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コロンビア戦出場微妙も溢れるやる気 久保建英はスペインでの輝きを代表に持ち込めるか

2023.03.28

コロンビア戦前日練習に臨んだ久保

 FIFAワールドカップカタール2022後、初の試合となった24日のウルグアイ戦は1-1のドローとなった日本代表。3月シリーズのラストとなる28日のコロンビア戦は2026年北中米ワールドカップに希望が感じられるような勝利を手にしたい。

 とはいえ、コロンビアは難敵だ。24日の韓国戦でゴールを挙げたハメス・ロドリゲスは健在で、鎌田大地の同僚であるラファエル・サントス・ボレや37歳のベテランFWラダメル・ファルカオもいる。守備陣もダビンソン・サンチェスら実績ある面々がいて、想像以上に手ごわそうだ。

 その相手に点を取って勝ち切るとなると、攻撃の活性化は不可欠。トップ下の先発は前の試合で貴重な同点弾を叩き出した西村拓真と予想するが、新型コロナウイルス検査の影響で4日間全体練習を欠席し、ようやく戻ってきた久保建英の動向も気になるところだ。

「今の代表で言ったら、僕のコンディションはトップ3に入る。今回、休んじゃいましたけど、次の試合では目に見える結果を求めていければいい」と本人も目をぎらつかせている。森保一監督は「先発は難しいかなと。途中から出るかどうかもフィジカルコーチともう一度話をして最終的にどうするか決めたい」と語っていたが、わざわざスペインから呼び戻したエース候補の1人を使わずにクラブに戻してしまうのはもったいないとも考えるはず。時間は短いかもしれないが、どこかで出番を与えるのではないだろうか。

 実際、ワールドカップ後の久保のパフォーマンスは目を見張るものがある。数字上では今季公式戦5ゴール5アシストだが、それ以上に攻守両面で躍動感が見られる。ダビド・シルバとのコンビも非常に息が合っており、高度な技術と創造性が研ぎ澄まされた印象だ。

「僕はたぶんワールドカップの時とはもう別人なので。そこはもうみんなも分かっていると思いますし、過去の話はもうしたくないので。もともとワールドカップへ行く前からコンディションはよかったですけど、チームと代表のポジションや役割が違っただけで、いったん代表でやってチームに戻ったら、それがより動き彫りになったと言うか。違った見え方ができて、結果がついてきたのかなと思っています」

 かつてない自信を前面に押し出す久保。ワールドカップで守備に忙殺され、さらには大一番だったクロアチア戦を高熱で欠場したという大きな挫折を乗り越え、彼はここまで這い上がってきた。バルセロナのアカデミーで過ごした少年の頃からエリート街道を歩み続けてきた21歳の若者がこれほどまでにタフで逞しくなるきっかけを得たのは初めてだったかもしれない。そういう意味でも、新しい代表でのブレイクが大いに期待されるのだ。

 コロンビア戦で久保が出る場合、ポジションはトップ下か左サイドだろう。ウルグアイ戦のトップ下は鎌田大地が先発し、途中から西村拓真が入ってゴールを奪う形になったが、序盤は停滞感が色濃かった。ゆえに、久保自身は一気にギアを上げ、ゴールに突き進んでいきたいと考えている様子だ。

「タテへの推進力を僕は意識したいと思います。僕のトップ下っていうのは、やっぱりボール持って長い距離を運んでいけるっていうところが大事。そこから散らしたりとか、最後どうするかは自分次第ですけど、とりあえず間で受けてボールを運んでいくことが第一ですね。前回の試合は中央突破があまりなかったかなと。ワールドカップの時のようなカウンターでいい形は作れましたけど、4-2-3-1の強みはやっぱりトップ下というある程度、自由を与えられた選手が1人いること。その選手がオン・ザ・ボールで違いを見せて、1人、2人剥がしていくのが自分の理想としている選手像でもある。いいチャレンジになるんじゃないかなと思います」

 自分のやるべきことを明確に描いている久保。それを具現化するためには、周囲との連携が不可欠だ。もともとハッキリした主張のできる21歳の若武者は、自身の要求を伝え、意見を聞きながら絵を合わせていくことができる。新たな代表ではよりリーダーシップを発揮して、点の取れる形を構築していくに違いない。

 左サイドに入る場合は、少し役割が変わるかもしれないが、三笘薫がウルグアイ戦でできなかったペナルティエリア内の侵入回数を増やし、フィニッシュに持ち込める形を多く作るように工夫すべき。右サイドの伊東純也、あるいは堂安律の折り返しに呼応して飛び込んでいく形も有効だ。

 いずれにしても、短時間の出場だったとしても、久保に求められるのはゴールに絡む仕事に他ならない。そこにこだわり、違いを見せることを突き詰めてほしい。

「フィニッシュに関しては、まだまだ落ち着きが足りないなと感じますけど、それでも今季まあまあ点が取れてるってことは、チャンスが来ていることと、チャンスに入っていけてるということ。前回の西村選手のゴールも、純也君のクロスがすごくよかったですけど、上田(綺世)選手も西村選手も入っていって、3人でしっかり取ったゴール。ああいう形を意識していきたいと思います」

 2019年6月のエルサルバドル戦でA代表初キャップを飾ってから間もなく4年。期待の男はギラギラ感を押し出し、本気で絶対的主力の座をつかもうとしている。コロンビア戦でその一歩を踏み出せるのか否か。指揮官の起用法が気になるところだ。

取材・文=元川悦子

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