2018.06.01

【三浦知良×長谷部誠】それぞれが考える成功へのアプローチ/第1回

三浦知良
サッカーキング編集部

 6度目のワールドカップ出場を決めた昨年8月のオーストラリア戦から遡ること約20年。ジョホールバルの地で世界への扉をこじ開けたチームには“キング”と呼ばれる男の姿があった。当時その勇姿をテレビの前で観ていたサッカー少年は、のちに日本代表の中心選手となって2度の大舞台を経験。そして間もなく3度目の国際舞台に挑むことになる。日本サッカー界の“顔”として君臨する三浦知良と長谷部誠――。互いのサッカー人生が交わったことはないが、思考や感覚は時代を超えてリンクする。“世界”を知る2人だからこそ見える、成功へのアプローチとは……。

■大舞台に向けた“最高の準備”の仕方

コロンビアとの初戦まで19日。自身3度目のW杯に向けて、長谷部は「最高の準備をしたい」と話す。

「過去2大会の経験は財産であり、自信になっている。でも、今大会がこれまでと一緒かと言われると、そうではない。サッカーは生き物なので、その大会に合った調整の仕方をしないといけないと思っています。とにかく時間を大切にして、今大会に向けてやるべきことを頭の中で整理してやっていきたいです」

 南アフリカ大会、ブラジル大会とは監督もメンバーも違う。長谷部自身も8年前とは立場や役割が違うわけで、アプローチの仕方が違って当然だ。カズはその考えに同意した上で、プロアスリートとしての根本的な部分に言及した。

「やっぱり疲れを残さないことが大事だよね。疲れを残さずにいい準備をしていれば、いい精神状態になる。良いトレーニングをして、良い睡眠と食事をとる。それに尽きると思う。僕の場合は少しテンションを高めにしておかないと、うまく試合に入れない。体、心、頭を緩めないといけない人もいれば、僕のように緩めるとうまくいかない人もいる。筋肉もそう。若い頃は特に、筋肉と気持ちが少し張っていたほうが良かった。昔と比べると今はリラックス度が高くなったかな」

三浦知良

 睡眠や食事もトレーニングの一環であり、それらをうまく管理できてこそコンディションを維持することができる。51歳で現役を続けるカズが、まさに良い例だろう。大会前の合宿では、選手それぞれが試合に向けていかにピーキングできるかが重要になるが、キャプテンを務める長谷部には同時にチームのマネジメントも求められる。

「モチベーションや雰囲気を高めていきたいと思っています。事前合宿の最初からガッと頑張りすぎると頭が疲れてしまうので、始めは抑え気味にして、初戦にピークを持っていきたい。僕は過去2大会のほかにも、様々な経験をしてきました。これまでの経験をチームに落とし込むのは難しいことではない」

 

■カズから後輩・長谷部にエール

 カズは「キャプテンマークには不思議な力がある」と言う。試合開始前、堂々と列の先頭を歩いてピッチに入場する長谷部とは対象的に、決まって最後尾にいたカズにキャプテンのイメージはない。だが一度だけ、自ら「やりたい」と監督に志願したことがあった。そうして日本代表でキャプテンマークを巻いたカズは、「自分が一つ成長できるような感覚」を味わったという。

「何となくリーダーシップが取れるようになるんですよ。キャプテンマークは重くて、自然と自分がしっかりしないといけないという気持ちになる。代表の試合はいつも気持ちが高ぶりますけど、キャプテンとなるとまた違った。

 それを毎回やっている長谷部はすごいと思いますよ。彼は責任感が強くて、若手から中堅まで、みんなの意見をうまく受け止めている。若くして日本代表のキャプテンを任され、ブンデスリーガでも監督から信頼されている。試合に出続けられるのは、彼の人間性もあるでしょうね。闘将と言われた柱谷(哲二)さん、その後の井原(正巳)……。彼はまたちょっと違ったタイプだけど(笑)。どの監督からも信頼されるというのはすごいことだよ」

 長谷部は西野朗監督を含めると7人の指揮官から指導を受け、2010年以降は都度キャプテンに指名されてきた。歴代の日本代表選手の中で、キャプテンとして最も多くの試合に出場している選手でもある。指導法やマネジメント法、チーム作りは十人十色。そんな中で、長谷部が一貫して行ってきたのは、その監督たちの考えを理解して選手に伝えることだった。

「彼らと一緒に仕事ができたことは財産です。監督からの信頼に対して、自分も信頼で返したい。それはキャプテンという立場の中で、大事にしていることの一つです」

「グループリーグを突破して、決勝トーナメントに進んでほしい。一つでも多く勝ってほしい」。そうカズがエールを送れば、長谷部もそれに力強く応える。

「自分たちがロシアでどういうサッカーをして、どういう結果を出すかによって、日本サッカーの未来が変わってくると思います。しっかりと責任を持って、応援してくださるみなさんに熱くなってもらえるような試合がしたい」

 W杯とはどんな舞台か。その問いかけに対する二人の答えは同じだった。

「今も昔もW杯は夢の舞台で、たとえ自分が出場していたとしてもそれは変わらない。日本代表は憧れのチームだよね。自分がプレーできなくなっても、日本代表は一番の夢のチームです」(カズ)

「W杯は小さい頃から憧れていた最高の舞台。多少のプレッシャーはありますけど、今はワクワクしています」(長谷部)

インタビュー・文=高尾太恵子/写真=鷹羽康博

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