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【インタビュー】原口元気がドイツで得た“学び”と“変化” 紆余曲折の今季やこれからのキャリアを語る

2020.08.08

一時帰国の際、取材に応じた原口 ©Racco

 ハノーファーに在籍する日本代表MF原口元気は、自身初となる1年を通じての2部リーグでのプレーを終え、チームは6位。個人としては30試合出場で6得点だった。

 2018-19シーズンをブンデスリーガ17位で終え、2部に自動降格となったハノーファーは、ミルコ・スロムカ監督を招聘して1年での再昇格を狙ったが、開幕戦でシュトゥットガルトに黒星を喫すると、第14節まででわずか3勝。順位は16位まで落とし、3部降格も心配される状況だった。

 チームはスロムカ監督を解任し、ケナン・コジャクを新監督に迎え入れると、上昇気流に乗り、新型コロナウイルスの影響での中断期間後も9試合で5勝を挙げるなど、昇格は叶わなかったが、6位で終えた。原口自身もポジションこそ中盤やサイドなど、定まらない中でのプレーが続いたが、特に中断明けはゴールに近い位置でプレーするとともに、得点とアシストを重ねることができた。

 2020-21シーズンはハノーファーとの契約最終年。シーズン終盤には30歳となる大事な1年になる。今シーズンをどのように捉え、ここまでのドイツでの6年間で、どのような変化があったのか。そして来シーズン以降の自身のキャリアは、どう考えているのか。

 7月下旬、わずかな時間ながら帰国した原口に聞いた。

インタビュー=小松春生

■今季は振り返るとたくさんのことがあった

原口元気

©Racco

―――昨シーズン、チームは6位で終え、目標だった昇格には届きませんでした。また、監督交代があり、原口選手も様々なポジションでプレーするなど、紆余曲折があったシーズンでもあります。

原口 1年で昇格することを掲げる中で始まったシーズンでしたが、一時は3部に落ちるような順位にいたときもありました。スロムカ監督の時には個人的にも合わない部分がたくさんありました。試合には出ていましたけど、途中交代したり、スタメンから外された試合もあったし。難しかったというか、順位は低迷し、このままではキャリアとしても「とてもマズイな」と感じた序盤戦でしたね。

―――うまくいかなかったのはチームとして、意識がバラついていたからですか?

原口 そうですね。率直に言えば、プレシーズンから練習量が足りないと思っていて、開幕戦でシュトゥットガルトに敗れ、チームとして走れないし、戦術的にも強度的にも足りない、個人としても足りないと感じていました。とにかくいろいろなことが足りないと思っていた中でうまくいかなかった。降格したことで、チームが自信を失っている状態で出鼻をくじかれてしまい、2部とは言え、簡単な戦いではないので、そこから監督が代わるまでは難しい時間が続きました。

―――スロムカ監督の後任として第14節から指揮を執ったコジャク監督の印象や、変化を教えてください。

原口 簡単に言うと厳しい監督ですね。コンディション重視というか、1部で実績ある選手であっても、動きが良くなければパッと外したり。戦えるチームに変えたのは彼だと思います。僕はいろいろなポジションをやらされましたけど、常に中心として、いい役割をもらえて、彼のスタイルともうまくハマったので、そこからは数字も出ましたし、順位も上がったので、次のシーズンにつながる後半戦になったと思います。振り返るとたくさんのことがあったので、一言二言ではまとめきれないですけど、シンドイところからうまく粘って、来シーズンにつなげることはできたと思います。

原口元気

[写真]=Getty Images

―――「やらされて」という言葉が出ましたが、いろいろと「やらされている」感覚が強いですか? 監督に求められていることを選手として「やらないといけない」感覚もあると思いますが。

原口 特にハノーファーに来ての2年間でサイドバックやウイングバック、ボランチもやりましたけど、それが自分の良さであり、足りない部分でもあるのかなって。都度、考えながら、与えられたところでどうやっていくかは、ある程度表現できたと思っています。でも、いろいろなポジションをやることは勉強になります。面白い部分だし、もちろん試合によっては難しいと感じる部分もあります。

―――具体的な学びはどういったことでしょう。

原口 自分がサイドハーフとしてプレーしているとき、例えばボランチに対しては「なんで前にいてくれないんだ」、「もう少し展開力がほしい」、「逃げずに縦パスを入れてくれ」といったことを感じることがあったので、ボランチをやる時にはそういった部分を出そうとか考えますね。でも、ボールを獲りに行き過ぎたり、守備では難しい部分、慣れない部分があります。僕個人で分析をお願いしている人がいるので、相談しながらやっています。ポジションも変わるので、毎試合のように内容は変わっていたかな(笑)。でも、試合は短い間隔でしたけど、相手を見ながらいい準備をして、頭の中を整理して、うまくまとめて試合に臨めていたと思います。

―――特化型のプレースタイルではなく、選手としての総合力が上がっている感覚ですか?

