前日トレーニングを行う日本代表MF田中順也(左)[写真]=兼子愼一郎
ハビエル・アギーレ新監督率いる新たな日本代表の初陣となる5日のウルグアイ戦(札幌)がいよいよ明日に迫った。試合前日の4日朝、左ひざに違和感を訴えていた長谷部誠(フランクフルト)の離脱が発表され、長谷部は札幌を後にし、ドイツへ向かった。3日目の非公開練習はフルメニューをこなしたというが、痛みが強くなり、今回はプレーを断念せざるを得なかったという。これでキャプテンは新たな選手に変わることが確定したが、アギーレ監督は「明日のミーティングで話す」と誰にするか明言していない。おそらく今年3月のニュージーランド戦(東京)で主将就任を直訴した長友佑都(インテル)か、2012年ロンドン五輪でキャプテンマークを巻いた吉田麻也(サウサンプトン)のいずれかが重責に担うだろうが、その動向がまずは気になるところだ。
長谷部の離脱に伴い、中盤の構成もほぼ見えてきた。アギーレ監督が予定通り4-3-3を採用し、アンカー+インサイドハーフ2枚の形を採るなら、アンカーは細貝萌(ヘルタ・ベルリン)が確実だろう。前目の2人は10番をつけることになった森岡亮太(ヴィッセル神戸)と田中順也(スポルティング・リスボン)、柴崎岳(鹿島アントラーズ)と田中といった組み合わせが考えられる。この連携はチームの生命線になると見られるだけに注目すべきだ。
田中はインサイドでプレーするに当たって「基本はインサイドにいて、相手に奪われた瞬間、中に人数がいないといけないと思うので、バランスを大事にしたい。コンパクトに保つ、切り替えを速くするってところを監督に言われたし、攻撃に行き過ぎたり下がり過ぎたりしてもダメなんで、考えながらやらないといけない。だけど柏レイソルのACLで4-3-3のインサイドをやった時はすごくやりやすかったし、ポジティブなイメージがある。センターフォワードの時よりはロングシュートを狙いやすいと思うんで、俺的にはもしかしたら一発あるなと思ってます」とかなり前向きに捉えている様子だった。
その田中はウイング的にプレーしていた時期が長く、ボランチを本職とする細貝や柴崎、扇原貴宏(セレッソ大阪)、攻撃的MFを本職とする森岡とはタイプが異なる選手。そういう意味でも彼をどう使うかは1つのポイントになりそうだ。本人も言うように、アグレッシブなアップダウンを繰り返して攻守両面に絡むという約束事をこなしたうえで、自分らしい強烈なシュート力を発揮できれば、攻撃に新たな活力をもたらせる存在になれるかもしれない。
今夏にポルトガルの名門、スポルティング・リスボンへ移籍し、球際や寄せが激しい外国人選手とプレーする中で、田中は確実に逞しくなっている。ウルグアイ戦で先発するか否かはまだ分からないが、チャンスが巡ってきたら、その変貌ぶりを改めて日本のピッチで示してほしいものだ。
文=元川悦子