2013.11.19

マインツ移籍後初ゴールで吹っ切れた思い…オランダ戦ドローの陰にあった岡崎慎司の動き

岡崎慎司
オランダ戦でシュートを放つ岡崎慎司 [写真]=千葉格

 2013年に入って8敗と停滞感の続いていたザックジャパン。11月欧州2連戦で結果が出なければ、ザッケローニ監督の解任問題はもちろんのこと、主要選手たちへの批判も一段と高まるに違いなかった。
 
 実際、16日のオランダ戦前のゲンク・クリスタルアレナには日本代表を糾弾する横断幕がズラッと出された。これだけ派手な抗議行動なら当然、ウォーミングアップ中の選手たちの目に入る。岡崎慎司は真摯な気持ちでこれを受け止めた。
 
「全く気にならないって言ったらうそになるけど、自分たちにはチームとして揺るがない結束がある。サポーターも日本国民も勝ちたい思いは一緒。僕らがそれをプレーで表現すればいいだけ。結束が乱れたらダメっていうのは、前回の南アフリカW杯を経験した自分はよく分かっている。だからそれを伝えられる人間でありたい」と自らに言い聞かせてピッチに立った。
 
 この日の日本は立ち上がりからゴールに迫る迫力を強く感じさせた。岡崎自身もぬかるんだピッチに足を取られ滑りながらも、泥臭くプレスをかけてボールを奪いに行き、積極果敢に裏へ飛び出す。10月2連戦は足元足元になりすぎて攻撃のダイナミックさが失われ、カウンターを食らう悪循環にはまっていたが、岡崎の鋭い飛び出しは確実にチームを活性化させた。
 
「オカさんがだいぶ裏を狙ってたんで、全員の意識も変わってきた。足元だと真ん中を固められた時に中を崩すのが難しかったけど、今回は攻めの幅も出たし、脱け出した選手の前にいる人が引いてもらったりできてリズムもよくなった」とボランチでフル出場した山口蛍もその絶大な効果を認めていた。結果的に本人が直接ゴールを奪うことはなかったが、本田圭佑の2点目のシーンで内田篤人と本田のつなぎ役になるなど、彼の動きは要所要所で光った。

 10月2連戦の際は岡崎自身もプレーに迷いがあった。というのも、所属のマインツで今季開幕・シュツットガルト戦からゴールがなかったからだ。トーマス・トゥヘル監督からも1トップや2トップ、左右のサイドアタッカーなど多彩な役割を託されて、本人の中でもやるべきことが明確になっていなかった。それが10月26日のブラウンシュバイク戦でドイツ移籍後初の1試合2ゴールをマークしたことで完全に吹っ切れた。

「雑念が入ったらいいプレーはできない。自分にとっての雑念というのは『ピッチでミスをするかもしれない』とか余計なことを考えてしまうこと。バイエルン戦までの俺はそういう状態だったと思う。だけど『どうせやるんなら強引にでも自分のやりたいことを通そう』と考えて、練習でも積極的にトライするようになったら、監督やチームメートから『それいいじゃん』と言われるようになり、2点を取れた。そういう気持ちを持てれば、サッカーに集中できると思いますね」

 いい意味での割り切りが、岡崎本来の泥臭さと粘り強さを前面に押し出す契機となったのだろう。オランダ戦の彼は「下手でもいいから頑張る」という原点にしっかりと回帰した印象だった。

「今回のゲームで裏を狙うプレーが出せたのも、10月のセルビアとベラルーシで足元でつなごうっていうやり方で戦ったから。それでうまくいかなかったから、やり方を変えられた。そういう意味ではこの前の2試合はホント大事だった。そして次のベルギー戦でオランダ戦の教訓を生かさないといけない。それは前半の最初に点を取れなかったことと失点してしまったこと。0-2にされたら2-2にするのはホントに一苦労。自分たちが主導権を握りたかったら、先制しなきゃいけないし、相手にリードさせちゃいけない。次はそこを重視したいと思いますね」と彼は語気を強めた。

 オランダ戦では黒子の役割に徹してチームを力強く支えたが、次こそは勝負を決める得点を奪わないといけない。岡崎は6月のコンフェデレーションズカップ・メキシコ戦を最後に得点から遠ざかっている。その状況は生粋の点取屋にとっては不本意に他ならないはず。まずはフォア・ザ・チーム精神を前面に押し出すことが肝要ではあるが、時には強引にゴールへ突っ込んでいくくらいのリスクを冒してもいい。マインツで一皮むけたところを、ぜひともFIFAランク5位の強豪・ベルギー相手に示してほしいものだ。

●文/元川悦子

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