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多様性を広めるサッカー大会がスニーカーの収益で実施

2018.07.10

 知的障がい者の理解を促進するサッカー大会が、200名の参加者を集め、キャプテン翼スタジアム東京北で開催された。知的障がいのある人とない人が同じチームでプレーする、このユニファイドサッカー大会は、デンマークのスポーツブランド「hummel(ヒュンメル)」が、スニーカーの収益で実施。多様性を広げるイベントとなった。

ゴールが決まると、チーム全員で喜び、試合前に決めたパフォーマンスを行った

子どもたちの居場所

 イベントを運営したのは、NPO法人トラッソス。2003年に東京都江東区に誕生した知的障がい児・者のためのサッカースクールである。このトラッソスの設立者である吉澤昌好氏が、ヒュンメルの限定スニーカーでモデルを務め、その収益を使って今回のイベントが行われた。

イベントはヒュンメルの限定スニーカーの収益で実施された

 吉澤氏は、もともと、Jリーグのトップチームの下部組織で指導者として働いていたが、知的障がい児とサッカーをする機会を得たことから、トップを目指すための厳しい指導よりも、子どもたちが自分の居場所だと感じられるサッカークラブを作ろうとトラッソスを設立した。

「ルールを覚えたり、理解するのは、苦手な子どもたちが多いのですが、理解しやすい内容にし、自然とルールに則っていけるような配慮をしていけば、一緒にプレーを楽しむことができます。重度の子どもたちは、何倍も時間がかかりますが、チームで行うことで、他者を気にし、気遣えるようになります。チームスポーツだからこそ、お互いに思いやり、心の成長につなげることができると思っています」と吉澤氏は話す。

吉澤氏の立ち上げたトラッソスでは、みんなが一緒になって笑顔で楽しむサッカーを心がける(写真:トラッソス)

ごちゃまぜを楽しむ

 大会には、アンプティサッカー選手(四肢の切断障がい)も含め、知的障がいのある人とない人が、性別や年齢、肩書きに関わらず、10数名で1チームとなり、5試合をプレー。サッカーボールで行う通常のゲームに加え、ソフトラグビーボールやバランスボールでの試合を混ぜることで、サッカーの上手い下手に関わらず、一緒に笑いあえるゲームに。それが、試合の合間にも話すことにつながり、より深い関わりを持つことができるイベントとなった。

大きなバランスボールでのプレーは大人も戸惑うほどだったが、笑顔がはじけるゲームに

 もともとトラッソスでボランティアをしていたことがきっかけで特別支援学校の教諭になったという男性は、「子どもたちが楽しいと感じられる機会が増えるのはうれしいですし、知的障がい児・者がまだまだ社会で受け入れられていないと思うので、お互いにいい機会になったのでは」と語った。

 吉澤氏は、「毎年開催している全日本知的障がい児・者サッカー競技会『にっこにこフェスタ』でも、大勢の方にボランティアをしてもらっていますが、今回のように同じチームで長い時間を共有する機会はありませんでした。子どもたちがデザインを考えてくれたチームユニフォームもあり、一体感の感じられる時間にもなりましたし、障がいの有無や性別、経歴も関係なく、『ごちゃまぜチーム』でサッカーを楽しむことができて、よかったと思います」と振り返った。

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