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チームを救う大活躍! メンバーに“滑り込んだ”荒木遼太郎が示した成長/AFC U-16選手権

2018.09.21

2大会連続のU-17W杯出場を目指す日本が白星発進。この試合の立役者は間違いなく荒木(右)だ [写真]=佐藤博之

 チームを救ったのは、一時メンバー入りをも危ぶまれていた男だった。

 20日に開幕を迎えたAFC U-16選手権。2002年以降に生まれた選手たちで構成されるU-16日本代表は、U-16タイ代表との初戦に臨み、5-2のジェットコースターゲームを制し、辛くも勝ち点3をつかみ取った。

 森山佳郎監督ならずとも「どうしてこうなった」と言ってしまいたくなる立ち上がりの悪さを突かれ、いきなり開始2分で失点するという「かなり厳しいスタート」(森山監督)だった。元より大会の初戦ゆえに緊張はある。その中で最悪のスタートを切ってしまったのだから、そのまま崩壊する恐れすらあった。

 だが、「すぐに1点取れたのが大きかった」とMF成岡輝瑠(清水エスパルスユース)は振り返る。

 その1点を奪ったのが当落線上から這い上がってきた男、MF荒木遼太郎(東福岡高校)だった。

 失点の5分後にあたる前半7分、荒木はミドルシュートがDFに当たってこぼれてきたところを抜け目なく押し込んで同点ゴールを奪うと、さらにその2分後にも、今度は成岡がぬかるんだ芝に足を滑らせてミスしたシュートを鋭くヘディングでコースを変えて逆転のゴールを奪い取る。

「今日はどんな形でもいい、泥臭くてもいいから、とにかく点を取ってこようと思っていた」と語るとおりの2ゴールだった。

荒木遼太郎

[写真]=佐藤博之

 その直後に同点ゴールを許してしまった日本だったが、35分に荒木のアシストから勝ち越しゴールが生まれ、42分には荒木のFKがこぼれたところをDF半田陸(モンテディオ山形ユース)が押し込む形で4点目が生まれる。前半の全得点に絡んだ荒木の存在感が際立つ内容だったのは間違いない。後半にも1得点を奪った日本が5-2の勝利を飾ったこの試合、荒木をその立て役者に挙げることに違和感はないだろう。

 ただ、荒木は昨年の1次予選でも控え扱いで、今年に入って森山監督が就任すると、いったん構想外に近い立場になっていた選手だった。当時はボランチを主戦場としており、守備面を含めたプレーの軽さが指摘されていた。

 だが、所属する東福岡でトップ下の位置で出場機会を増やすと、7月の候補合宿で再チャレンジの機会を得る。さらにインターハイ終了後からは、東福岡でもレギュラーポジションをつかんで高円宮杯プレミアリーグで結果を出すなど猛アピール。ギリギリでメンバーに滑り込んできた。

 さらに直前合宿でも好プレーを見せ続け、先発に抜擢された大会前最後の練習試合となる鹿島ユース戦でも大活躍。初戦の11人に入り込んできた。

「荒木はずっと呼んでなかったし、前はワンプレーごとに止まることの多い選手だった。でも東福岡で出続ける中で、今は続けて動いたり、オフ(・ザ・ボール)のところでのアクションも増えてきた。前にボールが入ったときにアイデアを出せる選手を探している中で、前線で使うことになった」(森山監督)

 インターハイで大ブレイクしたFW西川潤(桐光学園高校)にどうしても注目が集まる中、「潤に負けたくない」と闘志を燃やしていた男が、抜擢に応える形でチームを救った。西川にとってはもちろん、U-16代表の攻撃陣全体に強烈な刺激を与える、そんなハイパフォーマンスだった。

文=川端暁彦

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