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【コラム】森保体制2戦連発という絶大なインパクト。ガムシャラさと貪欲さを押し出す伊東純也の可能性

2018.10.13

代表戦2試合連続ゴールを決めた伊東 [写真]=兼子愼一郎

「Jリーグ組もできるってところを見せたい。前回同様、しっかり得点に絡めるようにやっていけたらいいなと思います」

 伊東純也は代表合宿に合流した時点から、ゴールへの強い渇望を前面に押し出していた。森保一監督体制の初陣となった9月のコスタリカ戦では、85分からの出場という短い時間の中で持ち前のスピードを発揮し、代表初ゴールをマーク。ワールドカップ・ロシア大会の主力組が合流した10月シリーズに生き残った。

 代表合流直前の6日に行われたサンフレッチェ広島戦では、ペナルティエリアギリギリの位置から2本の豪快なミドル弾を決めて、熾烈な代表サバイバルに弾みをつけた。原口元気(ハノーファー)、中島翔哉(ポルティモネンセ)、堂安律(フローニンゲン)といった欧州組のサイドアタッカーがひしめく大激戦区で生き残ろうと思うなら、明確で分かりやすい結果を出すしかない……。いい意味での割り切りを胸に、伊東はパナマ戦のピッチに立った。

 神奈川大学の先輩・佐々木翔の鋭い左クロスに反応してゴール前に飛び込んだ開始3分のシーンを手始めに、右サイドから思い切りのいい飛び出しを随所に見せた。初共演となった最前線の大迫勇也、逆サイドの原口とは連携面でギクシャク感が垣間見えたものの、「周りとうまくやろう」などと余計なことを考えず、シンプルに得点へと突き進んでいく。そうやって感覚的に「自分流」を出せるのが、少年時代からの伊東の強み。その原点を突き詰めたことで待望の瞬間が訪れた。

 1-0とリードして迎えた65分、伊東は左からドリブルで持ち上がった原口のパスを中央で受けると、縦に抜ける南野拓実にダイレクトパスを通して決定機を演出。南野のシュートのこぼれ球に反応して放ったシュートはDFに当たったものの、再び目の前に跳ね返ってきたボールに反応してそのままゴールへと押し込んだ。

 これで森保ジャパン発足から2試合連続ゴール。「ホントは一発で決めたかったけど、コースもなかったし。まあラッキーな形でしたけど、ゴールできて良かった」と本人は安堵の表情を浮かべた。地震の影響で中止となったチリ戦の代わりに行われた紅白戦での1点も含めると3戦連発。25歳のスピードスターは自らの価値を強烈にアピールした。

65分、こぼれ球に反応して貴重な追加点をマーク [写真]=兼子愼一郎

「結果を出せたのは良かったですけど、それ以外のところでもっと持ち味を出せたと思うし、うまく受けて仕掛ける場面をより多く出したかった」。本人はそう反省も口にしたが、得点という結果は何より雄弁だ。それを実証してきたのが、国際Aマッチ50得点という偉大な数字を持つ岡崎慎司だ。ちょうど10年前の10月、この新潟の地で代表デビューを果たし、一気にスターダムにのし上がった点取屋の泥臭さは、伊東と共通する部分。10代の頃は全くの無名で、類まれな雑草魂を持つところも重なる。

 伊東は神奈川県横須賀市の鴨居SC、横須賀シーガルズ、逗葉高校、神奈川大学、ヴァンフォーレ甲府と地味なサッカーキャリアを歩んできた。小学校のトレセン仲間には小野裕二(鳥栖)がいたが、横浜F・マリノスのアカデミーを経て高校生Jリーガーとして飛躍した同期の姿を目の当たりにして挫折感を味わったこともあるという。それでも神奈川大学時代に関東大学リーグ2部で得点王とベストイレブンに輝いたことで注目を浴び、プロへの道をこじ開けた。本人が語るように「伸びる時期は人それぞれ」。武器であるドリブル突破に磨きをかけ、ゴールという結果を積み重ねてきたことで、日の丸を背負う舞台にまで上り詰めた。

 分かりやすく研ぎ澄まされた特徴や強みを持つ選手は使いやすい。森保監督もそこは高く評価しているはずだ。コスタリカ戦はジョーカーとして、今回はスタメンで結果を残せたのも大きい。今後、ロシア組の乾貴士らがチームに加わったとしても、多彩な役割を担えると証明できたのは大きなアドバンテージとなる。そういう意味で伊東はまた一歩、森保ジャパン定着に前進したのではないか。

 懸念点があるとすれば、78分に負った右足首の捻挫だ。本人は「明日検査してって感じですね。自分では大丈夫かなと思ってますけど」と楽観視していたが、16日のウルグアイ戦出場は微妙な状況にある。ライバル・堂安のスタメン出場が有力視されるだけに、伊東も気が気ではないだろうが、柏レイソルのJ2降格阻止も視野に入れて、とにかく今は回復に努めることが先決だ。それでも、仮にウルグアイ戦のピッチに立てるのなら、そこで再びゴールという結果を出すことができるのなら、本当に岡崎のようなサクセスストーリーが現実になるかもしれない。その運を引き寄せられるか否か。伊東純也の今後に期待せずにはいられない。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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