FOLLOW US

「大空翼とはイコールのよう」…『キャプテン翼』著者が語るマラドーナ

2016.05.25

『キャプテン翼』の作成者である [写真]=山口剛生

 サッカー史に残る名選手である元アルゼンチン代表MFディエゴ・マラドーナが、大活躍を見せた1986年のメキシコ・ワールドカップから今年で30年が経過する。

『サッカーキング』では節目の年を迎えるにあたり、マラドーナにゆかりのある様々な人物に、マラドーナを語ってもらう連載企画をスタート。第1回はサッカーマンガ『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏に話を聞いた。

『キャプテン翼』は1980年代に連載やアニメを通じて日本にサッカーブームを巻き起こした作品であったが、時を同じくして現実のサッカー界ではマラドーナが栄光への階段を駆け上がっていた。1979年に日本で開催されたワールドユースがマラドーナのプレーを最初に見た記憶だと話す高橋氏は「マンガの主人公のような印象がありました」と当時を思い起こす。

 マラドーナと同じ1960年生まれということもあり、「より強く意識する部分はありました」と語り、執筆期間とマラドーナの全盛期が重なっている影響はあったか尋ねると、「マラドーナは大空翼とイコールというか、インスパイアされている部分がとても大きかったと思います。ちょっと優等生なマラドーナといったところでしょうか(笑)」と、冗談を交えつつ、マラドーナと翼に重なるイメージを持っていたと明かす。

 メキシコW杯でマラドーナはエースとしてアルゼンチン代表を2度目の頂点に導いた以外に、準々決勝のイングランド戦ではゴールキーパーに先んじてハイボールを触って得点した“神の手”ゴールとセンターライン付近からドリブルでイングランド守備陣5人を抜き去って得点した“5人抜き”ゴールというサッカー史に残るゴールを決めた。

“神の手”は「翼がやることは許されないプレーですね(笑)」と話しつつ、「マラドーナだから許されている部分もあると思います。だからこそ、伝説になったのかもしれません。“神の手”と“5人抜き”を同じ試合でしてしまうわけですから」とその偉大さを語る。

 その後、マンガ内ではアルゼンチン代表としてマラドーナをモデルとしたファン・ディアスというキャラクターが登場する。「側転からバック転をしてオーバーヘッドキックのような軽やかなプレーシーンを描いているときは好きで、気持ちよかったです。実際、マラドーナはそこまでのプレーはできませんが、キャプテン翼の世界観の中にマラドーナが加わるとそうなると思いながら描きました。漫画だからできることですね」と、作品内でも人気のキャラクターについて話している。

 また、現代サッカーにおいてマラドーナのような存在が登場するか、の問いについては、戦術の進化と現在サッカーがよりアスリートとしての資質を求められていることを理由に挙げ、「10人対10人で試合をした方が面白いのではないでしょうか。11人対11人ではスペースがないので、昔のようなスーパープレーが出にくくなっていると思います」と、自身の見解を話している。

 本サイト内では他にも日本でマラドーナのような稀有な存在が生まれる可能性やさらなる『キャプテン翼』の執筆裏話、“マラドーナかメッシか”論についてなども語っている。

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

SOCCERKING VIDEO