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3度目の五輪出場を視野に入れる吉田…日本のディフェンスリーダーが背負う責任

2016.05.25

24日のトレーニングに参加した吉田麻也(中央)

 6月のキリンカップ2連戦(3日=ブルガリア戦=豊田、7日=ボスニア・ヘルツェゴヴィナとデンマークのいずれか=吹田)に向け、5月24日から千葉県内でスタートした日本代表の欧州組合宿。2日目の25日は想定通りの二部練習となり、午前中は川島永嗣(ダンディー・U)、長友佑都(インテル)、吉田麻也(サウサンプトン)、清武弘嗣、酒井宏樹(ともにハノーファー)、酒井高徳(ハンブルガーSV)の6人と、リハビリ中の山口蛍(ハノーファー)、内田篤人(シャルケ)、武藤嘉紀(マインツ)の合計9人が参加。前日同様、山口は前者6人の中に入って全メニューをこなした。

 10時過ぎからの午前練習は1時間半強の内容だったが、メインはタッチラインとゴールラインの合計約160メートルを30秒でダッシュするインターバルトレーニング。コンディションや走力によって選手たちは3グループに分けられ、走る距離や本数にも加減が加えられた。昨年も同じメニューが行われたため、選手側も心の準備ができていた様子で、比較的スムーズに走りをこなしていた。

 午後からは原口元気(ヘルタ・ベルリン)が合流。内田と武藤は宿舎内でのトレーニングとなり、グランドには7人がやってきた。練習は17時過ぎにスタート。原口は走り中心の内容、川島はGKコーチ2人と別メニューをこなし、それ以外の5人はリフティングやジグザグドリブル、ヘディングなどを交えたサーキットトレーニングを入念に消化。最終的には川島も入って4対4のミニゲーム、体幹強化まで進んで19時前に終了となった。1日合計4時間弱という負荷の高い練習が終わった時には「みんなよくやった」という掛け声が選手たちから飛び交うほど。合流初日の原口も「今日はダウンくらいの感じだったんで、明日から走ると思います。キツそうですね」と苦笑するなど、シーズン終了直後の欧州組にとっては相当ハードなのは間違いないようだ。

 練習後には吉田が清武、山口らロンドン・オリンピック世代から「キャプテン、次は3回目の五輪ですね」といじられていた。そのことに水を向けると「まだ誰とも話してないんで分かんないです」と前置しながらも、「オーバーエイジはメダルを取りに行きたいんだったら絶対に必要だと思うし、そのオーバーエイジは少なくともオリンピック、もしくはブラジルを経験している選手じゃないとダメだと思う。北京かロンドンかコンフェデかワールドカップに出た選手じゃないとオーバーエイジの効果を発揮できないんじゃないかって僕は個人的には思います。選手を育てるならやっぱりU-23、23歳以下の選手が試合に出るべきだし、どういうスタンスで臨むのかは協会と監督次第だと思う」と呼ばれれば前向きに考える意向を示唆した。

 実際、奈良竜樹(川崎フロンターレ)に続いて岩波拓也(ヴィッセル神戸)が負傷離脱し、鉄壁だった現U-23日本代表のセンターバック陣が崩壊寸前の状態に陥っている。そのことには吉田も頭を悩ませている様子で「僕より若いセンターバックがA代表にいないのも問題。そこは慎重に進めないといけない」と彼自身も語っていた。日本サッカー協会が吉田の力を借りるという判断を下すのか否か。そこは直近の重要なテーマと言える。

 加えて、吉田は移籍問題にも直面している。2012年夏に移籍したサウサンプトンで4シーズンを過ごしたが、最初のシーズンのリーグ32試合というのをピークに、2年目が8試合、3年目が22試合、今シーズンが20試合と出場数は大きく伸びておらず、コンスタントに試合出場が叶っていないのが実情だ。

「昨季もリーグ20試合、カップ戦を含めると30試合弱出ていて、完全に悲観することはないんですけど、自分はシンプルに試合に出たいだけ。もちろんイギリスにいられれば一番いいし、サウサンプトンにも不満はないんで、今のクラブで試合に出られるならずっといたいですよ。でも、年齢的にも一番いい時期をベンチで過ごしたくはない。サウサンプトンは来季EL(ヨーロッパリーグ)もあるし、契約も2年あるからどうなるか分からないけど、現状はどういう選択肢もあると思う。選択肢が多いのはサッカー選手としていいことだと考えています」と吉田は揺れる胸中を打ち明けた。

 3度目の五輪出場、そして移籍問題と自分のキャリアを大きく左右する大きな出来事を抱えながらも、日本代表に来たら集中して勝つことを考えなければならない。それが国を代表して戦う者の責任だ。2010年から足掛け7年間、A代表の最終ラインを背負ってきた彼にはその重要性が誰よりもよく分かっている。このキリンカップを「欧州のレベルの高い相手と戦えるのは非常に有意義なこと」と捉え、厳しい走り中心のトレーニングを黙々とこなしていくつもりだ。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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