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深い沈黙と決意…長友「いかにチームのために犠牲になり走れるか」

2015.01.23

前日会見に出席した長友 [写真]=兼子愼一郎

 日本代表長友佑都が22日、アジアカップ準々決勝の前日会見に出席した。

 3戦全勝でグループDを首位突破した日本代表。グループCを2位通過したUAE代表との対戦を控え、長友は「意気込みは勝ちたいという一言だけ。この一言に全てが詰まっていると思う」と語った。

 決勝トーナメントの始まりを前に、「ひとつのミスが命取りになるが、いかに一人ひとりがミスを恐れずに堂々と自信を持ってプレーするかが大事になる」など、長友は会見で力強い言葉を連ねていたが、突如として沈黙が訪れる。

 会見終盤、昨夏のブラジル・ワールドカップに関する質問が出た時だった。

 約30秒間に渡って会見場に無言の時が流れる。深い沈黙を切り裂いたのは、「先に私が答えます」という指揮官の言葉だった。長友のチーム内の役割と期待を問われていたハビエル・アギーレ監督は、「佑都は戦うことのできる力強い選手」という表現とともに、賛辞とも捉えられる言葉を口にする。

「他の選手たちに愛され、敬意を払われている。右でも左でもプレーでき、リズムを作り意欲も見せる選手。それは他の選手も伝染する。また、明るい性格がグループにいい影響を与えていると思う」

 潤んだような瞳と宙をさまよう視線。指揮官が語り終えると、再び時が止まるような瞬間が訪れたが、長友が口を開いて訥々と語り始めた。

「色々考えていたが、ワールドカップの時の心境と次のワールドカップに向けた心境を語るのは本当に難しい。そのことについて考えていて、言葉で発するためのエネルギーがかなり必要かなと思うので、ちょっとここでは勘弁してもらえればと。そのエネルギーを使うぐらいなら明日の試合のダッシュ一本にエネルギーを使いたいかなと思う」

 明言は避けた。ただ、振り絞るように長友の言葉は続いた。

「一つだけ言えることは、いかに本当にチームのために犠牲になれて、チームのために走れるかが今の自分の課題であって目標。本当に犠牲の精神やチームのためというものが自分の中に本気であるならば、本当に大事な時に最高のパスが来たり、今までミスしていたところがミスではなくなったり、そういうものに繋がっていくのかなと思う。だから、明日の試合もチームのために走る」

 長友が決意を語り終えるとともに、会見も終わりを迎えた。前日練習に向かうアギーレ監督、そして長友の去り際、会見場には拍手が響いていた。

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