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【スイス戦プレビュー】日本代表の現在地は? 「やれること」を示すべく臨む、貴重な実戦

2018.06.08

8日にスイスとのテストマッチに臨む日本代表 [写真]=Getty Images

 これは情報操作に違いない。すでに戦いは始まっているのだから――。そう言い聞かせたくなるほど、チームとしてやりたいことが見えてこない。

 メンバー発表会見で「絵をたくさん描きたい」と語った西野朗監督の色は確かに表れている。ガーナ戦では[3-4-2-1]、[3-4-1-2]、[4-4-2]を試し、4日の練習では[4-2-3-1]と中盤をダイヤモンド型にした[4-4-2]をテスト。ここまで5つのシステムにトライしたことになる。もちろんオプションはあるにこしたことはない。川島永嗣が「試合の状況に応じていろいろな形でやれるのが、一番の強みになってくる」と話すように、多くの選択肢を持ち、対戦相手や試合展開に応じて柔軟に対応することができれば理想的だ。

 ただ、事前合宿地のオーストリアに入った2日から5日までの公開練習を見ていて感じたのは、「これだけは絶対!」という“ブレない軸”がないということだ。「決まりごとは多くない。ピッチの中で選手が決めていけばいい、というのを尊重してくれる監督なので」と東口順昭が明かすように、練習中も選手同士がピッチ内で確認し合う場面が多い。チーム広報によれば、宿舎でもこれまで以上に選手がサッカーの話をする機会は増えているという。ピッチ内外での密なコミュニケーションによって、チームの雰囲気が良くなったのは間違いない。でもそれで、本当に間に合うのだろうか。

 複数のシステムを使い分ける“カメレオン戦術”と言えば聞こえはいいが、カメレオンにだって「緑色」というベースがある。ヴァイッド・ハリルホジッチ体制下では、システムが変わろうとも「デュエル」、「裏を狙う」といった共通のキーワードがあった。もしかすると、西野監督はまだ「これだ!」という最適な戦い方を見つけられていないのではないか?

 6日の非公開練習後、本田圭佑は指揮官が方向性を示し始めたことを明かした。そしてスイス戦でやっておかなくてはならないことを問われ、こう答えた。

「守備ですね。と言ってもいろいろなパターンをやらないといけないんですけど。守備が良ければ、しっかりと攻撃の特長を出せる。もちろん、その逆も然りなんですけど。スイス戦に限って言えば、2個くらい守備で試したいパターンがある」

 乾貴士も「まずは守備」と繰り返す。「守備がうまくいかないとすべてがうまくいかないんで、そこをみんなでどう合わせていくかが重要。前にはアイデアを持った選手がいるので、その良さを引き出せるようにしないといけない。まずはみんなで守備を頑張って、その中で良いボールの取り方ができれば絶対に崩せる」。

 格上相手に一対一でボールを奪い切れる場面はそう多くない。西野監督はそれを認めた上で、グループ、チームでボールを奪う意識を強く持ちたいと話した。つまり、数人で連動しながらボールを奪いにいく。奪ったら素早く攻撃に転じる。指揮官は「攻撃への切り替えを重要視していかないといけない」と強調する。

 奪った後はどうするか。スイスの堅守攻略は一筋縄ではいかない。西野監督は「自分たちがボールを保持した上でタイミングを狙っていきたい」と言う。カウンターで裏を狙うばかりではなく、時には自分たちでボールをつなぎながら臨機応変に攻撃を組み立てる必要があるのだと。

「スイスのオーガナイズされた守備や厳しいプレッシングの中で、どれだけ自信を持って、ポゼッションをできるか。アグレシッブにトライしたい」

 しかし、彼らが言う「攻守の切り替え」や「臨機応変な対応」の重要性は誰もが知っていることであって、肝心なのはそれをピッチで体現できるかどうか。しかも、FIFAランキング6位の強豪相手にである。相手を無視して、単に自分たちのやりたいことだけを突き詰めていっても、4年前のように“自分たちのサッカーができなかった”で終わってしまう。

 柴崎岳の言葉が一番しっくりとくる。「(3バック、4バック)どっちをやるにせよ、フォーメーションじゃない部分が重要になってくる」。頭で分かっていても行動が伴わなければ意味がない。チームの現状を測る貴重な実戦機会で、「これだけやれるんだ!」ということをピッチの上で証明しなければならない。

文=高尾太恵子

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By 高尾太恵子

サッカーキング編集部

元サッカーキング編集部。FIFAワールドカップロシア2018を現地取材。九州出身。

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