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ブラインドサッカー日本代表がノーマライゼーションカップで感じた手応えと課題

2014.03.25

写真=清水英斗

文=清水英斗

 21日に行われた『さいたま市ノーマライゼーションカップ2014 ブラインドサッカー日本代表vsドイツ代表』の一戦は、日本が0-3で敗れた。試合時間は25分ハーフ。

 悔しい結果に終わったが、日本代表の魚住稿監督は、「得点差ほど、差としては感じていない。(差は)ほんのちょっとで、互角以上に戦えた」と試合を振り返っている。

 事実、前半のキックオフ直後、先にペースを握ったのは日本だった。フリーキックから7番の川村怜が左足でシュートを放ち、あいさつ代わりの一発を見舞うと、さらに最後尾の4番、田中章仁も右サイドをドリブルで駆け上がってシュートへ。流れを変えたいドイツが、先にタイムアウトを請求した。

 その後も、GK佐藤大介のスローイングから6番の佐々木康裕が惜しいシュートを放ち、攻め立てる日本。しかし前半13分、コーナーキックからドイツが強引にゴール前をこじ開けようとチャレンジを繰り返すと、日本はファウルを犯し、PKを与えてしまう。これを8番のムルゲタ・ルソムに決められ、先制ゴールを許した。

 0-1で後半に入ると、日本は川村のドリブルシュートなどで再び攻勢を強めたが、逆に後半6分、10番のアレクサンダー・ファングマンが一瞬の隙を突いて左サイドを突破。角度のないところから放たれたシュートはGKの足元をすり抜け、ドイツが貴重な追加点を挙げた。

 圧巻だったのは、試合終了間際の後半24分。ドイツがゴールキックを自陣内のショートパスから始めると、2点を追う日本はボールを奪うために前へ出た。すると、それを見透かしたように8番ルソムは、素早く前線の6番コフィ・オセイへ縦パスを送る。鋭くカットインしたオセイが、強烈なミドルシュートを日本のゴールへ突き刺すと、この日いちばんの歓声は、ドイツの6番、オセイに与えられた。

 試合はそのまま0-3で終了。大会MVPには、ドイツ6番のコフィ・オセイ、MIPには日本の川村怜が選出された。

 日本代表のキャプテンを務める10番の落合啓士は、悔しい敗戦を次のように振り返る。「ドイツはルーズボールに対しての寄せの速さだったり、シュートを打って終わろうという意識が、やっぱり違うなと思いました。日本もシュートを打つときに、相手をかわして打とうとするけど、向こうは壁がいようが何だろうが、かまわずに打ってくる。僕らも意識しているつもりだけど、その違いは感じました」

 はた目に見ていると、内容的には差がないように見えた拮抗した試合。しかし、果たしてその差は、遠いようで近いのか、それとも近いようで遠いのか。それは選手個々が肌で感じたのだろう。

「ただ、悔しい。もっと出来たという思いはある」と語る9番の加藤健人は、今まで以上に練習に取り組みたいと心の中を語る。しかし、そこには、視覚障がい者ゆえの問題があるのも事実だ。

「ドイツ代表がうまいのは、練習しているからだと思うんですよね。うちのクラブチーム『埼玉T.Wings』も、もっともっと練習しなきゃいけない。だけど環境というか、(視覚障がい者の)選手だけでは練習ができないので、ボールを拾ってくれたり、一緒にボールに触ってもらったり、声をかけてくれたり、みなさんに練習に参加してもらえれば、もっといろいろな練習ができるのかなと思います」

 試合が終わった後、会場を訪れた大勢のファンやサポーターに対し、日本代表キャプテンの落合は、整列したチームを代表してあいさつを行った。

「見てのとおり、僕らは弱いです! だけど、これから一生懸命に練習して、(今年10月に行われる)アジアパラ競技大会、(日本開催で11月に行われる)世界選手権では、みなさんの声援に応えられるような結果を出したいと思います。これからも応援よろしくお願いします!」

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