7月16日（日）、ドルトムントの協賛企業であり、胸スポンサーとしてもおなじみのエボニック社主催によるサッカースクールが東京世田谷区芦花公園のファンルーツパークで行われた。
ドルトムントのプロコーチが2名（マーカス・パスティオン氏とジュリア・ファー氏）が来日し、公募ののち抽選の結果、選ばれた小学生以下の少年少女たちが、
夏の日差しの下で、本場のサッカートレーニングに励んだ。終盤には、前日に浦和レッズとの親善試合を終えたばかりの、ドルトムントの現役選手たちも登場。即席の試合やサイン会が行われ、子どもたちにとって最後まで興奮しきりの一日となった。
エボニック社はドイツ・エッセンを本拠地とする世界的な化学品事業の会社。その日本社長であるヴォルフガンク・カスター氏による開会の挨拶の後、40人の子どもたちはそれぞれ20名のグループに分かれ、ひとつ目のグループは、屋外でボールを使ったサッカーのトレーニングを行い、その間、もう一つのグループは、室内で化学物質に関する体験教室に参加、1時間後に両グループが入れ替わる、という構成だった。
サッカーのトレーニングでは、ハンカチを取り合う鬼ごっこのようなゲームや、ボールを上空に投げてキャッチするまでの間に、何回、手の平を合わせられるかのチャレンジ、スコッチコーンにボールを乗っけてのドリブルなど、ボールを扱ったテクニックに限らず、瞬発力や動体視力、バランス感覚、チームワーク、そして何より、“サッカーをする楽しさ”を重視していることが伺えた。もちろん、実戦形式の練習も行われ、ときにコーチも試合に加わり、見学する親の声援も相まって白熱した試合が展開された。
室内の体験教室では、エボニックの社員が講師となって、塩やプラスチックなど、日常的に使用される様々な化学物質について、実際に手で触りながらの体験学習が行われた。エボニックがメインで紹介したのは、歯磨き粉や化粧品などに使われるシリカという物質。削り取る、水を弾くなどという、効果が次々と証明されていくにつれ、子どもたちは目を丸めた様子だった。
すべての子どもたちが、2つのプログラムを終えたところで、いよいよ、ドルトムントの現役選手が登場すると、場内は大歓声に包まれた。来てくれた選手は、華麗なテクニックが持ち味のトルコ代表MFヌリ・シャヒンと、屈強なギリシャ代表DFソクラテス・パパスタソプーロスの二人。さらにクラブOBで現在は、育成コーディネーターを務める元ドイツ代表ラルス・リッケン氏も姿を現した。
この3者に、マスコットのエマが加わった4名の「大人チーム」と、子どもたち全員による試合が行われることになった。ボールめがけてひたすら追いかけてくる子どもたちを、リッケンが華麗なテクニックで交わせば、パスを受けたシャヒンは、前方にいるエマをめがけてクロスを放り込む。エマがヘディングでゴールを決めて得意気に喜ぶと、子どもたちからは非難が殺到した。
ゴール前ではパパスタソプーロスが立ちはだかり、なかなかゴールを挙げることができなかった子どもたちだが、それでも、最後にはゴールを挙げることができた。最終的には大人気ない、ほどに勝負へのこだわりを見せた大人チームが勝利を挙げることとなったが、目の前でプロのテクニックを見せてもらえた子どもたちは、大喜びだ。
試合後は、事前に用意された香川真司の直筆サイン入りのカードが配られたほか、その場で、子供たち各々が用意した、ユニフォームやボール、色紙やスパイクなどに、パパスタソプーロス、シャヒン、リッケン氏がサインした。前日の試合の疲労もあり、わずかな時間ではあったものの、彼らは最後まで笑顔で子どもたちとふれあい、イベントは最後まで和気あいあいとした雰囲気のなかで幕を閉じた。
コーチのマーカス氏はイベント終了後、「とにかく素晴らしい。私自身も楽しかった。私たちは世界中で指導を行ってきたけど、日本人の子どもたちはとてもスキルがあると思っています。それを試合のなかでどう使えるか、というところが、次のステージになってくると思いますが、その手助けをしていきたい。このなかから第二の香川真司が現れないなんて、誰も言えませんよ」と目を細めた。
2013年に日本で開設されたドルトムントのオフィシャルスクールは定期的に開催されており、今回の芦花公園のほか、千駄ヶ谷の東京体育館にも教室を開校。ドイツ本国へのキャンプを実施するなど、その活動の幅を広げている。
（取材・文＝志原卓）
By サッカーキング編集部
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