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FW久保裕也、タイ戦でも代表の武器となるか「もっともっとやれる」

2017.03.28

タイ戦前日、会場となる埼玉スタジアムで調整を行った久保 [写真]=三浦彩乃

 やはりどこまでもストイックな男だ。「前回(昨年11月のサウジアラビア戦)に比べたら、少しやれるなという実感が湧きました。でも、もっともっとやれる」。先日の2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選・UAE戦で代表初ゴールを決めたFW久保裕也(ヘント)が、タイ戦に向けて静かに闘志を燃やした。

 引いて守る相手をどう崩すか。久保は「やっぱりサイドが起点になると思う。そこで枚数をかけて崩せたら、チャンスを作れるはず」とイメージを膨らませる。

 そうなると、右サイドバックでの出場が予想される酒井宏樹(マルセイユ)との連係が重要になってくる。酒井いわく、「サイドハーフの選手がやりやすいように動くだけ。裕也には『要求して』と言っていますし、『どうすればいいか』という話はしてもらっています」と積極的にコミュニケーションを取っているようだが、互いの理解を深めるためには時間が短く、「連係というよりはお互いに信じ合っていくしかない」と話す。ピッチ上でいかにイメージを共有できるかがポイントとなる。

 久保は1月にヘントへ移籍して以降、7戦5発と驚異的なペースでゴールを積み重ねてきた。直接FKに左足でのミドル、4人抜きのドルブルシュートなど、ゴールバリエーションの豊かさは目を見張る。京都サンガF.C.時代からシュートセンスやシュートレンジの広さ、突破力のあるドリブルが評価されていたが、欧州に渡ってからは「今は個人で突破してゴールを奪う場面をもっと作りたいと思っています。ワンタッチでのシュートやアシストも増やしていきたい」と、よりストイックに個の能力を高めてきた。

 そして日本代表という舞台で、しかも敵地で迎えたUAEとの大一番で先制点を叩き出した。後半には左足のクロスからMF今野泰幸の得点をアシスト。何度も相手守備陣の背後を突く動きを繰り返しながら、縦への推進力と突破力を披露した。タイ戦については、「あまり得点は意識しすぎず、いつも通りやれたらいい。チームが勝つことだけを考えてやりたい」と語るが、これだけ乗っているストライカーにゴールを期待するな、というほうが無理だろう。「まだまだコンディションは上がる」と言うからなおさらだ。

 いつもと変わらぬ淡々とした口調からも、揺るぎない自信がうかがえた。

「いろいろなイメージがありますけど、状況によって変わると思います。とにかく、いろいろなことを試しながらやれたらいい。自分のプレーがうまくいけば、最後にゴールが必ずついてくると思うので、その前段階のプレーをしっかりとやっていきたい」

 長年、日本代表をけん引してきたFW本田圭佑(ミラン)の定位置を奪う勢いを見せ、周囲からは“世代交代”という声が聞こえてくる中で、「結果を残したのはまだ1試合だけ」と本人はあくまで冷静だ。

「役割は変わらないと思います。攻撃の部分でチャンスを作って、得点に絡むことが仕事」。

 2試合連続ゴールとなれば、日本代表での存在感はさらに増すはず。タイ戦ではどのようなパフォーマンスを見せるのか。どこまでも貪欲な23歳が、タイの分厚い守備をこじ開ける。

取材・文=高尾太恵子

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