2014年ブラジル・ワールドカップに挑む日本代表の指宿合宿も4日目を迎えた。24日も9時半、16時からの2部練習だった。前日夜に現地入りした本田圭佑(ミラン)、長友佑都(インテル)、川島永嗣(リエージュ)の3人も朝から元気そうな様子を見せ、精力的にトレーニングをこなしていた。ザックジャパンはようやく23人全員が揃い、本格的なチーム作りがスタートしたといっていい。
午前練習は冒頭20分間の公開。2組に分かれ、鹿屋体育大学の選手たちを相手に攻撃の戦術確認が行われた。ザッケローニ監督が最初に見ていたグループは、DF酒井宏樹(ハノーファー)、森重真人(FC東京)、今野泰幸(ガンバ大阪)、酒井高徳(シュトゥットガルト)、ボランチ・長谷部誠(ニュルンベルク)、青山敏弘(広島)、2列目右に清武弘嗣(ニュルンベルク)、左に齋藤学(横浜F・マリノス)、トップ下に本田、FW柿谷曜一朗(セレッソ大阪)という顔ぶれ。本田は帰国直後にもかかわらず、疲れを感じさせない動きを見せていた。
午後も15〜20分の公開。8対2のボール回しを経て、5対5の2タッチゲームが始まったところでクロ—ズになってしまった。
その後の非公開の間に酒井高徳が右ひざを負傷し、病院へ運ばれるアクシデントが発生した。日本サッカー協会の原博実専務理事は「バウンドしてるボールの取り合いをした時に嫌な倒れ方をしてすぐに練習をやめた。MRIを撮ってみようということになった」と説明していたが、ひざだけに深刻な状況もありえる。全員が揃った日に予期せぬ出来事が起きたのはザッケローニ監督も想定外だったはず。ここからの状況を見守るしかないだろう。
そんな中、朗報だったのは、守護神・川島の存在感の大きさだ。ゲーム中には彼の指示がつねにピッチ全体に響いており、ハードメニューで疲れて声が出なくなっている仲間たちを大いに勇気づけたのではないか。
「GKの役割はいろんな部分があると思うし、ビルドアップもそうだし、コーチングも含めてどれだけ存在感を示せるか。それは非常に重要なことだと思います。やはりGKというのはゲームを決められる大事なポジション。責任も大きいけど、そういう部分は自分としても意識してやっているんで」と本人も語っていたように、常にリーダーシップを示す自覚が彼にはあるようだ。
サンフレッチェ広島で2連覇を経験し、今季の浦和レッズも躍進させている西川周作(浦和レッズ)の台頭もあり、正GK争いは熾烈を極めている。が、川島は4年間の海外で経験値を力にして、より一層の飛躍を遂げた。
「コンディション的にも今季はシーズンが終わってからも長いというのは分かっていたし、頭を切り替えれば問題ない」と強調する川島。その確固たる自信はチームに大きなプラス効果をもたらしそうだ。
文=元川悦子