W杯に向けて練習に臨んでいる長谷部誠 [写真]=Getty Images
ブラジル・ワールドカップ開幕が、いよいよ(現地時間)12日に迫った。5月21日の指宿合宿開始以来、2度目のオフを10日に取った日本代表は11日、3日後の初戦・コートジボワール戦に向けて再始動した。
ベースキャンプ地であるイトゥのスパ・スポーツ・リゾートで16時から行われた練習は、もちろんこの日も冒頭15分のみの公開。良い意味でリフレッシュした23人の選手たちは揃ってピッチに登場し、ハーフコートよりやや狭いエリアでのハンドボールゲームからトレーニングを開始した。
その組み分けは、一方が、内田篤人、森重真人、今野泰幸、酒井高徳の最終ラインに、ボランチには長谷部誠と青山敏弘、2列目右に清武弘嗣、左に香川真司、トップ下には大久保嘉人が並び、1トップは柿谷曜一朗、さらにトレーニングパートナーの坂井大将が入った。もう一方は、最終ラインが酒井宏樹、吉田麻也、伊野波雅彦、長友佑都で、山口蛍と遠藤保仁がボランチコンビを組み、2列目右に岡崎慎司、左に齋藤学、トップ下は本田圭佑が努めた。1トップは大迫勇也、トレーニングパートナーの杉森考起も入った。GKの川島永嗣、西川周作、権田修一は、グイードGKコーチと別練習を消化した。直後のパス交換に移ったところで非公開に。その後は、コートジボワールを想定した戦術練習をみっちりと実施したとみられる。
4年前の南アフリカ大会直前のこの時期は、チームにギリギリの緊張感が漂っていたが、アルベルト・ザッケローニ監督が「ここまでは順調」と断言する通り、今回の日本代表は大きなトラブルなくここまで来た。前回のピリピリ感を知るキャプテン・長谷部誠は、「もちろんチーム状態とか、そういう部分では多少異なる部分はありますけど、前回もそうでしたけど、非常にワクワクしてます。こういう舞台でどれだけ自分たちのサッカーができるか、そして自分たちが日本のサッカーを積み上げてきたんで、それをどれだけ表現できるかって楽しみが大きいです」と笑顔でコメントしていた。
確かに長谷部が言うように、ザックジャパンの4年間は、世界で勝てる日本のスタイルを模索するための時間だった。前回の南アフリカ大会でも、岡田武史前監督はそういう理想を掲げていたが、最終的に、本番直前になって超守備的戦術にシフトした。当時の主力である長谷部や遠藤、本田らにはその悔しさが脳裏に焼き付いて離れないのだろう。
「前回は直前で戦術を変えてやりましたけど、この4年間は自分たちに合った、自分たちが世界で勝つためのサッカーをずっと追求してきた。このワールドカップで、『日本サッカーが未来もこのスタイルで戦っていくんだ』というものを見せたい。例えば、メキシコなんかはそういうものはずっと連続してあるわけだし、そういうものを自分たちが作り上げたいという気持ちも強かった。未来につながるものをこの大会で残したい」と、長谷部はブラジル大会のために掲げ続けてきた大目標を改めて口にした。
彼らが標榜する攻撃的スタイルでコートジボワールを撃破できれば、ここまでの積み重ねも前向きな形で結実する。果たしてその理想を体現できるのか。けがの癒えたキャプテンにはしっかりとチームのかじ取りをお願いしたい。
文=元川悦子