[写真]=Getty Images
「クラブでいいサッカーができていることは自信になりますし、自分のサッカー観とミシャさん(ペトロヴィッチ監督)の考えをうまくリンクできているので、それを代表でも出すことが必要だと思います。ミシャさんがFWに一番求めているのは動き出しのところ。クロスの入り方も本当にタイミング。運動量よりも『次、ボールが来たら、こう動こう』とつねに考えてやるようになりました。そこを大事にしながら、普段やっていることをしっかり出したいと思います」
夕方の気温が5度を下回る厳寒のビシュケクで、日本代表は14日のカタール・ワールドカップ アジア2次予選、キルギス戦に向けて調整を進めている。大迫勇也や堂安律らを欠く攻撃陣の切り札として期待されているのが、鈴木武蔵だ。今季はJ1で12ゴールをマーク。さらに、YBCルヴァンカップ準優勝という実績を引っ提げ、9月以来の代表復帰を果たした彼は、ミャンマー戦以来となる出場機会を虎視眈々と狙っている。
2018年にプレーしたV・ファーレン長崎でも11得点を記録し、J1で自身初の二桁ゴールを達成したが、北海道コンサドーレ札幌に入団した今季は、それを上回る数字を残している。点取屋としてすごみを増した背景には、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督との運命的な出会いがあった。佐藤寿人や興梠慎三らの才能を大きく伸ばした名将は、ディテールにこだわった指導で「フィジカルの強さは圧倒的だが、プレーが荒い」鈴木の一挙手一投足をガラリと変えたのだ。
「ミシャに教わって『動きの部分』はすごく考えるようになった。そこでやってきたことは代表でも絶対に生かせると思います。興梠選手や小林悠選手みたいに何年も続けて二桁取れるFWになるにはまだまだですけど、2人は決して背が高いわけじゃないのに動きのタイミングやクロスへの入り方で点を取っている。見ていてすごく勉強になりますし、FWにとって一番大事な部分なんだと痛感させられます」
洗練された動きの質を日本代表で発揮してくれれば、“ポスト大迫”の一番手に浮上する可能性は少なからずある。そもそも2011年のU-17ワールドカップに参戦した頃から、鈴木は周囲から期待を集める逸材だった。しかし、2017年夏から半年間レンタルで赴いた松本山雅では、反町康治監督から「ボールが収まらないから使えない」と冷遇されたこともあった。それでも、最近はその課題にも明確な改善が見られている。大迫を超えるには、1トップとして最前線でターゲットになる力が求められるだけに、そこは強く意識しなければならないだろう。
普段、札幌ではジェイの背後に陣取って2シャドーの一角でプレーする機会が多く、大迫のような「収める」仕事を課すことは少々酷かもしれない。だが、代表で定位置を確保するためにも、取り組んできたものをキルギス戦で出し切ることが肝要だ。
「大迫選手には大迫選手の良さがあるし、永井(謙佑)君も永井君の良さがある。そこは忘れちゃいけないなって、10月の代表戦を外から見ていて感じました。自分ももっと成長することが必要だけど、やっぱり自分らしさは忘れちゃいけない。特徴をどんどん出して勝負していきたいですし、自分の競争の中に加わってアピールしたいって思いは強いです」
こう語気を強める鈴木に出番は訪れるのか。森保監督は10月の代表シリーズでは、モンゴル戦で永井、タジキスタン戦で鎌田大地を最前線に据える形を選択した。2人はともにゴールを奪ったが、永井はターゲット役はほとんどこなさず、鎌田も前半苦しんだ結果、後半から南野拓実とポジションチェンジする形になった。大迫に近い役割をこなせる選手という意味では、彼らよりも鈴木の方がベターな選択になるかもしれない。
そのうえで、まだ手にしていないA代表初ゴールを挙げることができれば、理想的なシナリオだ。2016年のリオ五輪では久保裕也に代わって追加招集されると、初戦でゴールを奪って見せた。ここ一番での勝負強さはある。代表定着、レギュラー奪取へ、ワールドカップ予選でインパクトを残す彼の姿をぜひ見てみたい。
文=元川悦子
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By 元川悦子


