[写真]=神山陽平
ともに1987年生まれ、右サイドのポジションを争う藤田征也と奈良輪雄太。それぞれの持ち味を発揮しながら、湘南ベルマーレのサイド攻撃を司っている。ベテランの域に差し掛かりながら、溌剌としたプレーを見せる二人が、ベルマーレへの熱き思いを打ち明ける。
Jリーグサッカーキング5月号[湘南ベルマーレ特集]共走-KYOUSOU-
今やるべきことをやるしかない(奈良輪)
今のフォーメーションが最も自分の良さを出せる(藤田)
お二人が初めて会った時の、お互いの第一印象を教えてください。
奈良輪 征也は若い頃から代表に入っていたので、俺は一方的には知っていましたし、共通の友人である秋元(陽太)からも話は聞いていたので、ずっと知っている存在ではありました。実際に会った時は、話しやすくて気さくな人という印象でした。
藤田 僕も秋元から、ハムちゃん(奈良輪の愛称)が湘南ベルマーレに来るかも、という話は聞いていました。最初に会った時のことはあまり覚えていないんですけど、ハムちゃんも来るもの拒まず的な感じはあったので、仲良くなれるだろうな、という感覚はありました。
お互いのプレースタイルを分析していただけますか?
奈良輪 同じ右ウイングバックのポジションをやっていますが、征也は攻撃への比重が大きく、僕のほうが守備への比重が大きい、というのが大まかな特徴ですね。
藤田 僕もそういうイメージ。ハムちゃんはすごく献身的で、攻撃も守備もサボらずにやる印象があります。
お互いの存在は、やはり刺激になるのでしょうか。
奈良輪 他のチームなら、同じポジションの選手には単純に負けたくない気持ちになると思うんですけど、ベルマーレの場合はちょっと特殊というか、好調だからとか、コンディションがいいからという理由だけで試合に出られるわけではないので。
藤田 そう。調子が良くても、必ずしも試合に出られるわけではないんですよ。対戦相手との相性を考慮したり、選手の精神状態を見極めたり。要素は様々で、曺さんもいろいろ踏まえて決めている感じです。
奈良輪 誰が出るかは曺さんにしか分からないので、いい意味で他人のことを気にする必要がないというか、自分が今やるべきことにフォーカスしてやるしかない、という感じで日々を送っています。
藤田 出る、出ないで一喜一憂している場合じゃない、という感じです。
奈良輪 開幕戦だって、征也が先発で出る感じでトレーニングしていましたし、僕もずっとそう思っていました。昨シーズンも、自分が先発で出ると思っていたところがサブに回ったことが何回もありました。
どのタイミングでメンバーの変更を伝えられるんですか?
奈良輪 試合当日のこともあるし、前日のこともあるし。他のチームはサイクルが決まっていて、2日前や前日に決まるのが基本だと思うんですけど、ベルマーレではそれがない。開幕戦の時も、試合当日の朝に言われました。
藤田 だから、常に試合に出る準備をしておかなければならないんですよね。
右ウイングバックとしての役割、意識していることを教えてください。
奈良輪 自分は本来、右サイドバックが本職だと思っているんですが、ウイングバックは少し前目で攻撃の比重が高くなるので、常にその部分を意識しています。
藤田 僕は個人的には今のフォーメーション、今のポジションが、最も自分の良さを出せると感じています。攻撃面では相手の裏を狙う動きや、ボールをはたいてワンツーで抜け出す動きを意識していますし、ディフェンス面でもサボらずにしっかり戻ってポジションを取るよう意識しています。
左サイドは高山薫選手の出場機会が多いですが、高山選手の印象は?
奈良輪 薫は同じ神奈川県出身で、年齢も一つしか違わないのでずっと知っています。基本としている走る能力は他の選手より長けていますし、昔からずっと変わらない印象があります。
藤田 本当によく走るな、というのは感じます。性格的にはキャプテンをやるタイプではないのかもしれませんが、チームのために戦える選手ですし、それがプレーにも出ているので、頼もしいです。
キャプテン向きではないんですか?
奈良輪 イメージではないですね。
藤田 みんなをまとめて引っ張っていくキャラクターではないよね。
奈良輪 昔はやんちゃでしたから。でも、このチームではキャプテンとしていいカラーを出していると思います。変につくることなく、自分の良さをうまくチームに出せるようにやっているんじゃないかな。あと、人前でしゃべるのがうまくなったなと、この1年間で思いました(笑)。
藤田 確かに(笑)。