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【コラム】若き日本代表がアジア競技大会へ…未来に向けた“種まき期間”も目指すは勝利のみ

2018.08.03

U-21日本代表を率いる森保一監督 [写真]=Getty Images

 アジア競技大会に臨むU-21日本代表メンバー20名が発表された。つまり東京五輪を目指すチームで、日本はこの大会へ参加することになる。

 一方、アジア競技大会自体のレギュレーションは「U-23+オーバーエイジ最大3名」というルールで、U-21より上の年代を対象とした大会だ。徴兵免除の懸かる韓国などはこのルールを活用して、A代表のエースFWソン・フンミンまで含めた全力メンバーでの参戦となる。そうした環境の中で若い選手たちにタフな経験を積ませるのが一つの目的となる大会だ。

 もちろん、森保一監督が「1試合でも多くやりたい」「毎試合勝ちにいくのは当然」と強調したように、遊び半分でいくような大会ではない。とはいえ、U-21日本代表のメンバー構成としては、今回はリーグ戦開催期間中ということを踏まえて1クラブ1名までという人数制限付きの選考となった。このため、たとえば5月のトゥーロン国際大会では、ベガルタ仙台から板倉滉と椎橋慧也が同時に選ばれているのだが、今回はどちらかしか選べない形に。他にもバッティングしそうなクラブが複数あり、森保監督としては頭の痛い選考作業となったようだ。

 また橋岡大樹(浦和レッズ)、田川亨介(サガン鳥栖)といったU-19年代の選手たちは今年10月にAFC U-19選手権を控えているため、1シーズンに2度もリーグ戦期間中に拘束するわけにはいかず、今回は選外に。どちらもクラブと代表が折り合うポイントを設定した形となる。

 その中で就任から強調してきた「ラージグループの形成」というポイントは今回も継続となる。U-20W杯メンバーながらここまで未招集だった舩木翔(セレッソ大阪)を初めて選出したほか、FC東京で出場機会を増やしている岡崎慎もチョイス。就任から1年も経っていないにも関わらず、早くも54人目の選出となったのは象徴的だ。できるだけ多くの選手に刺激を与え、戦術を浸透させていく。言ってみれば、2年後に向けた種まきの作業を続けている形で、「東京五輪で最強のチームを作る」(森保監督)ための土台作りの過程である。

岡崎慎

急成長中のFC東京DF岡崎慎 [写真]=Getty Images

 また兼任監督のメリットであるが、これは2年後に向けた種まきであると同時に、4年後に向けた種まきも兼ねている。前述のとおり、今回のアジア競技大会には韓国のような“準A代表”の編成をしてくるチームもある。そういった相手に通用するような選手は、来年1月のアジアカップを当面の目標と定めるA代表でも使える可能性のある選手と言える。森保監督はメンバー発表会見で五輪世代の選手をA代表へ積極的に引き上げていくことを示唆していたが、A代表の戦力発掘という意味でも価値のある大会となりそうだ。

 8月14日に初戦を迎えるアジア競技大会。森保監督はベスト4を目標として掲げたが、ここまで勝ち残れば“準A代表”の編成で臨んでくるようなアジアの強敵と確実に対戦できるという意味でもある。「俺を引き上げろ!」とばかりにギラギラ目を輝かせるような選手が躍動し、チームとしても躍進を遂げて自信をつかむ。遠くインドネシアの地で“森保ジャパン”が狙うべきは、そのあたりのラインとなりそうだ。

文=川端暁彦

アジア競技大会 U-21日本代表20名

▼GK
1 小島亨介(早稲田大)
12 オビ・パウエル・オビンナ(流通経済大)
▼DF
4 板倉滉(ベガルタ仙台)
20 立田悠悟(清水エスパルス)
7 原輝綺(アルビレックス新潟)
5 杉岡大暉(湘南ベルマーレ)
3 岡崎慎(FC東京)
▼MF
10 三好康児(北海道コンサドーレ札幌)
2 長沼洋一(FC岐阜)
17 神谷優太(愛媛FC)
8 三笘薫(筑波大)
6 初瀬亮(ガンバ大阪)
11 遠藤渓太(横浜F・マリノス)
19 舩木翔(セレッソ大阪)
13 岩崎悠人(京都サンガF.C.)
14 松本泰志(サンフレッチェ広島)
16 渡辺皓太(東京ヴェルディ)
▼FW
18 前田大然(松本山雅FC)
9 旗手怜央(順天堂大)
15 上田綺世(法政大)

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