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識者が選ぶEAFF E-1サッカー選手権を戦う日本代表23人/戸塚啓

2017.11.24

戸塚啓氏は「チームのベースを維持するために、これまで招集されてきた選手は必要」と言う [写真]=Getty Images

 12月8日に開幕するEAFF E-1サッカー選手権2017は、ロシア・ワールドカップ前の〈テスト〉として重要な機会となるので、最優先事項は現状で足りないポジションのテストとするべきだ。そうは言っても、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の戦術の枠組みで何ができるかを問わないと、単なる自己アピールになってしまう。チームのベースを維持するためにも、これまで招集されてきた選手は必要だ。W杯予選の出場機会が少ないものの継続的に招集されてきた国内組には、国際経験を積んでもらうための大会でもある、

 W杯開幕まで残り半年のタイミングで考えると、今回は過去の代表チームよりかなり流動性を含んでいる。コンディションに問題が無ければ確実にロシアへ辿り着ける選手は、現時点で13人から15、16人程度だろうか。最大で10人以上の入れ替わりがあるかもしれないわけで、今大会は国内組にとって最後にして最大のチャンスとなる。

 なお、浦和レッズ所属の選手はFIFAクラブワールドカップに出場する可能性があるため、ここでは選考外としている。今大会を軽視するつもりはないが、真剣勝負を戦えるならそちらで研鑽を積んでもらうべきである。

▼GK
東口順昭(ガンバ大阪)
中村航輔(柏レイソル)
権田修一(サガン鳥栖)

 GKは試合ごとに選手が入れ替わるポジションでなく、W杯では明確な序列のもとで結束力の強いグループを作っていかなければならない。すでに顕在化している序列にクラブでのパフォーマンスを照らし合わせると、ロシアW杯の第2GKには東口が指名されるだろう。すなわち彼が、川島不在のなかでは正GKというわけだが、3人を1試合ずつ起用してもいい。ピッチ外でのキャラクターはもちろんピッチ内でのパフォーマンスを認め合ってこそ、GKのグループは作られる。それぞれにアピールのチャンスを与えていいだろう。

▼DF
車屋紳太郎(川崎フロンターレ)
太田宏介(FC東京)
西大伍(鹿島アントラーズ)
室屋成(FC東京)
昌子源(鹿島アントラーズ)
植田直通(鹿島アントラーズ)
三浦弦太(ガンバ大阪)

 新しい選手を呼びたい気持ちはもちろんある。センターバックなら岩波拓也(ヴィッセル神戸)、中山雄太(柏レイソル)、冨安健洋(アビスパ福岡)、左サイドバックなら福森晃斗(コンサドーレ札幌)や松原后(清水エスパルス)の適性を見てみたい。ただ、テストの順番を間違えてはいけない。最終予選に出場した昌子は、チームの基本戦術を担保するためにもピッチに立ってもらい、同時に彼自身の可能性を再確認する。植田と三浦は代表に帯同しながらチャンスを与えられてこなかった選手であり、まずは彼らをテストするべきである。

 左サイドバックの車屋にも、同じことは言える。左サイドバックの太田は、国際舞台でもう一度見てみたい選手として選んだ。リスタートのキッカーとしても期待する。Jリーグ屈指の右サイドバックと言っていい西は、昌子、植田と同時に起用したい。クラブのコンビネーションを持ち込むことで、急造のデメリットを減らすことができる。複数ポジションをこなせる彼には、ロシアW杯を本気で狙えるきっかけを与えたい。

▼MF
山口蛍(セレッソ大阪)
井手口陽介(ガンバ大阪)
原川力(サガン鳥栖)
三竿健斗(鹿島アントラーズ)
清武弘嗣(セレッソ大阪)
大島僚太(川崎フロンターレ)
倉田秋(ガンバ大阪)

 山口と井手口には、海外組がいないチーム編成でチームの主軸としての責任感を強めてもらいたい。倉田は実戦で能力を確認しておくべき選手のひとりで、すでに招集経験のある大島と清武も同様である。清武にはこのチームを引っ張るのは自分だ、という意思をピッチで示してもらいたい。

 大岩剛監督就任後の鹿島で定位置をつかんだ三竿は、4-3-3のアンカーでボールを奪い取る能力をどれぐらい発揮できるのかを見極めたい。リオ五輪世代の原川は、ダブルボランチでもインサイドハーフでもプレーできる汎用性を持つ。リスタートのキッカーも見込める。この7人で組み合わせを変えながら、それぞれのフィット感を見定めつつ3試合を乗り切ることができるはずだ。

▼FW
杉本健勇(セレッソ大阪)
伊東純也(柏レイソル)
川又堅碁(ジュビロ磐田)
小林悠(川崎フロンターレ)
家長昭博(川崎フロンターレ)
金崎夢生(鹿島アントラーズ)

 4-3-3を前提にすると杉本、金崎、川又がセンターフォワードで、小林、家長も純粋なウイングタイプではないのだが、Jリーグでのパフォーマンスを前提にこの6人を選んでみた。Jリーグの得点ランキングで上位に食い込みながら、このところ代表から遠ざかっている川又や小林をどのように生かすのか。対戦したJリーガーがほぼ漏れなく「違い」を感じる家長を、日本代表の戦術に組み込むことができるのか。プレースタイルがはっきりしている伊東はともかく、川又、小林、家長にハリルホジッチ監督がどのようなタスクを与えるのかは興味深い。EAFF E-1サッカー選手権2017では、戦術ありきではなく選手の個性を引き出す起用法を、指揮官には見せてほしいと思うのだ。

文=戸塚啓

By 戸塚啓

スポーツライター。法政大学法学部法律学科卒。サッカー専門誌記者を経て、フリーランスとして20年以上にわたってスポーツ現場を取材。日本代表の国際Aマッチは、2000年3月からほぼ全試合を現地取材。

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