通用する選手がいると思う。うまく融合すればチャンスはある」

 一方のA代表は、29日に行われる2018 FIFAワールドカップロシア アジア2次予選でシリア代表と対戦する。初仕事として同試合が行われる埼玉スタジアムに足を運ぶと明かした西野氏は、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督と「29日に少し話をできればと思う」とコメント。今後は日本代表選手が所属するクラブを訪問するなど、世界を学ぶための海外視察を「積極的に計画している」という。

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