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【プレビュー】ブラジル戦の経験を力に変えられるか…ベルギー攻略ポイントとは

2017.11.14

14日にベルギー代表と対戦する日本代表 [写真]=Photonews via Getty Images

「しっかりと自信を持って、勇敢に戦わなければいけない」。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はベルギー戦前日の公式会見で、改めて戦う姿勢を強調した。

 10日のブラジル戦では立ち上がりこそ高い位置から激しくボールを奪いに行ったが、開始10分に失点。すると相手を恐れたのか、中途半端なプレーが目立った。前から行くのか、それとも引いて守るのか。世界屈指の攻撃陣を擁するベルギーに対して、曖昧さを残したままでは痛い目に遭うだろう。

 ブラジル戦と同じ轍を踏むわけにはいかない。ポイントはハイプレスとブロックの使い分けをピッチ上で瞬時に判断し、それを選手間で意思統一できるか。DF長友佑都は次のように語る。

「ブラジル戦で課題がたくさん出たので、前の選手も後ろの選手も声を掛け合う意識が強くなった。僕らの状態と相手の状態を見て、瞬時に意思疎通ができていないとプレッシャーをかけには行けない」

 ベルギー戦の準備を進める中で、選手たちは時には指揮官を交えてディスカッションを繰り返した。最前線でプレスのスイッチを入れる役目を担うFW大迫勇也は、「そこのコミュニケーションは取れているので問題ない。今日もみっちり練習したので楽しみ」と不敵な笑みを浮かべる。短い準備期間で考えは整理されつつあるようだ。

 守備が安定すれば、おのずといい形の攻撃につなぐことができる。狙い目は相手の3バックの両サイドのスペース。ウイングで先発する見込みのFW浅野拓磨とFW原口元気がスピードを生かした仕掛けでいかに裏を突けるかがポイントになる。「今回は相手のシステムが違うし、プレスを剥がす能力も高いので、うまくコミュニケーションを取りながらやらないといけない」。原口は守備での注意点を挙げつつ、攻撃面について次のように話した。

「速い攻撃は意識できているので、勝手に体が動くと思う。ボールの取り方がよければ、必然的に僕らの速い攻撃がうまく表現できる」

 しかし、こうした戦術はブラジル戦のように臆病さが顔をのぞかせてしまうと機能しない。重要なのはいかに「自信」と「勇気」を持って戦えるかだ。「もっとがむしゃらに、死に物狂いでやっていなかいといけない」(DF吉田麻也)、「自分たちがどれだけチャレンジできるか。いなされそうなところで、どれだけ自分たちが食いついていけるか」(GK川島永嗣)。ベテランの2人はチームに戦う姿勢を求めた。その姿勢こそが、指揮官が就任時からこだわり続けた“デュエル”(球際での激しさ、争い)ではないのだろうか。

 DF酒井高徳は本質に立ち返ることの重要性を訴えた。

「11人が意思統一してスペースを守っていても、相手がそれをかいくぐってくるレベルだということはブラジル戦で分かった。まずは自分の目の前にいる選手に何もさせないことが一番。その本質がないと、どこでどんな戦術を使おうと、11人が同じ考えを持っていたとしても通用しないと思います。一番近い相手の選択肢を減らすこと、何もさせないこと。まずは個人のところでしっかりとボールを取り切る場面を作る。あるいは、次の選手が取れるような場面を作る。その局面を3人、4人で作って、それを大きくしていった時に11人が揃う形を作りたい」

 ブラジル戦で日本から先制点と積極性を奪ったビデオ判定(VAR)は、ベルギー戦では採用されない。臆することなく戦う準備は整った。数日前と全く違った姿を見せることができるか。自信と勇気を持って戦わなければ、何も手にすることはできない。

取材・文=高尾太恵子

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