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【次の日本代表監督は?#1】ペケルマンが魅力的 外国人監督の選択肢を捨てるな!

2018.07.18

ペケルマンはこれまでも日本代表監督候補として名前が挙がっている [写真]=Getty Images

 ワールドカップ開幕の2カ月前に監督に就任した西野朗氏は、短期間でチームを作り上げ、ベスト16という結果を残した。続投の可能性もささやかれたが、日本代表ととにも帰国した日本サッカー協会会長の田嶋幸三氏は西野監督を慰留しないと明言。次期監督候補としてユルゲン・クリンスマン氏やロベルト・ドナドーニ氏、そして五輪代表との兼任で森保一監督の名前が挙がっている。

 4年後のカタール大会だけでなく、日本サッカーを未来を考えた時に、日本代表監督に最も適しているのは誰なのか。識者3名がそれぞれの視点から「推薦したい監督」を挙げた。

◆推薦者:河治良幸(サッカージャーナリスト)

 今大会、西野氏が監督就任から2カ月でベスト16進出を果たし、最終的に3位に躍進したベルギーから一時は2点をリードする状況まで持ち込んだことで、日本が持つ特長を引き出すのに適した人物というのが基本路線になりそうだが、まだまだ伸ばして行くべき部分が大きいことは認識しておくべきだ。

 日本人か外国人かにかかわらず、足りない部分を伸ばそうとする方針は少なからず摩擦を生み出すもので、楽な方法ではない。しかし、4年間というスパンにおいては、そこから逃げてしまってはチームの成長が先細りになってしまう。海外のトップリーグで最先端のスタンダードに常日頃から触れている選手は個人の耐性で勝負していけるが、クラブでの経験則に頼った強化は結局、海外組によるメンバー固定化に行き着くリスクが大きい。

 今回は南アフリカ、ブラジルから引き継いだメンバーと惜しくもそこから漏れた代表経験者が主力を占めており、リオ五輪世代の4選手は誰一人としてピッチに立てなかった。今回はそこから大幅な世代交代が求められ、東京五輪世代からの台頭も重要になる。その意味で森保監督に五輪代表とA代表を兼任させるプランは理にかなう部分もあるが、両方に大きな負荷とリスクがかかることが想定される。

 理想は直近のワールドカップ本大会で指導し、かつ日本への理解とリスペクトがある指導者だ。その一人として、コロンビアを率いて日本と二度対戦したホセ・ペケルマンが挙げられる。選手の育成に定評があり、2大会にわたり日本代表を綿密にスカウティングしていることも他の外国人監督にないアドバンテージだ。当然、中島翔哉や久保裕也といった惜しくもロシア大会のメンバーから外れた選手も知っている。彼が最も伸ばせるのはゲームをコントロールする力や状況判断力だ。

 ネックは68歳という高齢か。森保氏をA代表のアシスタントコーチとしても帯同させる形は取れるが、“ペケルマンファミリー”とも言えるサポートスタッフも一蓮托生になるため、不謹慎ながら仮に08年のイビチャ・オシム氏のような事態になった時に、監督が交代するだけで済まない事態が考えられる。それでもコロンビア代表監督からの退任の意向が伝えられるペケルマン氏は知識、経験、対話力といった点で魅力的だ。

 またサウジアラビアをロシアに導き、本大会ではオーストラリアを率いたベルト・ファン・マルワイク監督、イランを7年に渡って指揮し、ロシアでは最も厳しいグループの1つに挙げられたB組でポルトガル、スペインに善戦したカルロス・ケイロス監督も十分な資質がある。ファン・マルワイク氏は66歳、ケイロス氏は65歳とやはり年齢的なリスクはあるが、経験を重視するならばそこはどうしても付いて回る。

“ウルトラC”的な人事として、アルゼンチン代表の監督を退任したばかりのホルヘ・サンパオリ氏を推したい。4年前にはチリ代表をベスト16に導き、15年にはコパ・アメリカ優勝も果たしている。現在58歳のサンパオリ氏は、本来クラブレベルでも“人気銘柄”だが、今回のアルゼンチン代表で多少評価を下げた向きがあり、基本3億円が上限となるJFA(日本サッカー協会)の提示条件をクリアすれば面白いチョイスになる。

サンパオリ

代表での戦績は7勝4敗4分け。選手との確執や内紛が度々伝えられていた [写真]=Getty Images

 サンパオリ氏のメリットは日本人のモビリティを生かしながらチームのインテンシティーを高められること。また基本的にボールを保持しながらハイプレッシャーでショートカウンターを狙う戦術を得意としており、格上相手でも積極性を失わずに結果を求める姿勢はチリ代表で示した通りだ。アルゼンチン代表ではメッシをはじめとしたスター選手のマネジメントに失敗した側面はあるものの、日本なら本来戦術家として知られる同氏の手腕を発揮しやすいのではないだろうか。

 いずれにしてもヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の時に問題になったのは、招へいにたずさわった霜田正浩氏が途中で技術委員長、さらにはナショナルチームダイレクターの任を下りたことでバックアップ体制が難しくなったことだ。それなりの外国人監督を迎えるとすれば、やはりバックアップ体制の整理も必要になる。確かに日本人監督ならそうした問題は発生しないが、国際的な経験がある監督が日本代表や日本サッカーにもたらすものは大きい。西野監督でベスト16まで行けたからといって、経験豊富な外国人監督の選択肢を捨ててはならない。

文=河治良幸

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