2015.10.09

右FWながらトップ下の持ち味を発揮…改善に挑み続ける本田圭佑の爆発に期待

本田圭佑
シリア戦でゴールを決めた日本代表FW本田圭佑 [写真]=兼子愼一郎
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 2014年ブラジル・ワールドカップの後、ミランで4-3-3の右FWで起用されるようになったことで、ハビエル・アギーレ監督前体制から日本代表でも右サイドを主戦場とするようになった本田圭佑。今年3月のヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任後もその流れのままで来ていたが、シニシャ・ミハイロビッチ監督が今シーズンからミランの指揮を執り始めてから本職のトップ下に復帰した。

 本人も開幕前には「自分的には完全にはまり役。間違いなく結果は出てくるかなって感じはしています」と手ごたえを口にしていた。実際のところ、ここまでは思惑通りには進んでおらず、4日のナポリ戦後にはクラブの方向性に対し歯に衣着せぬ発言をするなど、同選手の立場は大きく揺れ動いている。

 そんな中、迎えた8日の2018年ロシア・ワールドカップ・アジア2次予選の天王山・シリア戦(マスカット)で、本田はミランでのトップ下経験を遺憾なく発揮した。E組首位に立つシリアが序盤から凄まじい勢いで挑んできて、香川真司(ドルトムント)ら攻撃のキーマンたちは激しいマークを受けたが、本田は右から中へ移動しながら組み立てに参加。前半24分には右サイドバック・酒井高徳(ハンブルガーSV)のクロスに反応。ガラ空き状態の逆サイドへ飛び込んでゴールを狙いに行くなど、極めてトップ下に近いプレーを随所に見せた。

 それでも、前半は「距離感が遠い」と本田も指揮官も強く感じていた。「後半は両サイドの原口(元気=へルタ)と僕が中に絞って当てる的を増やしたことで、『蛍(山口=セレッソ大阪)、僕、真司』みたい流れで、真司が前に向いて効果的に攻めるという前半にはなかった形が出てきた」と彼自身も目に見える前進を実感したという。

 この成果もあり、後半10分には長谷部誠(フランクフルト)のタテパスに抜け出した岡崎慎司(レスター)が得たPKを本田が確実に沈め、待望の先制点を挙げる。2011年アジアカップ(カタール)でのシリアとの前回対戦でも、本田は非常に拮抗した終盤に堂々とPKを決め、チームを勝利に導いている。まさにその4年半前を彷彿させるゴールシーンだった。

 その後は岡崎のチーム2点目の起点となるFKを蹴り、終盤には左サイドの巧みな抜け出しから宇佐美貴史(ガンバ大阪)の3点目をお膳立てする。本田がこれほどまでに自由度の高いポジション取りをするのは、ハリルホジッチ体制では初めてだろう。

「中に入っていないとできないプレーは何度か見られましたよね。外に張っていても、特に僕みたいなタイプは何も見せれないまま終わってしまうことが多い。中に入ってやってしまった方がチームとしてもコレクティブにプレーできる。(左の)原口の方がドリブルが得意だから、そっちが外に張るとか、もうちょっと使い分けられる。ただ、チームとして攻撃パターンが両極端になるんじゃなくて、相手によって前半の中でも変えられるなら、もっと強いチームになれる」と、本田は自分を客観視したうえで、的確なプレーを選択したという。

 今回のシリア戦はミランでの騒動の直後。大胆発言は日本のみならずイタリア、欧州全域でも報道され、本田への注目は一段とアップした。シリア戦で不甲斐ないパフォーマンスを見せるようなことがあれば、さらなる苦境に立たされる可能性もあった。本人も重圧を感じてもおかしくなかったが、この日はその影響を一切、感じさせることなく、多彩な役割を黙々とこなしていた。その落ち着きと冷静さが、本田の成長を物語っているのではないか。

 それでも、PKの1点だけというのは、今の本田には物足りないはず。今シーズンはミランでいまだ無得点という状況だけに、代表戦でゴールを量産し、インパクトを残したかった部分はあるだろう。その胸中を同い年の盟友・岡崎が改めて代弁していた。

「圭佑は基本的にいつも変わらないし、自分から見ても『向上心の塊』だと思う。ホントに選手というのは、いい時もあれば悪い時もあるし、結果が出た時に乗ってくる。今はそれが出てない分、どっかで絶対爆発する。自分も今は溜めてる側なんで、お互いいい勢kかrいに乗れればいいかなって話はいつもしてますけどね」

 日本代表、ミランでの爆発を現実のものとしたい男にとって、次なるイラン戦(13日=テヘラン)は単なるフレンドリーマッチではない。イランはアジア最高レベルの相手。彼らを倒さなければ、ロシアに行ける保証はない。ブラジルで味わった屈辱を晴らす場も得られない可能性もあるのだ。ブラジル大会の後、自身の物差しの見直しを図り、「経験不足」「身体能力の向上」「強みの最大化」の3テーマを明示した本田は、その改善に今も挑み続けている。この1年間の成果を見せる絶好の機会である次のイラン戦が注目されるところだ。

文=元川悦子

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