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会場と日程から読む日本所属のグループC…キャンプ地選定もカギに

抽選会に参加した日本代表のザッケローニ監督 [写真]=FIFA via Getty Images

 日本時間の深夜にブラジル・ワールドカップの抽選会が行われ、日本の対戦相手はコートジボワール、ギリシャ、コロンビアに決まった。

 コートジボワールは前回W杯の直前にスイスのシオンでテストマッチを行い0-2と敗れた相手で、身体能力はアフリカの中でも随一を誇る難敵だ。ギリシャは2005年にジーコ・ジャパンがコンフェデレーションズカップで1-0と勝利しているが、典型的な堅守速攻のスタイルは10月に敗れたセルビアやベラルーシに通じるものがあり、組織としての完成度はさらに高いレベルにある。そしてコロンビアはラダメル・ファルカオら今をときめくタレントを揃えながら、名将ホセ・ペケルマンが率いるチームは南米特有の抜け目なさを備える。

 3カ国とも決して容易な相手でないことは強調したいが、現在のFIFAランキングを基準にシードに当たるポッド1の8カ国が決められたため、イタリアやオランダが漏れる形になり、結果として列強国を避けられたことは日本にとって幸運の部類に入るだろう。ここで注目したいのは3試合が行われる会場と日程だ。南アフリカで行われた4年前は、抽選会の前から南部の海沿いの町であるジョージに決めていた。直前にスイスのザースフェーでキャンプを張り、高地に慣れてから低地に行ってリフレッシュすることで、高地にも低地にも対応できるという戦略があったためだが、そもそも移動がそれほど長くないことが事前の決定を可能にしたのだ。

 しかし、今回のブラジルは国土面積が世界の5位で、南アフリカのおよそ7倍。南半球はちょうど冬にあたるといっても、会場の中で最北のフォルタレーザと南端のポルトアレグレでは気温も大きく差がある。そして内陸のアマゾンに位置するマナウスの様な会場もあるため、キャンプ地も異なる条件に適合したいくつかの候補を絞り込んでいた様だ。抽選会で日本はC4に振り分けられ、会場はレシフェ、ナタル、クイアバとなった。発表はされていないが、初戦がレシフェ、2試合目がナタルと東の沿岸部が続くことを考えれば、海沿いの町が有力と見ていいだろう。

 初戦のレシフェは南米大陸が東に突き出たほぼ先に位置する。沿岸ながら高温多湿でキックオフ時間の19時でも蒸し暑く、にわか雨も多い。気候条件は厳しい部類に入るが、日本は6月のコンフェデレーションズカップで強豪イタリアと対戦し、3-4とギリギリまで追いつめた。アレナ・ペルナンブーコ・スタジアムは芝も悪くないため、日本のパスワークを発揮しやすい。スタッフが現地のホテルや施設をチェック済みであることも小さくないメリットだ。

 そのレシフェと2試合目の会場であるナタルは250kmほどしか離れておらず、中継のキャンプ地によってはバス移動すら可能な距離だ。気候もレシフェに似ており、キックオフ時間も同じ19:00。1試合目を内陸のベロオリゾンチで昼間の13:00に行い、飛行機で3時間の移動をしてくるギリシャよりも、良い条件で戦えることは間違いない。欧州のチームは高温多湿に弱い傾向もあり、ギリシャも例外ではないだろう。日本は持ち前のコンビネーションを駆使して相手の守備を崩すことが求められるが、おそらく運動量で上回れる強みを活かしたいところだ。

 3試合目のクイアバはボリビアの国境に近く、レシフェとナタルから空路で約4時間を要する距離にある。気温は本大会の時期でもかなり高く、筆者が今年の6月にコンフェデレーショズカップを取材していた時は30度を超える日もあった。湿度も安定して高いため、中4日とはいえ2試合を消化した状態で、100パーセントのパフォーマンスを出し切るのは容易ではないだろう。この時点で主力のコンディションをいかに高いレベルで保っているかも大事だが、ザッケローニ監督には選手の見極めと同時に、フレッシュで調子の良い選手を起用する勇気も求められる。

 仮に決勝トーナメント進出となれば、日本はグループ1位なら中3日でリオ・デ・ジャネイロ、2位なら中4日でレシフェとなる。ここで対戦するグループDはウルグアイ、コスタリカ、イングランド、イタリアと揃い、どこが出てきても日本には難敵となる。もちろん試合ごとに勝利を目指すべきだが、間隔が1日長く、キャンプ地からの移動もおそらく短いうえに、離れしているレシフェでグループEの1位を迎えうつ方が、前回を上回るベスト8の可能性は高まるかもしれない。

 もちろん大事なのはチーム力と個のレベルをしっかりアップし、良いコンディションで開幕を迎えること。そして対戦相手の分析もカギを握るが、会場の条件を想定しながら観てくと大会をより深く楽しむことができるはずだ。

文●河治良幸

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