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岡崎慎司、代表50ゴールの真実…自身が語る得点パターンの進化と変化とは

2017.03.29

岡崎慎司が日本代表通算50ゴールを達成した

 28日に行われたFIFAワールドカップロシア アジア最終予選のタイ代表戦で国際Aマッチ108試合目にして節目の日本代表通算50ゴールを達成した岡崎慎司(レスター/イングランド)。偉大な記録を達成するまでの足跡を振り返っていくと、日本代表におけるゴールには明らかな傾向が見られる。

 まず最も顕著なのは、その得点パターンだ。全50得点のうちワンタッチ、すなわちダイレクトでのゴールは実に「39」を占める。続いて多いのは2タッチの「7」、そして3タッチの「4」で、4タッチ以上のゴールはない。いかにゴール前で勝負するタイプのストライカーなのかが数字からもイメージできるだろう。彼自身が「一生ダイビングヘッド」というキャッチフレーズを掲げているように、ヘディングでは17得点をマーク。利き足の右足で決めた23ゴールに次ぐ数字を叩き出している。同時に得点ゾーンを分析していくと、ゴールエリアの幅の中がその大半を占めており、岡崎の“ピンポイントゴーラー”たるゆえんが見えてくる。

 では、なぜこういった得点パターンの傾向が出ているのだろうか。そして彼はいかなる成長を遂げてきたのか。岡崎自身はこう分析する。

「試合の流れを見ながら前線に張り付いたり、中盤でフラフラしたりすることで相手がつかみにくくなるので、その効果が出ている感じはある。前線で体を張るだけではなく、トップ下やサイドの選手とポジションチェンジしたり、自分が最初に動くことで相手をかく乱できているけど、それはいろいろな役割をやってきたことが大きいと思う。ワントップだけじゃなく、シュトゥットガルトとマインツではサイドもやった。レスターではトップ下もやっているけど、いろいろなポジションをやった結果、結局は自分はどのタイプにも属さないことが分かった。ワントップでもセカンドトップでもサイドでも、そのポジションらしいタイプではなかった。そういう意味で自分はどのスタイルにも馴染めるから、つかみづらい選手になれる」。

 相手のマークを外してペナルティエリア内に入り込み、ピンポイントで合わせる。素早く裏のスペースを突く。そしてこぼれ球に誰よりも早く反応する——。彼の得点パターンは簡単に上記3つに凝縮される。だが、「言うは易し、やるは難し」である。考えながら工夫を重ね、様々な経験を積んできたからこそ達した境地。その背景が彼の言葉からも読み解ける。

「50」のゴールシーンを確認していくと、ピンポイントゴールだけでなくテクニカルな形でネットを揺らすシーンがしばしば見られる。特筆すべきは通算21点目、そして48点目だろう。AFCアジアカップ2011のサウジアラビア代表戦で決めた21点目は前田遼一(FC東京)からの縦パスを受け、左足裏を使ったターンから左足で決めたもの。これが日本代表での初めての“テクニカルゴール”だった。そして2016年3月のFIFAワールドカップロシア アジア二次予選のアフガニスタン代表戦でマークした48点目も21点目に似ているが、こちらはさらにレベルアップした形だ。清武弘嗣(セレッソ大阪)から縦パスを受けた岡崎が、右足でボールを引きながらターン。さらに右足で鋭く切り返して相手DFを股抜きで翻弄した上で左足で冷静に流し込んだ衝撃のゴールだった。50ゴールのうち、3タッチのゴールはわずかに4つ。だが、彼の技術向上をしっかりと証明しているとも言える。所属するレスターでは前線からの積極的な守備が評価されており、「(クラウディオ・ラニエリ前)監督から得点を期待されていない」と自虐的に語っていた岡崎だが、日本、そしてドイツでの経験がストライカーとしての彼を確実に進化させているのは間違いない。

 果たして岡崎はペナルティエリア内でどんな駆け引きをしているのか。1試合を通じてそれだけを見続けても十分に面白いのかもしれない。それだけの着実な積み上げがあるからこそ、日本代表通算50ゴールという偉大な記録が一際輝くわけである。

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