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【コラム】常連組を脅かす競争激化は必至…開幕間近のJリーグに見る日本代表のGK事情

2017.02.17

"常連組”の西川(左)、川島(中央)、東口(右)を脅かす選手とは [写真]=三浦彩乃

 日本代表の強化という視点から、開幕間近のJリーグを見つめてみる。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとって嬉しいのは、GKの競争激化が予想されることだろう。


 昨年11月の2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選で、日本代表のGK陣は川島永嗣(メス/フランス)、東口順昭(ガンバ大阪)、西川周作(浦和レッズ)で構成された。彼ら3人以外で2016年に招集されたのは、林彰洋(FC東京)だけだった。ケガやコンディション不良、あるいはポジションをつかめていないなどの理由で、ハリルホジッチ監督とスタッフが追跡していた選手を招集できない事情があった。

 今シーズンは状況が好転した。

 オーストリアのSVホルンに2016年末まで在籍し、引き続きヨーロッパでのプレーを模索していた権田修一が、Jリーグに復帰したのだ。新天地はサガン鳥栖である。2012年のロンドン・オリンピックで正GKを務めた権田は、2014年のブラジル・ワールドカップで川島、西川とGKのグループを形成した。ハリルホジッチ監督の初陣となった2015年3月のチュニジア戦では、年上のライバルを押しのけてゴールマウスに立っている。

権田修一

権田は2016年1月にFC東京からSVホルンへ期限付き移籍していた [写真]=Bongarts/Getty Images

 鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督が目指すスタイルには、FC東京在籍時に触れている。インテリジェンスで勉強熱心なタイプだけに、指揮官の戦術を記憶から呼び戻し、ピッチ上でスムーズに表現していくだろう。その先にはもちろん、日本代表への復帰があるはずだ。

 昨年10月の日本代表候補GKトレーニングキャンプに招集されたシュミット・ダニエルは、所属元のベガルタ仙台へ復帰した。2015年途中からロアッソ熊本で、2016年には松本山雅FCでレギュラーを務め、J1で戦う準備は整っている。196センチのサイズには、ハリルホジッチ監督も注目している。チームを勝利へ導く活躍見せれば、早い段階での代表招集もありそうだ。

シュミット・ダニエル

昨年10月に日本代表候補初選出となったシュミット・ダニエル。「レベルアップしたい」と意気込んでいた [写真]=Getty Images

 シュミット・ダニエルと入れ替わるようにベガルタを離れたのが、清水エスパルスの一員となった六反勇治だ。2015年に移籍1年目のベガルタで定位置をつかみ、ハリルホジッチ監督のもとで日本代表に初招集された。しかし、昨年はシーズン途中でケガに見舞われ、ポジションを失ってしまった。それだけに、2017年は捲土重来を期す。絶対的なGKが見当たらないエスパルスでポジションをつかみ、J1復帰1年目のチームを最後尾から盛り立てることができれば、ハリルホジッチ監督の目に再び留まるだろう。

六反勇治

2015年11月を最後に代表から遠ざかっている六反 [写真]=Getty Images

 昨年10月のGKトレーニングキャンプには、リオ五輪代表のふたりも招集されている。中村航輔櫛引政敏だ。リオ五輪で2試合に先発出場した中村は、22歳にして柏レイソル不動の守護神だ。GKに求められる資質は漏れなく高いが、なかでも至近距離からのシュートストップに優れる。キャッチするのか、弾くのか、弾くならどこへ弾くのか、といった判断も適切なのだ。レイソルではすでにアピールを積み重ねており、日本代表は射程にある。

中村櫛引

リオ五輪代表でしのぎを削りあった中村(左)と櫛引(右)[写真]=Getty Images

 一方の櫛引は、新シーズンが勝負となる。昨年は清水から鹿島アントラーズへ期限付き移籍したものの、元日本代表曽ヶ端準の牙城を崩すことができなかった。実戦の機会はリーグカップに限られ、リオ五輪も不完全燃焼に終わってしまった。2017年は出場機会を求め、J2のファジアーノ岡山へ期限付き移籍した。戦いのステージは下がったものの、大切なのは存在感を示すことである。新天地でピッチに立つことから、すべては始まっていく。

 ロシアW杯アジア最終予選を戦う日本代表で、GKのポジションは西川が先行し、東口と川島が追いかける構図だ。そうは言っても、序列が固まっている印象はない。何よりも、ハイレベルな競争が繰り広げられていくことは、日本代表の利益となる。GKがJリーグの話題をさらうような状況が、作りだされていくことを期待したい。

文=戸塚啓

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