2017.11.22

識者が選ぶEAFF E-1サッカー選手権を戦う日本代表23人/河治良幸

河治良幸氏は「武器や個性が明確であるほど最終メンバーに割り込める可能性は高くなる」と予想する [写真]=Getty Images
サッカージャーナリスト。プレー分析を中心に、海外サッカーから日本代表までカバー。

「12月に大会がありますが、そこに準備してほしい。ここで国内組からA代表に入るかの判断をする」とベルギー戦後にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が語ったように、ここまで代表に選ばれていない、あるいは定着していない国内組には最大にして最後のチャンスになるかもしれない。

 ベースの部分は欧州遠征で世界レベルでの日本の立ち位置を体感したメンバーが担うだろう。コンディションの善し悪しで逆転もありうるが、ここから選ばれる選手に期待されるのは現在の日本に足りない武器を加えること。もちろん“デュエル”(一対一の強さ)や攻守の切り替えといった指揮官が繰り返し強調してきたスタンダードをある程度クリアする必要はあるが、前回のアルジェリアで予選後に初招集されたリヤド・マフレズやナビル・ベンタレブがそうであったように、武器や個性が明確であるほど最終メンバーに割り込める可能性は高くなる。

 とはいえ、EAFA E-1サッカー選手権は最下位に終わった2年前のリベンジを目指す大会でもあり、勝つためのチームバランスも必要となる。その一部は山口蛍(セレッソ大阪)など常連の国内組でカバーできるが、すでに代表経験のあるベテラン選手などが入る余地もありそうだ。なお、AFCチャンピオンズリーグ・ファイナルへの期待も込めて、FIFAクラブワールドカップとスケジュールが重なる浦和レッズの選手は対象外とする。

▼GK
東口順昭(ガンバ大阪)
中村航輔(柏レイソル)
権田修一(サガン鳥栖)

 E-1における正GKの第一候補は東口だ。欧州遠征の2試合では起用されなかったが、世界の厳しさを目の当たりにしたガンバの守護神は川崎フロンターレ戦で獅子奮迅の働きを見せ、終始劣勢だった試合で終盤まで0-0に持ち込んだ。10月のハイチ戦では最初の失点を「あれは何とかできたシーン」と自覚しており、再びチャンスを得れば同じ失敗を繰り返さない構えだ。その欧州遠征で選外だった中村もポテンシャルと伸びしろは代表スタッフからも期待されており、合宿のアピール次第では逆転も射程圏だ。もう1人が非常に難しいが、J復帰から状態を上げて来ている権田が有力。ただ、順当に行けば川島永嗣(メス)が正GKとして計算できるポジションで、控えとしての役割も重要になる。ベテランの曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)は大舞台での勝負強さに疑いの余地は無く、ここで招集しておけば有事の備えにもなる。

▼DF
車屋紳太郎(川崎フロンターレ)
藤春廣輝(ガンバ大阪)
植田直通(鹿島アントラーズ)
中山雄太(柏レイソル)
昌子源(鹿島アントラーズ)
三浦弦太(ガンバ大阪)
西大伍(鹿島アントラーズ)
室屋成(FC東京)

 センターバックは守備の要であり、まずは安定したパフォーマンスが求められるポジションだ。その上で現在の代表に不足している強みを加えられそうな選手が有力候補となる。欧州遠征で槙野智章(浦和)が大きくアピールし、吉田麻也(サウサンプトン)とのファーストセットに定着しつつある。その両選手とも欠く今回は昌子が吉田の“代役”を務め、もう1人はデュエルの強さやDFラインの裏を瞬時にカバーできる機動力など、身体能力を発揮できるキャラクターの選手が候補となる。10月に招集された植田と欧州遠征に参加した三浦はほぼ当確だろう。もう1枚はバランスを考えれば統率力の高いタイプを入れたい。20歳ながらFIFA U-20ワールドカップも経験した中山は左利きというメリットに加え、後方からの組み立ても期待できる有力候補だが、国際試合でのデュエルを重視すれば奈良竜樹(川崎)が食い込む可能性も十分にある。サプライズがあるとすれば2017JリーグYBCルヴァンカップ優勝に大きく貢献したC大阪の木本恭生か。もともと本職はMFだが危機察知力が高く、Jリーグの中では相手との距離を常に詰めたディフェンスが目立っており、90分の運動量もある“ハリル好み”の選手と言える。

 欧州組が主力をつとめてきた左右のサイドバックは予想が非常に難しく、優勝を目指すチームのアキレス腱になりうる。左は車屋が第一候補だが、最近台頭したばかりで経験は少ないため、もう1人は藤春のようにある程度、代表経験のある選手が優先されるかもしれない。右は実力を評価すれば西が頭1つ抜けた存在で、優勝を狙うには持ってこいの選手だ。ただ、ここから半年間で成長に期待を込めて人に強く持久力の高い室屋やJリーグのサイドバックでは一、二を争う俊足を誇る藤谷壮(ヴィッセル神戸)あたりが抜擢されると代表の活性化にもつながる。

