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【コラム】右FWで出場の浅野拓磨、本田との連係で浮き彫りになった課題

2017.06.08

シリア戦は後半63分から途中出場した浅野拓磨 [写真]=兼子愼一郎

 昨年11月のオマーン戦以来となる日本代表のピッチ。7日に行われたキリンチャレンジカップ2017のシリア戦、FW浅野拓磨(シュトゥットガルト)は「ゴールという結果で貢献したかった」と無念さをにじませた。

 好機をモノにできなかった。83分、DF長友佑都(インテル)のクロスに右サイドから走り込み、頭で合わせようとした。「自分が落下地点を読んで、しっかりと合わせるだけだったと思うので、悔しいですね」。残念ながら、クロスボールは浅野の頭上を越えて行った。

 シリア戦直前に実施された海外組合宿で右アキレス腱を痛め、出場に黄信号がともっていた浅野。「(合宿の)2日目くらいから痛いなと。それでも(練習を)やっていたら、日に日に(痛みが)増していった」と直前まで別メニューで調整を行っていた。本人は「やっていたら治っていくかな、という感覚だった」と話すが、昨年11月のFIFAワールドカップロシア アジア最終予選・サウジアラビア戦からベンチが続き、さらには同世代のFW久保裕也(ヘント)がエース候補と注目を浴びる中で、少なからず焦りもあったことだろう。

「試合に出られたことは一歩前進」であるのは間違いない。ただ、チャンスがあっただけに悔いが残る。右のインサイドハーフに入ったMF本田圭佑(ミラン)との連係は「まだまだつかめていない」状況であったし、右ウイングでのプレーは「左と比べると、ボールを持った時の景色や(ボールの)持ち方も変わってくる」と難しい面もあった。その中でも、「最後のフィニッシュを狙おう」と相手DFの背後へ抜ける動きを繰り返したが、得点には結びつかなかった。

 課題は「(動きの)タイミングと最後の質」だと分析する。「あとはタイミング。(香川)真司さんはタイミングを見て、(パスを)パッと出せるほうだけど、本田さんはタメを作って周りを見ることができる選手。本当にタイミングだと思うので『見て、走る』ことの質を高めたい」。選手はピッチに立つことで、その成長は加速する。「いろいろな選手に合わせていけるようなプレーをしないといけない」と口にする浅野の表情が心なしか明るかったのは、実戦を通して課題が浮き彫りになったからだろう。

 もちろん、「やっぱり前で出たい」という強い思いは変わらない。「ラストパスを受ける側に回りたい。ゴールに近ければ、近いほうが、自分の特長が出せる」。理想のポジションを確保するためにも、まずは与えられた場所で目に見える結果を出すしかない。「イラク戦も難しい試合になると思う。しっかりといい準備をするだけ」。どこで起用されようが、どのタイミングで出ようが、最後にきっちりと仕留めるだけである。

取材・文=高尾太恵子

By 高尾太恵子

サッカーキング編集部

元サッカーキング編集部。FIFAワールドカップロシア2018を現地取材。九州出身。

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