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【ルヴァン杯準決勝 プレビュー】主力不在も想いは一つ…“悔しさ”知る指揮官とともに悲願のタイトルへ

2017.10.03

鬼木監督のもとタイトルを狙う [写真]=Getty Images

 現在、川崎フロンターレは国内3冠の可能性を残しているチームとなっている。そしてそのタイトル獲得に向けて、もっとも近い位置にいる大会が、ベスト4まで駒を進めているこのJリーグYBCルヴァンカップといえるだろう。

 クラブにとっては過去3度の準優勝に泣いている大会でもあるが、近年は2014年、13年、10年と準決勝で敗退。09年以来、決勝の舞台にまで辿り着けない時期が続いている状態だ。ここ数年阻まれているベスト4の壁を突破したいところである。

 仙台とはシーズン前半戦でも勝利を収めており、相性的にも悪い印象はない。さほど意識せず、良いイメージで臨めるだろう。過去のルヴァンカップでの仙台戦で印象的なのは、13年の準々決勝だ。ホームで2-1で勝利したアドバンテージを持って乗り込んだユアテックスタジアム仙台では、先に失点したことでアウェイゴール数でリードされる展開ながら、FIFAコンフェデレーションズカップ帰り直後の中村憲剛がトップ下のポジションで躍動。フィニッシャーとして2ゴールを挙げる活躍ぶりで、ベスト4進出に貢献した。このゲームだけではなく、その後のリーグ戦でも得点を量産するなど、新境地を開拓するきっかけとなった一戦だった。結局、チームは年間3位に食い込み、自身のパフォーマンスについて「中村史上最高」というフレーズを残していたほどだった。

中村憲剛の活躍でベスト4進出を決めた [写真]=J.LEAGUE

 この準決勝の期間中は日本代表に選出された車屋紳太郎が不在。不動の左サイドバックを欠くため、いつもの4バックではなく3バックシステムを採用し、仙台とのミラーゲームを挑む可能性も高いだろう。そしてルヴァンカップは今季より21歳以下の選手を先発起用しなければいけない規定になっている。川崎における対象選手は、田中碧、タビナス・ジェファーソン、三好康児、板倉滉の4人だが、ルヴァンカップ準々決勝FC東京戦では、ホーム&アウェイともに板倉が出場。3バックの一角として堅実かつ大胆なプレーで勝利に貢献した。今回も最終ラインに入ることが予想されるが、ボランチを務めることもできるため、レギュラー陣のコンディションとの兼ね合いになりそうだ。

 そのほか、中盤の心臓である大島僚太が左ハムストリング肉離れにより約2カ月の離脱。さらに阿部浩之も右ひざ骨軟骨損傷により復帰まで1カ月程度を要する状態となっている。主力2人を欠くチーム事情がしばらく続くが、直近の明治安田生命J1リーグ第28節のセレッソ大阪戦では5-1で大勝するなど不安を吹き飛ばす強さを見せた。この試合後、その思いを力強く語ったのは奈良竜樹だ。

谷口とともに最終ラインを支える奈良竜樹 [写真]=J.LEAGUE

「やれる選手がピッチに出るということ。リョウタくん(大島僚太)、アベちゃん(阿部浩之)がいないのも大きいが、じゃあ、誰がいるのか……。試合ではそこに目を向けないといけない。いない選手のことを試合中に考えても前に進めない。いる選手が、このチームにプラスをもたらしてくれる。いる選手が最大限のことをして、そしてそれがチームの結果に繋がった」

 今年からチームの指揮をとる鬼木達監督は、この大会で初めてファイナルまで進んだときの2000年のメンバーでもあり、川崎フロンターレというクラブが最初に準優勝という悔しさを味わった人物でもある。悲願の初タイトルへ、想いは一つだ。

文=いしかわごう

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