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【プレビュー】GS通過を懸けていざ直接対決…伝統国・イタリアと真価が問われる一戦へ

2017.05.26

GS突破を懸けて日本とイタリアが激突する [写真]=FIFA via Getty Images

 5月26日20時から天安総合運動場を舞台に、FIFA U-20ワールドカップ韓国2017のグループステージ最終戦が催される。日本の前に立ちふさがるのは、伝統国イタリア。昨夏のU-19欧州選手権準優勝の難敵との試合に、日本の命運は左右されることとなる。

 勝てば2位通過が濃厚、引き分けなら3位で通過できる可能性が高く、敗北でも同グループのもう1試合、そして他グループの結果次第で他力本願ながら突破の可能性が残る。それが日本の置かれた状況だ。ウルグアイとの第2戦で敗れたとはいえ、第1戦でしておいた“貯金”が消えるわけではない。決して心理的に追い詰められるような状況ではないことをよく確認した上で、今回の試合に臨むべきだろう。この試合、変な悲壮感は要らない。

 対するイタリアは初戦でウルグアイに0-1と惜敗したものの、続く南アフリカ戦は2-0と快勝。得失点差の点で日本よりアドバンテージを得て完全に「引き分けでもOK」という状況でこの一戦に臨んでくる。「イタリアは引き分けて2位上がりですから、普通に考えたらそういった文化のサッカーをしてきますよ」と内山篤監督が分析するとおりだろう。リスクは取らず、決勝トーナメントに向けて体力的な余裕を残すことも考えながら試合を運んでくるはず。その相手に対して変に焦って点を取りに行くようだと、確実に“思うツボ”。イタリアの伝家の宝刀たるカウンターの餌食になってしまうに違いない。

 今大会のイタリアは渋くてスマートでエレガントなチームに仕上がっている。整った4バックのラインディフェンスの前に、スキのないポジショニングと身体的な強さを兼ね備えるMFロランド・マンドラゴラ(ユヴェントス)が構える形が基本形。攻撃は右サイドから左利きのMFリッカルド・オルソリーニ(アスコリ)が持ち込み、彼のアイディアと打開力を活かして切り崩していく形が軸となる。右に傾いているような攻撃の戦術が特長だ。中央では191cmの長身FWアンドレア・ファヴィッリ(アスコリ)が待ち構える。パワーに加えて、柔らかさと視野の広さも兼ね備えるタイプで、彼にボールが収まるようだと一気に苦しくなる。

ウルグアイ戦は敗れたものの、南アフリカを下し大会初勝利 [写真]=FIFA via Getty Images

 イタリアは4-3-3と4-4-2の2つのシステムを戦況に応じて使い分けてくる戦術的な柔軟性もあり、攻守のメリハリも利いている。キーマンだったニコロ・バレッラ(カリアリ)が第1戦で負傷しているのは小さくない損失となりそうだが、厄介な相手であることに変わりはない。堅陣を売りとすることの伝統国と「引き分けでOK」のシチュエーションで相対するというのは、何ともやりづらい。

 対する日本は、FW小川航基(ジュビロ磐田)の負傷離脱の穴をどう埋めるかが最大のポイント。岩崎悠人(京都サンガF.C.)の連続先発は確定的だが、その相棒に関しては田川亨介(サガン鳥栖)の初先発が濃厚だ。岩崎・田川のコンビで組む場合、どちらもスピードを生かした裏抜けを得意とするタイプという問題がある。岩崎は以前「動きがかぶってしまう」という懸念を口にしており、その点をどこまですり合わすことができるかがポイントとなりそうだ。これまで2試合に出場しておらず、フレッシュな状態であることから、攻守で“競る”、“走る”というシンプルな貢献に強く期待したい。

岩崎の今大会初得点にも期待が掛かる [写真]=FIFA via Getty Images

 さらに左MFに遠藤渓太(横浜FM)、左ボランチに原輝綺(新潟)、左DFに杉岡大暉(湘南)という最も守備面での強度に期待感のある3枚を左サイドに配置する見込み。これはオルソリーニ中心に右サイドアタックを攻めの軸としてくるイタリア対策だろう。遠藤はここまで交代出場のみ、杉岡は初出場のため体力面の不安もない。長身選手がそろうイタリア相手だけに、杉岡には防空戦要員としても期待が掛かる。

 引き分けでも突破が濃厚な状況を踏まえて守備力を意識したスターティングイレブンになりそうだ。理想のゲームプランとしては、0-0で試合を運びつつ、後半の勝負どころからFW久保建英(FC東京U-18)に加えて、MF髙木彰人(ガンバ大阪)、三好康児(川崎フロンターレ)ら攻めのカードを入れて1点奪って逃げ切るというところだろう。

ウルグアイ戦で奮闘した久保。イタリア戦は途中出場が濃厚に [写真]=FIFA via Getty Images

 もちろん、早々に先制できれば言うことはないのだが、そう簡単にいくとも思えぬ難敵である。心理的なプレッシャーも当然あるだろうが、逆に言えばチームとしての真価が問われる場面。「これまで小川に頼ってきた部分がある」(坂井大将/大分トリニータ)中で迎える正念場で、東京五輪世代の若き選手たちが何を見せてくれるか。不安よりも期待を持って見守りたい。

◆予想スタメン◆
「4-4-2」

▼GK
1 小島亨介(早稲田大)

▼DF
3 中山雄太(柏レイソル)
6 初瀬亮(ガンバ大阪)
15 杉岡大暉(湘南ベルマーレ)
5 冨安健洋(アビスパ福岡)

▼MF
17 市丸瑞希(ガンバ大阪)
11 遠藤渓太(横浜F・マリノス)
7 堂安律(ガンバ大阪)
16 原輝綺(アルビレックス新潟)

▼FW
13 岩崎悠人(京都サンガF.C.)
14 田川亨介(サガン鳥栖)

文=川端暁彦

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