2018.08.30

森保ジャパン初陣のスタメンを予想! 『森保戦術』に求められる人材と役割とは?

森保ジャパン、初陣の先発や如何に
2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

 8月30日、日本から遠く離れたインドネシアの地で、新生日本代表のメンバー23名が発表された。完全な初選出は4名ながら、キャップ数(代表試合出場数)でカウントしても23名中18名が一桁と非常にフレッシュな陣容となった。

 今回はこの23名から森保一監督が先発に「選びそう」な選手をチョイス。その理由について考える中で、「森保戦術」における各ポジションに求められる役割についても改めて考えてみたい。

 基本布陣は[3-4-2-1]の形だろう。「僕が広島でやってきたことが評価されて今のポストがあると思うので、すべて同じじゃないにしても基本的には同じにしていく」とは本人の言葉だが、まずはサンフレッチェ広島で3度のリーグタイトルを勝ち取り、先行して「森保ジャパン」としての活動をスタートさせていたU-21日本代表でも採用されているこの布陣が、基本形となるはずだ。

 まず1トップだ。よくポストプレーヤーが求められているように思われるポジションだが、森保戦術において強く期待されるのは背後への飛び出しだ。これはU-21代表では快足自慢の前田大然(松本山雅)が起用されていることからも、あるいは広島時代に佐藤寿人(現・名古屋グランパス)や浅野拓磨(現・ハノーファー)といった裏を突く能力の高い選手が好んで使われていたことからも明らかだ。

浅野拓磨

森保監督の下、浅野は2013年と2015年にJリーグ優勝を経験 ©J.LEAGUE

 この位置の選手にまず得点が期待されることは言うまでもないが、相手の背後を狙うことでディフェンスラインを押し下げ、二人のシャドーが活動するスペースを供出することも大きな戦術的な役割である。小林悠(川崎フロンターレ)もそうした能力に長ける選手だが、現時点では浅野に一日の長があるのではないか。

 シャドーの2枚はDFとMFの間のスペースでうまくボールを引き出して起点を作りつつ、フィニッシュワークに絡む仕事が求められる。香川真司(ドルトムント)や乾貴士(ベティス)など日本には得意とする選手が多く、森保監督が「日本人が世界と戦うためのやり方」と語ってきたことを体現するポジションである。堂安律(フローニンゲン)と中島翔哉(ポルティモネンセ)は、まさにこの位置で起用したら面白そうな選手だ。二人ともフィニッシャーとなれる資質があり、個ではがす力もある。南野拓実(ザルツブルク)、伊藤達哉(ハンブルガーSV)もそうだが、このポジションに欧州に若くして買われていった選手が集中しているのも、「日本人の長所」が具現化されやすい位置なのがわかる。

シャドーの位置で躍動が期待される中島翔哉(左)と堂安律 [写真]=Getty Images

 森保戦術を特徴付けるポジションとしては両ウイングバックも挙げられる。ポゼッション時に、[4-1-5]あるいは[3-2-5]の配置になる可変システムにおいて、5トップの両翼を担いつつ、守備をセットする際には[5-4-1]で構えるサイドバックとしても機能する必要がある。運動量は当然必要だが、特に求められるのは1対1の強さ。特に攻撃時はポジション的に孤立しやすく、相手のサイドバックを単独でぶち抜ける選手が欲しい。超高速男児・伊東純也(柏レイソル)はこの位置でぜひ試してほしい選手である。

 一方、左サイドについてはいかにもこのポジションにハマるような選手が選ばれていない。車屋紳太郎(川崎)が有力候補だが、あるいは記者会見でも暗に示唆されたように、アジア大会に参加中のU-21代表からの追加招集もあるのかもしれない。また伊藤のようなドリブラーをここにコンバートするという手もある。

 両ボランチは配球役となりつつ、カウンターの防波堤になる役割が基本。クロス攻撃も多くなるシステムなので、こぼれ球を拾え、なおかつミドルシューターであれば理想的だ。その意味で青山敏弘(広島)は一つの理想を体現した選手だろう。32歳という年齢は4年後を考えるとネックになるが、今季のパフォーマンスを考えても、あるいは森保戦術の理解という意味でも、ボランチの一番手でおかしくはない。

青山敏弘

ロシアW杯は直前合宿に招へいされたものの、ケガで離脱となった青山敏弘 [写真]=Getty Images

 もう一人を守備的なチョイスにするなら山口蛍(セレッソ大阪)、攻撃的なチョイスにするなら大島僚太(川崎)だろう。遠藤航(シント・トロイデン)という手もある。ただ、あまりに経験のある選手が少ない編成なので、まずはこの中での最多キャップ保持者(45試合)となる山口が起用されるのではないか。

 バックラインは当然ながらまず守れる選手であることが条件だが、後方の深い位置からでもしっかりボールを繋いで運んでいくことを意識するポゼッション志向のコンセプトを持つ監督だけに、足元の技術やボール保持に関する判断力も不可欠。3バックの左は左利きが望ましいやり方でもあるので、佐々木翔(広島)か車屋の起用もあり得るが、順当に行けば、やはり槙野智章(浦和レッズ)は外せないか。

 中央はその槙野や遠藤もありそうだが、個人的にはトゥーロン国際大会で、まるで天職を得たかのように、初招集であっさりフィットしていた冨安健洋(シント・トロイデン)を推したい。188センチの高さがありながら、ボランチもこなす技術力も備える。初招集ではあるが、アンダーエイジでの国際経験も豊富で、試す価値はある。右は植田直通(セルクル・ブルージュ)を選んだが、こちらも多彩な選択肢がありそうだ。

冨安健洋

世代別代表ではすでに主力の一人となる冨安 [写真]=Getty Images

 GKは森保監督も悩んだところだろう。J1でレギュラーを張る日本人選手のほとんどが30歳前後という現実があり、4年後を見据えると「投資的な選考」をしていく必要もあるわけで、その点でリーグでの実績的にはまだまだながら、数少ない20台半ばの選手であるシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)の選出は理解できるところだ。

 もちろん実際に起用されるのは東口順昭(ガンバ大阪)か権田修一(サガン鳥栖)になるというのが穏当な予想だろうが、先々を見据えた大胆な起用があっても驚きではない。そもそも、「ロシアW杯に行っていた海外組の選手をいったん外す」という今回の選考からして、森保監督の強い意思がうかがえるからだ。

 日本代表は7日にチリと札幌で、11日にコスタリカと吹田で対戦する。キャップ数一桁だらけの新しい日本代表が短期間で森保戦術をどこまで消化し、どれほど戦えるのか。興味の尽きない試合になりそうだ。

文=川端暁彦

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