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被災地を想い、選手たちを送り出した手倉森監督「我々が希望になろう」

2016.05.12

チームに大きな期待を寄せる手倉森誠監督 [写真]=浦正弘

「MS&ADカップ 2016 〜九州 熊本震災復興支援チャリティーマッチ がんばるばい熊本〜」が11日に佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムで行われ、U-23日本代表とガーナ代表が対戦した。試合はMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)の2得点とFW富樫敬真(横浜F・マリノス)の得点でU-23日本代表が3-0の快勝を収めた。

 U-23日本代表はリオデジャネイロ・オリンピック本大会でナイジェリア、コロンビア、スウェーデンと同組となった。手倉森誠監督は“仮想ナイジェリア”として臨んだガーナ戦でチームが完封勝利したことに「この結果を受けてホッとしています」と率直に一言を述べた。

 この日の選手たちには「日本サッカーの未来と希望、そして被災地・熊本の希望になろう」と、4月に発生した「平成28年熊本地震」の被災者に勇気を与えたいという思いがあった。指揮官も震災に対する思いは強く、「熊本はいま困難な状況にある。だからこそ希望になり得るチャンスというのが目の前にある。いま困難な状況にある人たちに対して、困難を乗り越えてきた我々が希望になろう。その覚悟を示せ」と、選手を鼓舞してピッチに送り出したという。

 自身もベガルタ仙台を率いていた際に、東日本大震災を経験した。そういった過去を踏まえ、指揮官は“日本代表”としてのあり方について「この世代の選手はうまくしてプロになれたわけだけれど、いろいろな力があってプロになれたわけです。そして代表選手になったことによって育まなければいけない人間力があります。社会で起きたことに対して、思いを寄せられるかどうかが大事になる」と持論を述べ、選手たちへ精神的な成長を求めてきた。

 そして、この日の選手たちの戦いぶりを見て、「(リオ五輪)予選のときは反骨心から、そして今回は希望になるんだという思いがある。そういう思いから彼らは成長してくれている」と成長を感じることができた。手倉森監督が「前半の内に3点仕留めたというのが彼らの覚悟だったと思う」と語るように、選手たちは序盤からエンジン全開でプレー。後半はやや失速気味であったものの、国際レベルのスピードとパワーが求められるガーナ相手にしっかりと強さを見せ、「ある程度はそれを身に付けるべくパワーを注いでくれてよかった」と選手たちの戦いぶりに一定の満足感を示した。

 また、オーバーエイジ(OA)枠については、連日報道が先行する格好になっているが、指揮官は「本当に彼らがOAを要らないと言えるくらいのパフォーマンスを続けてくれれば、自分の決断も変わってくるのかなと思います。でも、『OAを呼ぶ気がある』と言い続けた先に彼らの成長が早まればいいなと思います。OAとも競争してくれと言いたい」と23歳以下の選手たちのさらなる成長を願った。

 現在は予選を戦ったDF室屋成、MF中島翔哉(ともにFC東京)、FW鈴木武蔵(アルビレックス新潟)ら、代表候補の選手たちが相次いでケガに見舞われる状態に陥っている。それでも手倉森監督は前を見据え、現状をポジティブに捉えている。「期限には18人(のメンバー)に絞らないといけない。いい状態だなと思っています。自分は厳しい決断をしなければいけないときが来るわけですが、でも本当に厳しい競争を勝ち抜いた選手たちは間違いなく、メダルの可能性を持った選手たちになるだろうなということを期待してやり続けたいと思います」と選手たちが切磋琢磨することで、レベルの高いチームになることを期待している。

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