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日本代表の“絶対的存在”になるために…堂安律、ウルグアイ相手に「爪痕」を残せるか

2018.10.15

ウルグアイ戦の先発が見込まれる堂安律 [写真]=Getty Images

 森保一監督体制の初陣となったコスタリカ戦に続き、12日のパナマ戦も3-0と快勝。16日に迫ったウルグアイ戦に向け、日本代表は埼玉へと移動し非公開で調整した。「できるだけ多くの選手を見てみたい」と熱望する指揮官は、前回のパナマ戦からスタメンをガラリと変えてくるはず。2試合連続ゴールと絶好調の南野拓実と絶対的1トップの大迫勇也を除く9人を入れ替えることが予想される。

 となれば、もちろん攻撃陣の顔ぶれも変わる。パナマ戦は右に伊東純也、左に原口元気を起用したが、今回は弱冠20歳のアタッカー堂安律と新背番号10の中島翔哉が先発に名を連ねるだろう。そこに南野が加われば、鮮烈な印象を残したコスタリカ戦のアタッカー陣が揃い踏み。そこに大迫、柴崎岳、酒井宏樹、吉田麻也、長友佑都といったロシアワールドカップの主力組が加わることで、どのような化学変化が起きるのか。そこはウルグアイ戦における最大の注目点と言っていい。

 中でも最年少の堂安には新体制2戦連発中の南野&伊東に続くインパクトを残してほしいところ。コスタリカ戦では2度の決定機がありながら、惜しくも決めることができなかった。それでも「シュートした時には(ゴール後の)パフォーマンスを考えていた」と言ってのける強心臓ぶりを披露し、報道陣を驚かせた。強気な選手が今の若い世代には少ないだけに、堂安の存在は貴重。「吉田選手には一人の人間として、いろんなことを教えてもらってます。ステップアップの話もいろんな人に聞いてます」と自ら進んでコミュニケーションを取っていることも明かしており、そのアグレッシブさが周囲との好連携につながれば理想的だ。

堂安律

9月に待望の日本代表デビューを飾った [写真]=Getty Images

 堂安にとって一つ考えなければならないのが、酒井宏樹との縦関係だろう。コスタリカ戦では室屋成の上がりを引き出すために中に絞ってプレーする場面が多かったが、酒井は堂安の動きを尊重してくれるタイプ。「基本的に僕が生かすというのはあんまりない。彼が先頭を切ってアクションを起こしてくれればいい。サイドバックが舵を握っているような関係は良くないと思う」と16強入りの原動力となった右サイドバックは堂安を後押しする発言をしていた。だからこそ、堂安は思い切ってゴール前に突き進んでもいいし、ボールを保持しながらタメを作ってもいい。より自由な発想や創造性を生かしながら攻めることを考えるべきだ。その方が本人もやりやすいはず。遠慮することなく、自分らしさを発揮する方向で戦ってもらいたい。

 また配給役の柴崎との連携も密にすべきだ。ベルギー戦で原口の先制弾をお膳立てした通り、ロシアでは数多くのチャンスが背番号7のパスから作り出された。パナマ戦では2人とも出場時間が短く、本格的な絡みが皆無に近かったため、次のゲームが実質的な初コンビ結成となる。もちろん年長で国際経験もある柴崎が合わせてくれる部分も多いだろうが、堂安も瞬時に司令塔の呼吸を感じ取って、動き出しの速さを意識したり、緩急をつけていくべきだ。ガンバ大阪時代に大先輩・遠藤保仁とともにプレーしてきた男だから、そのあたりは問題ないだろうが、新たなコンビの可能性を示してほしい。

 今季のフローニンゲンでは1トップで起用され、ゴールだけを考えてプレーすることもあるというが、日本代表では役割がガラリと変わる。そのスイッチの切り替えも、今回のポイントだ。特にウルグアイはFIFAランキング5位の強豪国。12日の韓国戦でエディンソン・カバーニやディエゴ・ゴディンらが先発したため、日本戦の出場は微妙になっているものの、他のメンバーも傑出した能力を持っている。

「ウルグアイ戦は守備をする時間が長くなると思う」と堂安は1年前のU-20ワールドカップでウルグアイと戦った経験から劣勢を予想しているが、実際にそうなる可能性は少なからずある。ゆえに、オランダにいる時以上の守備意識を持って臨む必要がある。ハードワークの結果、高い位置でボールを奪えれば、よりゴールの確率も上がる。そこは肝に銘じてほしい点だ。

「トップ・オブ・トップの選手とやるのは正直初めてやと思うので、すごいいい経験になると思う。ただ、いい経験だけで終わらせてはいけないので、何か爪痕を残したい」と本人も語気を強めるように、堂安らしさを積極的に出していくことができれば、自ずとゴールに近づくはず。得点というハードルを超えれば、日本代表での定位置獲得へ大きな一歩を踏み出せることは間違いない。さらに言えば、今季フローニンゲンでの不完全燃焼感払拭、そして彼自身が夢見るビッグクラブ移籍の道も開けてくるかもしれない。今回のウルグアイ戦が想像以上に大きな意味を持つ試合になるかもしれないだけに、千載一遇のチャンスを逃してほしくない。

文=元川悦子

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