▼MF
山口蛍(セレッソ大阪)
三竿健斗(鹿島アントラーズ)
大島僚太(川崎フロンターレ)
川辺駿(ジュビロ磐田)
倉田秋(ガンバ大阪)
井手口陽介(ガンバ大阪)

 欧州遠征に参加した山口、井手口、倉田秋、予選に何度か招集された高萩洋次郎(FC東京)、ケガから復調してきた大島、清武弘嗣(C大阪)など。これまでの実績を基準に考えれば代表経験のある選手で枠が埋まってしまってもおかしくないが、他にも興味深いタレントはいる。ボランチは21歳ながら鹿島で主力に定着した三竿が高さとボール奪取力の両方を加える存在だ。攻撃的MFは天野純(横浜F・マリノス)が面白い存在。速い攻撃の中で変化をもたらすことができ、左足のFKも非常に魅力だが、26歳ながら未だ国際経験が少ないことがどう評価されるか。

 筆者がイチ押ししたいのは川辺だ。持ち前のパスセンスに加え、中村俊輔(磐田)の相棒として状況判断に磨きをかけており、ハードワークでボールを奪うこともできる。欧州組の実力者がひしめく攻撃的MFのポジションで序列を崩せる数少ない国内組の1人と見ている。原川力(鳥栖)も万能型MFとしてハリルホジッチ監督の評価基準を満たすポテンシャルを備える。彼の場合は何と言っても直接FKという絶対的な武器がある。Jリーグに良質なキッカーは少なくないが、彼の右足FKはナンバーワンだろう。セットプレーのキックは国内組がアピールできる貴重な要素だけに、E-1で印象的なゴールを決めれば一気に定着してもおかしくない。実力的には中村憲剛(川崎)もいるが、本大会を見据えてどう判断されるか興味深い。

▼FW
杉本健勇(セレッソ大阪)
金崎夢生(鹿島アントラーズ)
清武弘嗣(セレッソ大阪)
柿谷曜一朗(セレッソ大阪)
小林悠(川崎フロンターレ)
伊東純也(柏レイソル)

 ハリルホジッチ監督は攻撃陣にも守備のハードワークとデュエルを求めるため、最低限そこをクリアし、かつオプションとしての武器を持つ選手が候補になるだろう。ただし、最後の1、2枠はそこにある程度目をつぶっても個で局面を打開できる選手、リズムを大きく変えられる選手、1、2回のチャンスで決められる選手など、一芸に秀でたタレントを抜擢する可能性もある。左右のウイングとセンターフォワードを合わせた6、7人の枠のうち、不参加が見込まれる浦和の興梠慎三をのぞき、欧州遠征に招集されたのは杉本のみ。その長身FWにJ1の得点数で迫る小林にも大きなアピールチャンスとなりそうだ。小林は代表では右サイドがメインのポジションになることが濃厚で、センターフォワード本職の選手がもう1人は入るだろう。これまでの実績と国際経験、勝負強さなどを考えれば金崎が有力だが、ゴール前での迫力を加える存在としては川又堅碁(磐田)も面白い存在。良くも悪くも粗削な選手だったが、磐田でビジョンに磨きがかかり、強気な姿勢はそのままに、ゴール前への入り方など大きく向上している。再び輝きを取り戻してきた柿谷も前回のW杯を経験した強みがあり、FW陣で全くタイプの異なるオプションとして違いを見せれば代表監督の目に留まるかもしれない。

 右ウイングは伊東がドリブルの突破力やカットインからのシュートなど、Jリーグでは傑出した存在感を発揮しており、それが代表レベルでどれだけ通用するのか楽しみなのは柏サポーターだけではないだろう。またサイドバックの経験があり、守備面のタスクも問題なくこなせるため、E-1で大きくアピールに成功すれば海外組の序列に割って入る可能性もある。彼と全く異なるタイプではあるが、攻守のハードワークができ、状況判断に優れる水沼宏太(C大阪)は長澤和輝(浦和)のサイド版になりうる選手。選ばれれば強いメンタリティとコミュニケーション能力で国内組のチームを引っ張れる。左サイドは本来なら最有力の齋藤学(横浜FM)が長期離脱中。ケガから復帰してきた阿部浩之(川崎)やスピードという絶対的な武器を持つ永井謙佑(FC東京)が候補になるか。超サプライズはU-18日本代表のエース田川亨介(鳥栖)。動きの質と言う意味では明らかにA代表レベルではないとはいえ、オプションとして未知の魅力はピカイチだ。左サイドは”ハリルジャパン“で最も競争が激しく、乾貴士(エイバル)や原口元気(ヘルタ・ベルリン)の牙城を崩すのは一筋縄では行かないが、あっと驚く活躍を期待したい。23人枠の事情を考えれば、柿谷や本来MF枠に入る清武を左サイドに回すというプランもありだろう。

文=河治良幸

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