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【日本代表】刺激し合う新世代とロシアW杯組、パナマ戦で新たな化学反応を起こす!

2018.10.11

戦術を確認する選手たち。原口は「頭をフル回転させる練習が多い」と話す [写真]=嶋田健一

 ロシア・ワールドカップの主力組が入り、チームの雰囲気は前回のものからピリッと締まったように感じる。適度な緩さと、適度な緊張感が、今の森保ジャパンにはある。

 ベテラン勢の存在が良い刺激になっているのは間違いなく、堂安律は「これから僕が強くなっていく上で、たくましい選手になっていく上でも、ポジション争いというのは隣合わせなので。そこにはまったく怯えてない」と闘志を燃やす。南野拓実も「W杯に行った選手たちは質が高い。サバイバルに勝ち残っていきたい」と引き下がるつもりはない。

 このギラギラ感がまた良い。萎縮するわけでも、遠慮するわけでもない。代表初招集の北川航也も「自分にプラスになることしかないと思うので、コミュニケーションを取っていきたい」と積極的な姿勢を見せていた。ウォーミングアップ中は笑顔が多く、練習の中で自然とオンとオフが作られている印象だ。

 そんな若手の勢いを吉田麻也も感じている。新しい顔ぶれが並んだ9月のコスタリカ戦の印象を「フレッシュで、勢いがあって、一人ひとりがアピールしたいという気持ちが前面に出ていた」と語り、「そういう気迫はW杯前にはあまり感じられなかったところなので、すごくワクワクする。新しい競争が芽生えれば、それだけ選手の危機感も高まってチームの成長につながると確信している。この融合がプラスに働くんじゃないかな」とサバイバルを歓迎した。

「世代間の融合」は今回の重要なテーマだ。初陣は積極的な仕掛けで攻撃をけん引した中島翔哉、代表初ゴールを決めた南野ら若手選手が躍動した。そこにロシアW杯で16強入りに貢献した大迫勇也、柴崎岳ら海外組6人を加えることで、チーム力のアップをもくろむ。森保一監督は「前回と今回の選手で、どう化学反応が起きるか。彼らには言葉やプレーで経験を伝え、チームとしていろいろなものを継承していってほしい」と期待を寄せる。

 ロシア組に特に求められるのはピッチ上での柔軟性や対応力だろう。森保監督は就任会見で「対応力と臨機応変」という言葉を掲げた。「速攻も遅攻もできる。守備ではハイプレッシャーをかけることも、自陣をしっかりと固めることもしたい。つまり、いろんな対応力を持って戦うということ。勝つために、流れをつかむためにどうしたらいいか。選手が自分で判断して選択できるサッカーをしたい」。実際に初采配をふるったコスタリカ戦では「いろんな形への対応力を持ち、柔軟にやってほしい。サッカーの原理、原則は変わらない」と代名詞の3バックではなく、4バックを採用した。当面の目標である来年1月のアジアカップを見据えても、W杯で得た彼らの経験値を落とし込んでいく必要がある。

 “伝える側”である原口元気はこう話す。「もちろん引っ張っていきたいですし、経験したことを伝えていかないといけない。でも、競争もある。自分ができることを100パーセントやって、サッカーに対する気持ちをピッチ内外で示していけたらいい」。背中を見せつつ、同時に先輩としての意地を示すつもりだ。

 10月の2連戦は融合への第一歩になる。まずは12日のパナマ戦で、森保監督がどんな組み合わせを試すのか。新たな化学反応を楽しみにしているのは、選手たち自身なのかもしれない。

取材・文=高尾太恵子

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