2013.11.18

オランダ戦で見せた日本代表の反発力…逃した勝利をベルギー戦でその手に

日本代表
オランダ戦で先発した日本代表 [写真]=Getty Images

 まさに、四面楚歌だった。日本代表は、16日にベルギー国内でオランダ代表と対戦したが、試合に至るまではとてつもない逆風が吹き荒れていた。

 10月に行われた欧州遠征において、2試合連続の完封負けを喫したことで、一気にアルベルト・ザッケローニ監督への懐疑的な見方が目立つようになっていた。ベルギーに入ってからも「結果」と「内容」の二者択一を迫られるかのような報道が続き、試合前のスタンドには強化の再考を求める横断幕が掲げられた。そして、迎える相手は南アフリカ・ワールドカップで準優勝し、ブラジル・ワールドカップ欧州予選のグループDを無敗で突破したオランダである。

 孤立無援とも言える状況で土俵際まで追い詰められた中、日本が見せた反発力は掛け値なしに見事だった。敵将のルイ・ファン・ハール監督も2点のリードを追いつかれた展開について、「正直に言うと日本のプレーは非常に良かった。2-3になってもおかしくはなかった」と驚いた表情で語り、日本の力を素直に認めていた。

 日本は昨年の欧州遠征において、フランス代表を敵地で破り、今年6月のコンフェデレーションズカップでは、イタリア代表と3-4の打ち合いを演じた。もはや、世界のどこの強豪と対戦しても、善戦はもちろん勝利を挙げる可能性すら決して低くはない。2-2でのドローという結果は、10月に行われた親善試合の内容を差し引いても驚くべき結果ではない。

 ただ、ここまで底力を感じさせた試合がかつてあっただろうか。

 今までも押し込まれながらも1点を守り切って勝利を挙げたことや、リードを奪って競り合う展開はあった。しかし、世界のトップクラス相手に2点のビハインドを負ってから巻き返した例は見当たらない。

 加えて、試合前に香川真司が「取らせてしまったら勢いに乗ってくるので、そういう意味では本当にキーになる」と危惧していた先制点を、よりによってミスから与えてしまっていた。警戒していたアルイェン・ロッベンには、最も得意な形とも言えるカットインからのミドルシュートで追加点を奪われた。並みのチームならば、一気に崩れてしまうようなシチュエーションは揃っていた。

 それでも、日本は2点を追いつき、勝ち越し点を奪うべく攻め続けた。チーム全体から生み出された反発力だが、中でも最も目を見張ったのは内田篤人だった。

 内田は13分に自身のヘディングでのバックパスをかっさらわれ、先制点を与える大きなミスを犯した。普段は感情を表に出さない内田だが、失点直後は何度も頭を抱えていた。GK西川周作に背中を押されながら何とか自身の持ち場に戻る姿や、試合後に「俺の最初の失点がマジでいらない」と語った言葉からも、大きなショックを受けていたことは想像できる。

 ただ、そこからの立て直しを見落としてはならない。本人は、「仲間に助けられた結果だから」と語ったが、後半に本田圭佑が挙げた2点目に大きく寄与するプレーをはじめ、右サイドを駆け上がる姿勢が、チームに推進力を与えていたことは明らかだった。内田に代表されるように、ミスから自滅することなく追いつき攻め続けたことは、チームがまさに新たなステージを上っている姿だとも言えるだろう。

 そして、何よりも頼もしいことは、選手達が満足することなく勝利を渇望していたことである。

 試合後には多くの選手達が勝利を望むコメントを残したが、実は試合中にその思いを体現するようなシーンがあった。60分に同点ゴールが決まった瞬間、本田を中心に歓喜の輪ができたが、香川は祝福を終えるとすぐさまボールを拾ってリスタートを急かすとともに、勝ち越しを狙う意欲を示していた。言葉だけでなく体が反応していたところを目の当たりにしていただけに、選手達の勝利への思いを強く感じとれた。

 白星を逃した悔しさは残るものの、幸運にも19日にはベルギー代表戦が迫っている。ベルギーはオランダ戦2日前の14日にコロンビア代表との親善試合を消化していることから、日本よりも間違いなくコンディションはいい。加えて、コロンビアに完封負けを喫している以上、ホームでの連敗は何としても避けたいところであろう。FIFAランク5位の同国は、オランダ戦で勝利を逃した思いをぶつけるには絶好の相手のはずだ。

 一方で、ザッケローニ監督は3日後の試合に向けて、「日数が少ないのでどこまで回復できるかというところを考えたい。なぜならば、今日のようなゲームをしたいのならば選手全員のフィジカルコンディションが最良の状態になければいけないと思っている」と語っていることもあり、試合内容についてはコンディションにかかるところが大きいだろう。当然ながら、回復しない場合は低調な出来に終わる可能性も否定できない。

 それでも、ワールドカップを想定すれば、今回の状況も悪くはない。

 12月に決まるグループ分けでは、オランダとベルギーのような強豪揃いの所謂“死の組”に割り振られる場合もあり、日程面でも中3日での試合が組まれているグループは実際にある。国土の大きいブラジルでは、移動を含めれば苛酷さは更に増す。コンディションが回復しないのであれば、何とか勝ち点を掴む戦い方をシミュレートしてもいい。形は違えども、オランダ戦で見せた反発力を再び出すことができれば、得るものは計り知れないだろう。

 ちなみにだが、オランダ戦が行われた11月16日は日本サッカー史において、歴史的な日となっている。1997年、日本はフランス・ワールドカップのアジア第三代表決定戦で岡野雅行のゴールデンゴールにより、延長戦の末にイラン代表を3-2で下した。

 16年前、マレーシアのジョホールバルで誰もが勝利を渇望する中、日本は悲願だったワールドカップの出場権を初めて掴みとった。2013年の同日、かつてとは異なり、外堀を埋められたような中で迎えたオランダ戦では、窮地に追い込まれながらも自力で苦境を脱した。もはや、16年前は想像できなかった世界が広がってきているのは間違いない。

 オランダ戦直前のように結果が出ないことで、周囲にもどかしさが募る気持ちはよくわかる。ただ、日本は確実に進化している。しかも、それは世界にも類を見ないくらいの速度なのである。

文●小谷紘友

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