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【日本代表】10月シリーズを総括!「融合」「浸透」「対応」の達成度は?

2018.10.18

森保ジャパンが9月の初陣から3連勝を飾った [写真]=兼子愼一郎

 森保ジャパンが、10月シリーズの2試合を終えた。結果は2戦2勝。それ自体は申し分ない。ならば、内容はどうだったか。そこで、10月シリーズのキーワードに挙げていた「融合」「浸透」「対応」という3つの視点から、ざっくり探ってみたい。

 まずは「融合」から。ざっくり言えば、森保ジャパン初招集となったロシア・ワールドカップの主力組とそれ以外の面々との絡み具合である。初の試みにしては――という但し書き付きなら『まずまずの出来映え』と言えるだろうか。

 もっとも、パナマ戦とウルグアイ戦では対戦相手の実力差はもとより、スタメンの顔触れも大幅に入れ替えているから、一緒くたに語るのは難しい。そこで話の中心は自ずと「現時点での最強布陣」を敷いたウルグアイ戦になる。

 攻守の両面に分けるなら、うまく融合していたのは4ゴールを奪った攻撃面だろう。敵将のタバレスが日本の特長として「前線のコンビネーション」を挙げたほどだ。しかも、仕掛けが速い。各々の判断にズレがあれば、成立しないようなシロモノがいくつもあった。

 象徴的だったのは3点目だろうか。堂安律の代表初ゴールである。中央の酒井宏樹にボールを預け、一気にエリア内へ。意図を汲んだ酒井からの丁寧なリターンを、巧みなトラップから冷静にゴール左へ流し込んだ。右サイドの新しいタンデムが瞬時に「崩しのアイディア」を共有していた。

堂安律

代表初ゴールを決めた堂安。試合後は「サバイバルは続く」と気を引き締めた [写真]=新井賢一

 逆に食い足りなかったのは柴崎岳と2列目との絡みだが、相性の良し悪しではなく、柴崎がクラブで実戦から遠ざかっている問題が大きかったか。試合勘さえ戻れば、2列目との融合が一気に進んでも不思議はない。守備面は3失点したが、連係ミスよりも個人のエラー含みで、融合云々とはまた違った問題か。無論、細かな課題はあるにしても、現段階では及第点の出来と言ってもいいだろう。

 お次は「浸透」である。戦い方のコンセプト(チーム戦術)が、どこまで根付いているか。これも、まずまず――いや、上々の出来と言うべきか。森保ジャパンの大原則は『全員攻撃・全員守備』だが、その意識づけは見事に徹底されている。実際、タバレス監督も「我々と比べて、より明確にチームが出来上がっている」と話していた。完成度が高い、というわけだ。

 際立つのは、攻守の切り替えである。速い、とにかく速い。ウルグアイが日本のスピードについていけなかった理由も、そこにある。とくに3点目と4点目は、敵陣での「攻から守」への高速転換が伏線となっていた。

中島翔哉

攻撃をけん引した中島も周囲と連動しながら相手にプレスをかけ続けた [写真]=新井賢一

 瞬く間にボールの持ち手を数人で取り囲み、奪ったら、すかさず反撃に転じる。それこそ、指揮官の言うアグレッシブな攻守だ。加えて、縦への意識も強く、不要なノッキングがない。そのあたりの統一感も上々である。

 コンセプトに忠実という意味では、パナマ戦も同様だ。しかも、選手たちに「やらされ感」がない。個々のキャラ、一大特長がチーム戦術に埋もれていないわけである。それも森保監督の狙いの一つだから、チーム全体がうまく回っていると考えていいだろう。

 最後は「対応」である。機に臨み、変に応ずる力だ。ここは、まだまだ改善の余地がある。ウルグアイ戦で言えば、試合の締めくくり方。もっと具体的に言えば、4-2と点差を2点に広げたあとの戦い方だろう。

 良くも悪くも、イケイケである。確かに点差を広げるチャンスもあったが、そのぶん、隙も生まれた。結果的に1点を返され、最終スコアは4-3。確かに、相手は強豪ウルグアイだ。それでも、誤解を恐れずに言えば、試合内容を反映するスコアではなかった。

「我々は日本の爆発的な攻撃を浴びて、ひどく消耗してしまった」

 タバレス監督は、そう振り返っている。言い換えれば、反撃するための余力はわずか。それくらい疲弊していたというわけだ。その相手に点差を詰められては、まずい。

 いかに試合を終わらせるか。それが、ロシアW杯で直面した「8強の壁」である。森保ジャパンの最終目標が「W杯8強以上」なら、避けては通れぬ道だ。ウルグアイに勝った――という結果だけでは、もはや手放しで喜ぶわけにはいかないのだろう。

 王座奪還をもくろむアジアカップを見据えても、容易にスルーし難い課題と言ってもいい。点差や時間帯、試合の流れなどに応じて、いかに戦い方を柔軟に変えていけるか。そこは11月シリーズ以降の課題――いや、森保ジャパンの「のびしろ」である。

文=北條聡

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