原口 ヨーロッパに渡った時は、自分のストロングを伸ばしたい、そしてヨーロッパで活躍する、と思っていたので、イメージしていなかったんですけどね。正直、この6年間で選手として大きく変わりましたけど、うまく自分自身を変化させて、かなり柔軟にやってこられた結果かなと思います。

■中断は“チャンス”だと思った

原口元気

©Racco

―――ご自身で執筆しているnoteの記事でも、ダーウィンによる『唯一生き残ることができるのは変化できるもの』について書かれていますが、この6年間で自分自身が変わったと。

原口 試合に出たいという思いが強いので、ポジションに関わらず、監督から求められていることをうまく変化させながらやってきました。プレースタイルも変わったと思います。今は1部でプレーをしていないですけど、うまく生き残っていると思います。

―――「生き残ること」が一番大切ですか?

原口 どうですかね。正解は無いですから。例えば日本に戻ってプレーすることを選択している選手も正解だと思います。僕はビッグクラブに行くことが一番の正解だと思いますけど、それができたわけではないので。ただ、試合に出続けることは大切にしているので、試合数を見れば、ヨーロッパに渡ってからほとんどのシーズンで試合に出ています。年齢的にここから大きなクラブに行くことは、現実的には難しいと考えていますけど、やっている限りは常に上を目指してやってきたいと思っています。

―――新型コロナウイルスの影響での中断期間、自分の頭を整理したり、コンディションの整え方をnoteでも書かれていますが、その準備が終盤戦でも数字につながりましたか?

原口 中断が決まった時、チャンスだと思いました。他の選手たちの反応やコメントを見ていても、セルフコンディショニングは簡単なことではないと思いましたし、リーグ全体でのコンディションが絶対に低下すると思ったので、ここで自分が上げられればすごくチャンスだなと。案の定、再開後はインテンシティがかなり落ちていたので、走るとチャンスになることが増えて、シュートシーンも多くなったので、自分のイメージがそのまま表れましたね。

―――他国でプレーする日本人選手を見ても、中断期間をうまく消化できた印象です。日本人が持つメンタルの影響でしょうか?

原口 そうだと思います。考えてコンディションを整えることは強みですね。日程が通常通り進んでいれば、ドイツ人選手もコンディションは大きく落ちないですけど、家に2週間閉じ込められるようなことは、僕も経験はないですけど、彼らにとってはすごく難しかったはずで、再開後にインテンシティが落ちることは容易にイメージできました。

■40歳まで1部リーグのレギュラーで

原口元気

©Racco

―――来シーズンはハノーファーとの契約最終年で、5月には30歳を迎える大きなポイントになるシーズンです。移籍ウインドウは空いている状況ではありますが、来シーズンはどのような1年にしたいですか?

原口 かなり高い確率でハノーファーのためにプレーすることになると思います。まず、大きな目標は1部に昇格することですけど、僕の中で大きな選択肢としてシーズン終了後にフリーになれることと、ハノーファーと長期契約を結ぶことがあります。ハノーファーからは契約延長の話をもらっていますけど、今の段階ではYESとは言っていません。チームとして昇格できるのか、新シーズンの感覚などを見て、考えていきたいので。

―――ヘルタ・ベルリン時代の契約延長での駆け引きや気持ちについてnoteでも綴られていますが、当時の経験もありますね。

原口 ハノーファーが大好きですし、昇格できればハノーファーで長くやることもありだと思っています。ただ、僕自身のキャリアの夢があるので、それを追いたい部分もあります。まず、今シーズン昇格させることが一番大切で、そこから先どうなるかは、その時に決めていければいいかなと。

―――30歳を迎えてからの10年間は描いていますか?

原口 セカンドキャリアとして監督業へ進みたいと思っていますけど、現役生活が長過ぎると、引退後の準備などで次のキャリアに支障が出るので、選手として続けても40歳までかなと。40歳まで必ず1部リーグのレギュラーとしてやって辞めたいというのが、なんとなく自分の中にあります。それを達成するために、フィットさせていく。もちろん、ヨーロッパでやれるところまでやりたい気持ちもありますし、浦和レッズに帰りたい気持ちもあります。それはタイミング、タイミングで決めていきたいですね。

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By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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