FOLLOW US

【スカサカ!ライブ】識者が語るコスタリカ戦、見えた収穫と課題とは?

2018.09.18

 9月11日(火)に行われた森保一日本代表監督の初陣、コスタリカ戦について、番組MCの岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がスタジオゲストの秋田豊氏、宇都宮徹壱氏と「激論~GEKIRON~」で語り合った。

 森保一監督が得意とする[3-4-2-1]の布陣で戦うことも予想されたが、実際には[4-4-2]が採用され、攻撃時には南野拓実と小林悠が縦関係になるような布陣で戦った日本。岩政が「ロシア・ワールドカップの時の西野朗監督の時と似たようなやり方でした。あまり大きく変えずに、というところがあったのでは?」と問いかけると、秋田氏はそれを肯定した上で、自身の経験を踏まえながら4バック採用の理由をこう分析した。

「(森保監督が)自分が知っている選手を入れたというのはあるよね。青山敏弘選手とか槙野智章選手とか佐々木翔選手とか。だから、グラウンドの中でいろいろなものを表現するのに、監督の戦術が分かっているから違和感なくできる。僕もジーコジャパンの時に、最初にセンターバックとして呼ばれて、『どうやればいいですか?』と聞いたら、「鹿島でやっていることをやってくれ」と言われた。その一言で、何をすればいいのかすぐ分かるんですよね」

 また、宇都宮氏も「前日記者会見でも(森保監督は)西野さんの名前をけっこう出していた」と証言し、「とりあえずロシアの流れ、あるいは西野監督の流れを引き継いで、そこをまずスタートにしようという意図は感じられました」と分析した。

 この試合で評価すべき点について、秋田氏は66分に南野がチーム2点目を挙げたシーンについて「グループ(コンビネーション)の中で得点が生まれた」と評価。その中で中島翔哉のプレーを絶賛した。

「これまで本田圭佑がやっていたことを中島が担っていくのかな、という“画”が見えました。本田も元々はそれほど能力が高い選手ではなかったけど、ここまで来られたのは強靭なメンタルを持っていたから。中島もすごく強いメンタルを持っている。体はそんなに大きくないけど、クイックネスを利用しながらドリブルとパスでチャンスを作っていた。その意味ではすごくいいスタートだったと思うし、彼が中心になって得点が生まれていく映像がイメージの中で湧いてきました」

 宇都宮氏も「2列目の3人のそれぞれ個を全面に出したプレーは素晴らしいと思った」と同意し、その上で他に2人の名前を挙げた。

「小林選手のポジショニングと2列目を生かそうとする動きは見ていて気持ちよかった。ストイックにゴールを目指すだけではなく、周りを生かしていました。ほとんどぶっつけ本番にもかかわらず、これだけコンビネーションが良く、脇役に回れるのがすごくいいなと思いました。あとは遠藤航選手ですよね。(南野のチーム2点目の)アシストを決めましたし、『中盤でこれだけできるんだ』という、ベルギーで得た自信が生かされたのが素晴らしく思いました」

 一方で、秋田氏は課題として、コンビネーションがまだ十分に確立されていない点を挙げ、具体例として南野がボールを持ったシーンを挙げた。

「南野選手がフリーでボールを持った時に、堂安律選手が右斜め前にいたんですよね。堂安選手は後ろから入ってきてボールを欲しがったんですが、南野選手は中島選手へのパスを選択した。堂安選手も相手が前に2人いても抜いていく力を持っているけど、そういったお互いの特徴をまだ把握できていないというのをすごく感じました。小林選手もスルーパスでの抜け出しを常に狙っているんだけど、パスが出てこなかった。まだまだコンビネーションが探り探りだった。確立されればもっと相手を崩す動きが出てくるんじゃないかな、と思います」

 守備面については、鹿島アントラーズや日本代表でセンターバックとして活躍した岩政と秋田氏の2人がそれぞれ課題を挙げた。岩政はセンターバックとサイドバックの間のスペースについてこう指摘した。

「相手が2トップだったので、センターバックと2対2になるじゃないですか。この時に、相手と当たった感触から『2対2で守れる』と判断したかどうかは分からないですけど、サイドバックが相手のウイングバックをにらむシーンが多く、(センターバックとサイドバックの間に)広いスペースが空いていました。序盤にこのスペースにボールがこぼれ、相手選手が走り込んだシーンがありました。このシステムのかみ合わせだと起こり得ることだと思うんですけど、サイドバックのポジショニングは少し気になりましたし、スペースが大きく空いているような気がしました」

 ヘディングの強さに定評のあった秋田氏は、槙野のクロス対応を例に、ハイボールの処理を課題として挙げた。

「(槙野は)昔からめちゃくちゃ能力が高くて、ファイターでいい選手なんだけど、外からのクロスの時に、結構相手を自分の後ろに置くことがあります。相手のレベルが高くなると、クロスがピンポイントで合ってきてヘディングを打たれてしまうので、それが日本の課題ですね」

 これを受け、岩政は前からのボールとクロスボールへの対応の違いについてこのように解説した。

「日本人はサイズ的には小さいと言われますが、正面から来るボールへの対応はそんなに悪くありません。勢いよく当たれば、180センチ前後の選手でも十分に競り勝てます。ただ、サイドからのクロスボールに対して、(相手を両センターバックの)間のスペースに置いてしまうと危険。身長の高い選手が中にいてクロスの精度が高いと、一発でやられてしまいます。国際レベルになると、クロスへの対応はもう少し繊細になっていかなければならない。これは槙野選手だけではなく、日本全体の課題。特に4バックの時には中が2枚しかいないので要注意です」

 秋田氏は「昌子源も吉田麻也もそれでやられたことがある。俺も昔、アリ・ダエイ(元イラン代表)にやられた」と自身の経験を回顧。「そこを意識していかなければならない。トップクラスは1回のチャンスで決めてくるので、そこのポジショニングは改善させなければならないですね」と語った。

 毎週金曜日21時から放送されている『スカサカ!ライブ』。次回は9月21日(金)21時からの放送。「激論~GEKIRON」のコーナーでは、FW育成メソッドについて考察する予定。他にバイエルンやJリーグの特集をお届けする予定となっている。

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

SOCCERKING VIDEO