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アジアの難しさ…最終節制し、世界への挑戦がかかる準々決勝へ/AFC U-16選手権

2018.09.24

世界への挑戦権を掴めU-16日本代表 [写真]=Hiroyuki SATO

 スコアだけを見れば、まさかの結末。しかし試合の中身を踏まえて考えれば、十分にあり得る結果だった。マレーシアで開催中のAFC U-16選手権、23日夜に行われた第2戦でタジキスタンと対戦した日本は、0-0の引き分けに終わった。

 試合の伏線が張られたのは第1戦においてだろう。ただし、日本ではなくタジキスタン側の試合である。開催国マレーシアとぶつかったこの試合、タジキスタンは地元の観衆の生み出す空気に飲まれるように失点を重ね、2-6と大敗。この結果を受けて、日本戦は超守備的なサッカーに舵を切ってきたのだ。

 マレーシア戦を分析した日本サイドはタジキスタンの強みをアグレッシブなプレッシングにあると見なし、それを回避してボールを前進させて隙を突く狙いを持っていた。だが蓋を開けてみれば、まさかのドン引きスタイルである。サッカーにおいて「あるある」な話であり、まったく考えていなかったわけではないだろうが、それにしてもここまで極端に守備を固めてきたのは想定外だった。

「前半は『どうする?』『どうする?』という感じになってしまった」とMF中野桂太(京都サンガF.C.U-18)が苦い表情で振り返ったように、想定外の相手に苦慮するシーンばかりが目立つことに。この試合に向けて先発7名を入れ替え、「代表歴の浅い選手もいて、緊張はあったと思う」と森山佳郎監督が振り返ったように、精神的に硬い選手がいたことと想定外の事態が重なりあって、攻撃は停滞してしまった。

「簡単には勝たせてくれない」アジアの難しさ [写真]=Hiroyuki SATO

「これもアジアですね。簡単には勝たせてくれない」とチームの団長役となっている池内豊ユース育成ダイレクターがしみじみ語った通りのドン引き守備。「6バックくらいになって、サイドにもスペースがないし、ペナルティエリアには8人くらい入ってくる」(森山監督)人垣ディフェンス。しかも個々はタフに戦うメンタリティとフィジカルを持っており、崩しの形はなかなか見出せなかった。

 それでも日本は後半からシステムを変更し、交代出場の角昂志郎(FC東京U-18)を右ワイドに張らせる変則布陣で攻め立てたが、なかなかゴールは遠い。こうなるとセットプレーにチャンスを見出したいところだが、そこは決勝トーナメントに向けてまだ隠しておきたいところでもあり、ジレンマもあった。

 森山監督は193cmのDF佐古真礼(東京ヴェルディユース)を前線に上げるパワープレー作戦も考えたというが、その手も我慢。相手のカウンターがないわけでもなく、勝ち点0になるリスクより、まず勝ち点1を確保することを優先させた形だった。

 結局、試合は0-0で終幕。日本はグループ首位は保ったものの、勝ち点1の差でタイとマレーシアが後ろに付ける、際どい順位で最終節を迎えることとなった。開催国マレーシアと勝負を懸けての大一番。「激しい試合になる」という指揮官の予想は確実に当たるだろう。勝てば文句なしの1位通過であり、引き分けでも2位以内は確保できる状況だが、楽観できる要素は何もない。

楽観視できる状況ではない [写真]=Hiroyuki SATO

 もっとも、ここで変にゆるんでしまうよりも良かったという見方もできる。主力を一回休ませることができたこと、そもそもグループ1位は依然として確保していることも考えれば、過剰にネガティブになる状況でもない。中2日で迎えるホスト国との最終節を制し、世界への挑戦権が懸かる準々決勝への切符を掴み取るのみだ。

文=川端暁彦

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