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次の4年へ日本がやれること…アジア勢はW杯の成績挽回も、欧州との格差が拡大する中で

2018.07.27

ロシアW杯に出場したのは日本、韓国、イラン、サウジアラビア、オーストラリアの5カ国 [写真]=Getty Images

 2018年7月15日のファイナルをもって、ロシアでのワールドカップは閉幕した。これから世界が新しいサイクルに入る中、日本を含めたアジアの今後4年について考えてみたいのだが、その前に今大会のアジア勢の成績をおさらいしておこう。

 ロシアとの開幕戦で0-5と大敗したサウジアラビアは、グループステージ3戦目となるエジプト戦には2-1で勝利し、グループ3位で今大会を終えた。スペインとポルトガルと同組になったイランは、モロッコとの初戦に1-0で勝利して(本大会では20年ぶりの勝利)、やはりグループ3位。オーストラリアはデンマークと引き分けたものの、フランスとペルーに敗れてグループ4位。「死のグループ」に組み込まれた韓国は、最後のドイツ戦で劇的な勝利を収め(2-0)、胸を張ってロシアを去っていった。

 これを4年前のブラジル大会と比較してみると、どうか。前回大会は、アジアからサウジを除く今大会の4チームが出場。オーストラリアは3戦全敗、イランと韓国と日本は1分2敗で、いずれもグループ最下位に終わっている。前回大会からいずれも勝ち点を積み上げ、勝ち点4の日本は2大会ぶりにラウンド16に進出した。そしてベスト8進出にはいたらなかったものの、世界3位となるベルギーと壮絶な戦いを演じたことは周知のとおり。前回大会と比べれば、アジア勢はそれなりに健闘したと言ってもよいだろう。

 では、日本を含むアジア勢の今後4年は、果たして楽観できるものなのだろうか? おそらくそう考えている人は少数派であろう。確かに4年前に比べると、それなりに進歩はあったことは間違いない。しかし4年後、アジア勢の中からグループステージを突破するチームが複数出てくるかと問われれば、それを担保するような条件が見当たらないのが現状である。それは日本についても同様で、2大会連続でラウンド16に到達できる保証など「どこにもない」と言わざるを得ない。

ロシア大会は南米勢も振るわず、ブラジルとウルグアイのベスト8が最高 [写真]=Getty Images

 今回のワールドカップでは、ベスト4を欧州勢が独占した一方、それ以外の大陸は軒並み振るわなかった。南米勢のブラジルとウルグアイは、いずれもベスト8止まり。北中米カリブからはメキシコ、アジアからは日本がベスト16に名乗りを挙げたが、その先の壁を突き破るには至らなかった。アフリカ勢に至っては、5チームすべてがグループステージでの敗退(82年スペイン大会以来のことだ)。ある程度は予想していたことだし、ヨーロッパで開催された大会ならば当然とも言えるが、それでも欧州と他の大陸との格差をこれほどまでに見せつけられるとは思わなかった。

 こうした欧州勢の「ひとり勝ち」の状態は是正されるどころか、ますます他大陸との格差を広げていくことになりそうだ。周知のとおり欧州では、この9月よりUEFAネーションズリーグが開幕する。UEFA所属の55カ国のナショナルチームが、実力に応じてグルーピングされ、FIFAマッチデーでリーグ戦を戦うというもので、ユーロやワールドカップの予選も兼ねる。これにより日本を含むアジアの国々は、欧州勢とのマッチメイクが今後さらに困難となる。これに加えて、コンフェデレーションズカップが2017年大会をもって廃止されることになったのも、地味に痛い。アジアカップ優勝の「ご褒美」がなくなっただけでなく、他の大陸の強豪との貴重な対戦の機会が失われてしまうからだ。

 こうした中、このほど森保一五輪代表監督がA代表監督の兼任することに決まった日本代表は、他のアジア各国と比べてまだ恵まれた立場にあると言えよう。日本のアドバンテージとしては、まず来年ブラジルで開催されるコパ・アメリカに招待されていること。そして2年後の20年に、自国開催の夏季五輪があることである。

2016年に開催されたコパ・アメリカ・センテナリオを制したチリ [写真]=Getty Images

 コパ・アメリカについては、まだJFAから正式な参加表明はなされていない。が、7年前に招待された時には東日本大震災の影響で辞退した経緯があること、代表強化の限られたチャンスであることを考慮すると、断る理由はないように思われる。

 そして、東京五輪。予選が免除されていること、その間に強豪とのマッチメイクや積極的な海外遠征も可能となるなど、開催国のアドバンテージを活かした強化スケジュールが組めることだろう。また、五輪代表とA代表を森保監督が兼任することで、スムーズな若返りを図ることができるというメリットもある。こうして考えると、フィリップ・トルシエ以来となる兼任監督は、ある意味で理にかなった判断と言えよう。

 そんな森保新体制の日本代表にとって、最初のチャレンジとなるのが、来年1月にUAEで開催されるアジアカップだ。22年ワールドカップのアジア予選については、まだ日程もレギュレーションもはっきりしていないが、アジアにおける日本代表の現在地を再確認する上では重要な実戦の場となる。出場国が16から24に増えるとはいえ、前回大会に続いてベスト4に届かないとなれば、日本は今後の強化策を足元から見直さなければならなくなる。

 世界(とりわけ欧州)との格差が広がる中、日本はあらゆる機会をとらえて世界へのキャッチアップを目指すべきである。しかし一方で、アジアにおける日本の地位もまた「絶対的」とは言い難いものとなっているのが実情。先頭集団をしっかり視界にとらえながらも、背後への注意も怠らない。日本代表には、貪欲さと謙虚さを併せ持ちながら、新たな4年サイクルに挑んでほしい。

文=宇都宮徹壱

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